第190話 続、暴虐の陽葵と・3’s river

  陸斗は「松浦」を追って走ったが歩く松浦に追いつくことができずに見失った。


 諦めて戻ろうとするが、考えてみればどうやってここに来たかもも、どちらに行けばいいのかもわからない。


 川から遠ざかればいいような気もしたが、どちらを向いて歩いても何故か岸辺から離れることはできないようだ。


 「喉が渇いたな」


 そんな気がした陸斗は川の水を飲もうと思い立ち川に近寄った。



 「やめときな!」


 突然後ろから声をかけられて振り向くとそこにはこの世のものとも思えない「大人の、the、美女」乙姫(仮)奪衣婆が立っている。


 いでたちや髪型は東洋風とうようふうであろうか、ただ、全裸に半透明な浮遊帯のみという異様な美女である。


 「その川の水に見えるものは水ではない、触れたら皮膚は爛れただれ、飲めば喉が焼ける、『悪竜に食われて』しまうであろう。


 切れ長の目で陸斗を見下ろしながらそう言い放った。


 「とりあえずアンタの服を全部脱ぎな!そしてそこの狼人懸衣翁に渡しな。」


側に控えた狼人懸衣翁が陸斗が脱いだ服をアダマンタイトの金錦の樹にかけていく。


 陸斗はなぜか逆らえない気がして全ての服を脱ぎ狼人懸衣翁に渡した、樹木の枝に順番にかけられていく。


 「ふん、アンタ、随分と人を殺してるね、樹がそう判定しているよ、根っからの悪党なんだね、こりゃヘブンズドラゴン川に投げ込まれる運命か、ケケ、そら!全部脱ぐんだよ。」


 陸斗はブリーフも脱ぎ渡す、余っている枝にかけられる、


 「そら、その左手の手袋もだよ。」


 陸斗は手袋を外し渡す、錦玉の枝にかけられる。


 「ほう。」


 「おまえさん、賢者なのかい?その左手のしるし随分の罪を重ねているようだが賢者様なら帳消しちょうけししてお釣りがくるよ。」


 「へえー、よく見たらおまえさんイイ男じゃないか、ここ500年で一番のイケメンだねえ、身体も鍛えられてるしイイ!」


 その妖艶な乙姫(仮)奪衣婆は陸斗の腹を撫でる、頭を引き寄せ陸斗の唇を奪う。


 何とも言えない芳香が漂い16歳の陸斗の身体は敏感に反応した。


 陸斗は乙姫(仮)奪衣婆の乳房を揉み、身体を預けてしまった。


****


 「陸斗さん!陸斗さん!」


 陽葵は必死で陸斗の身体をさする。


 何となく陸斗の身体に赤みが戻り体温も戻ってきたような気がする。

 陸斗の額に汗が滲み始め、生体活動が戻ってきたようだ。

 「う、うーん、」

 「陸斗さん!大丈夫ですか?陽葵の声が聞こえますか?」


 「個体名、諸星陸斗、峠は越えたようです、もう命に問題はありません。」

 

 「コフェン!そうなの?よかった。」


 「ん?」


  陽葵は陸斗の下半身の異変を触ってしまう。

 

 その経験はないが、耳年増みみどしまな陽葵はイタズラ暴虐心を起こして、これがそうなのね?と握ってしまった。


 突然陸斗の手が陽葵の生乳房を弄るまさぐる


 「ひょ!」


 イタズラ暴虐の陽葵は声にならない声をあげて思わず握った手に力が入ってしまった。


 **


 まあ、読者の方も経験があるだろう、ご想像通りの惨状となる。


 困った陽葵はそこにあった陸斗から脱がした服を拾い、それで清拭した。


 そのあと暴虐の陽葵は、客車の窓を開けて、血と泥と体液で汚れた陸斗の服全てをヘブンズドラゴン川に投げ捨ててしまった。

 

 この行為が後ほど大変な事態を引き起こすことになるのだが、今のそこそこ令嬢の陽葵には想像もつかなかった。

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