第123話 花の連邦国

 フローラル連邦国の構成国は次のようになっている。


 1月王国 シンビジウム王国

 2月王国 フリージア王国

 3月王国 チューリップ王国

 4月王国 サクラ王国

 5月王国 スズラン王国

 6月王国 バラ王国

 7月王国 ユリ王国

 8月王国 ヒマワリ王国

 9月王国 ダリア王国

 10月王国 ガーベラ王国

 11月王国 シクラメン王国

 12月王国 ポインセチア王国


 それぞれの花をモチーフにした紋章を持ち、連邦国王はそれぞれ持ち回りで務めている。

 それぞれ殖産興業しょくさんこうぎょうに励み、競い合って良い関係を構築こうちくしていた。


 王国創立祭は連邦国王に選ばれた国において12王国それぞれから自慢の産業や製品を出店するいまでいう万国博覧会や見本市といったものである。

 

 今年は陽葵の住むガーベラ王国において開催される盛大な催し物なのだ。


 もぐらモールも毎年何店か出しているが、地下資源と魔法石が主な産業であるので、レアメタルの鉱石見本とか、魔法石のルース、美しいものはリングやネックレス、チョーカー、ピアスなどに加工して出すことはあるが、基本これと言った目を引く店はなかった。


 そこでもぐら男爵は陽葵の神技手芸かみわざしゅげいに目をつけたのである。

 もちろん陽葵がアダマンタイト製のニードルを手に入れた情報などはすでに耳に入っているが、別に公表する必要もあるまい。


 陽葵の眩いまばゆいばかりの美しさと神のような手技、そして美しい作品の数々はもぐらモールの名前を全世界に広げることになるだろう。


 他国からはそれぞれの名代として第一王子もしくは第二王子あたりがやってくるはず。

 陽葵を使ってその人脈を広げるのもアリである。


 もぐら男爵は本当は美しい陽葵を自分の妻にしたいと思っているが、陽葵が王子にみそめられ王子との人脈が築けるならそれはそれでもいいと思っていた。


 陽葵はそんな思惑も知らず、出店の準備に勤しんでいそしんでいた。


 裁縫の得意なアリスおばさんも喜んで手伝ってくれている。


 「ヒナちゃん、王国創立祭に出店おめでとう!これはすごいことだよ、土竜男爵もぐらだんしゃく様にお礼言わないとね。」


 「そうね、こんなチャンスを頂いたんだからしっかりご恩返ししないと。」


 今の陽葵は王国創立祭に向けてワクワクしながら準備を進めていた。

 これまでは7色程度の染色しかしていなけど王国創立祭に出す店では24色くらい使いたいかな?

 充分な量を用意しとかないとね。


 「そうだ、もぐら男爵様のもふもふフィギュアも作って売り出そうかしら、もぐらモールの宣伝も兼ねて。」

 「もぐら男爵様ならほとんど黒だけでいけるやん。」

 そんな呑気のんきなことを考えている陽葵であった。

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