第119話 アダマンタイトの針

 ドワーフのおじさんは、アダマンタイト針を収納するための専用ケースも作ってくれた。

 なにせアダマンタイトの針の能力は鋼鉄やミスリルの盾に刺せばまるでチーズにまち針を刺すかのごとくスーッと通ってしまうレベルだからだ。

 先端部分せんたんぶぶんはそのくらいヤバいのである。

 それと陽葵は知らないが、アカシックニードルというほぼ神器しんきとも言えるアルティメットウェポンは魔力を込めるこめることで極限きょくげんまで細くされたアダマンタイト針の先端せんたん微細な振動びさいなしんどうを与えて対象物たいしょうぶつ分子結合力ぶんしけつごうりょくを簡単に弱める形状になっている。

 陽葵には魔力はないが、0.5グラム程度のアダマンタイト針であれば陽葵の、そこそこの生体エネルギーだけでも同様の効果を発揮はっきする。

 専用ケースに入ってなければカバンも床も簡単に突き抜けてしまうだろう。


 肝心かんじんの陽葵というと、わずかなグラム数のアダマンタイトを手にした喜びから少々ハイになっているようだ。


 「我が名は陽葵!世界唯一のアダマンタイト級ニードルフェルト作家だー!」


 などと帰り道、大声ではしゃぎ周り、アリスおばさんから少々ドン引きされていた。


 

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