第113話 そこそこ財閥令嬢
陽葵はずっとお人形さんだった。
周りからも可愛い可愛いと言われて愛されていたと思っていた。
けど、それはきっと違っていた。
おじいさまの威光で褒め称えられ、おじいさまの威光で、
さしてしたいこともない。
言われた通りにちょこんと座って。
お勉強も特に好きじゃないから成績もそこそこ。
ピアノも特に好きじゃないから発表会の拍手もそこそこ。
財閥令嬢という名だけど、新興IT企業社長のご令嬢ほど裕福なわけでもない。
黒髪は気に入ってたけどクリクリだし、ストレートな髪がよかったな。
顔もそこそこ可愛いと言われはするけどどこまで本心なのか。
スタイルはお世辞にもスマートとは言えない、これもそこそこ可愛らしいと言われるけれど、本心なのかわからない。
頭の良い、頭の切れる賢い令嬢にも憧れるけど生来わりとぼーっとしてるらしい。
「本当にお人形ね。」
陽葵は川に流され、船酔いで何度も吐きながらそんなことを呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます