修行とサバイバルと女騎士
素晴らしいとは思わんかね。
これが魔法のフラスコと魔法のステッキの力だ。
「くあー!」
「大型トラックでも空に打ちあがりそうな威力だ」
『火炎のドラゴンブレス』フラスコから、灼熱のエネルギーを放出することで、この技を可能にしている。つまり今の爆発はドラゴンブレスそのものということだ。
「1発でフラスコのドラゴンブレスがほとんどなくなってるな」
「くあー!」
「どうしたんだ、ドラゴン、そんなに騒いで」
視線を動かす。
森のほうから四足獣がこっそりこちらをうかがっていた。
鋭い牙と、ふわっとした茶色い並み……オオカミだ。
ドラゴンが腰を落とし、グルグルっと喉を鳴らして威嚇する。
緊張感にのどが乾く。心臓が跳ねあがり、体温が上昇する。
なのに背筋には冷たい感覚が走る。
俺はステッキでもう一度、地面を突いて、ドラゴンブレスを解放した。
小さな爆発が起こって、オオカミの足元が炸裂する。
爆風に驚いたオオカミは慌てて森のなかに消えていった。
「びっくりしたぁ……やっば、やっぱり獣いるんだな」
「くあ」
ドラゴンがいたから安心しきっていたが、そりゃそうだよな。
大自然は街とは違う。普通の感覚でいえば、森のほうがずっと危ない。
人間を殺しうる獣、それにこの世界には怪物の類だっているはずだ。
視線を落とす。
フラスコは空になってしまっていた。
「獣に喰い殺されるのは悲惨だな……」
オオカミに手足をガブガブされている描写を想像してしまい、体が震えた。
未知に溢れる異世界。たくさんの危険がある。森にも、街にも。
街の治安もたいがい終わってた感じだし、暴力的な解決手段はいつでも行使できるようにしておかないと話にならないのかもしれない。
実際問題、俺も大男の股間を蹴りあげたり、ホームレスをぶん殴ってピンチをしのいでいた。だから今こうして俺は生きている。
「やはり、暴力。暴力はすべてを解決する」
「くあ〜♪」
俺は真面目をやめた男。
そして自分のためだけに生きる男。
前世のモラルなど川に流してしまえ。
ここは異世界だぞ。過酷な世界なのだ。
「へっへ、今日から俺のことは狂犬だ。狂犬の真鳥だ」
俺はさっそく暴力を身につけることにした。
「さてと、暴力を身につけるか」
暴力を身につけるためにはちゃんと練習しないといけない。
俺はわりと身長は高いほうだが、腕っぷしには自信がない。
ゆえに身につける暴力は、もちろんステッキとフラスコだ。
こいつは練習すればもっと上手く使える気がする。
「遠隔からの爆破攻撃はちょっと威力が強すぎるか?」
「くあ」
「お前もそう思うか? だよな」
興奮する威力だが、ロマン砲の類だろうか。
対生物に使うにしても、過剰すぎる。
さっきはフラスコのなかのドラゴンブレスがほとんど残っていなかったから、あのオオカミはビックリするだけで済んだが、十分な量入ってたら、きっと跡形も残らず消し炭になってしまっていただろう。
「いや、それどころか森に火炎が燃え移って、このあたりいったい森林火災で焼け野原になってたかもな」
「くあ〜」
「だよな、お前もそう思うか」
暴力と言ったが、暴力すぎる。
流石に攻撃のたびに生態系を破壊し尽くすのは、ねえ……俺、あんまり他人に迷惑かけちゃいけないって親に育てられたから、そういうのはちょっと。
「威力の調整を練習しないとな」
その日から俺の修行がはじまった。
異世界で役に立つだろう最大の力。
財力でも、権力でも、魅力でもない、マスターキー暴力。
それを身につけるための修行だ。
翌日。
俺はあんまり美味しくない魚を食しつつ、フラスコからドラゴンブレスを解放し続けた。なるべく威力を抑えるほうこうで練習した。
ドラゴンのくしゃみ申請も
でも、俺もドラゴンブレスを撃ちまくっているので、供給は足りない。
大量のドラゴンブレスを消費しながら数日練習した結果、俺は遠隔のドラゴンブレス爆破をスムーズに行えるようになっていた。
最初は狙いをつけたり、狙った座標を攻撃するのが難しく、エイムに時間がかかっていたが、いまでは手癖で爆破を行える。20mくらいまでの距離なら、即時攻撃が可能だ。
ただし、残念なこともある。
それは威力の調整がとても難しいことだ。
解放しようとすると、どうしてもドバーっと溢れて高威力になってしまう。
「プロセスを変える必要があるか……」
「くあ〜」
ドラゴンを背もたれにし、頭を使って考えた。
どうすれば威力を調節できるのか。
この問題の解法はすぐに見つかった。
鍵は『空のフラスコ』にあった。
まず『火炎のドラゴンブレス』フラスコから『空のフラスコ』に一定量のドラゴンブレスを移動させる。すると一定量だけドラゴンブレスの封入された『火炎のドラゴンブレス』が新しく生成される。
これをドバーするのだ。
これにより繊細な威力調整が必要なくなる。
つまりあらかじめ攻撃の限界威力を決めておくのである。
修行4日目。
新しい問題が浮上した。
「これ咄嗟に出ない……な」
『空のフラスコ』にドラゴンブレスを移動させるアイディアは画期的だが、それを行うためには高度に集中する必要があった。
もし目の前に脅威が現れた場合、悠長にフラスコ間の内容物の移動を行っている余裕が俺にあるか、そこに疑問を抱かざるを得ない。
だから、俺は解決策を用意した。
せっかく『空のフラスコ』がたくさんあるのだ。
あらかじめ分けて封入しておけば咄嗟の時でも出やすいだろう、と。
俺は18個のフラスコを所持してるのだから、トランクを持ち歩いておけば、何回も攻撃するだけの余裕があるはずだと、思った。
プールの水をコップにすくって使用する感じだ。
「そうなるとプール用の『火炎のドラゴンブレス』ばかり持ってもいられないか」
プールが多くなれば、それだけコップの量が減ってしまう。
フラスコの配分は考える必要があったが、プールは暫定で5個持つことにした。コップ用の『空のフラスコ』が10個。多目的用が3個だ。
なお多目的の1個は『空のフラスコ』にしておき、2個は川の水をいっぱい入れて『水のフラスコ』にしておいた。水は緊急時の火消し用である。
ドラゴンブレスを運用する以上、どっかで飛び火して、俺自身が火だるまにならないとも限らない。
「ドラゴン、生活の質をあげにいくぞ」
「くあ!」
俺は『
俺たちの目的は肉だ。
いい加減、食周りを改善したいという気持ちから欲している。
俺はもう川魚に期待してない。たぶんあそこ魚はみんなまずいんだ。
俺は肉の信仰者というほどではないが、人並みに焼肉やステーキが好きだった。
肉は焼いたら美味いという世界の法則のはずだ。
前世とは勝手が違うが、たとえどんな肉だろうと、あの川魚を超えることはできると期待している。てか超えてほしい。本当に。
「いたぞ、イノシシだ」
「くあ!」
「ゆっくり歩いて近づこう。俺が仕留める。お前は周囲を警戒しててくれ」
十分に近づいて精度を確保し、俺はステッキで地面を突いた。
「爆ぜろ━━
イノシシのお腹のあたりから火炎が吹きあがり、おおきな体が爆風で空を舞う。4mくらい打ちあがって、地面に横っ腹で着地、痛そうだ。
「やった、直撃だ」
「くあー!」
イノシシは立ちあがり、こちらを一瞥するなり、走りだした。タフだ。
「あっ、こら、逃げるな、お肉ー!
2つ目のフラスコからドラゴンブレスを放った、イノシシの足元を爆破し、さらに3回、4回と同じ技をあびせて追撃した。
やがてイノシシはぐったりして動かなくなった。
「スマートにいかないもんだな。威力を搾りすぎたか」
フラスコ分割法のメリットは速射性能にあるが、その反面、あらかじめ設定しておいた威力の攻撃しか行えないデメリットもある。威力不足だとわかっても、その威力不足の攻撃を続けるしかないのだ。
「このイノシシでかくね」
「くあ〜♪」
動かなくなったイノシシに近づいてみて初めて気がついた。
俺が倒したのは牛みたいなデカさのイノシシだっら。
正面に立たれたら、俺の背丈くらいよりも、イノシシの頭の頂点のほうが高い位置にきそうである。これは……イノシシ、だよな?
それに近づいてみて気がついたけど、こいつ瞳が6つもあるじゃないか。
「怪物ってわけか……喧嘩売る相手間違えてたな」
「くあ〜」
「お前がいたから逃げてくれたのかな」
「くあー?」
自然界におけるヒエラルキーは怪物イノシシよりドラゴンの子供のほうがうえというわけだ。ドラゴンのお守り性能が高くて助かった。
「俺ひとりだったら返り討ちにしようって思われてたかもな。ありがとな」
「くあっ♪」
「よし、それじゃあこいつを川まで運ぼう」
肉の解体方法は知らないが、血抜きという作業が必要なのは知ってる。
川の水でもろもろの作業をするのがよいだろう。
「ん、もしかして」
怪物イノシシにステッキをかざした。
フラスコを選択し、スポンっと封入できた。どうやら死んでいる状態だとフラスコに入れることができるらしいと、新しい知識を獲得する。
川まで戻ってきた。
「さて、どうやって解体するか……」
その段階になって気がつく。
解体するには刃が必要なことに。
刃なんてここにはない。
あるのはドラゴンの爪くらいだ。
「くあ〜」
「ドラゴン、川でしっかり手を洗おう」
俺はドラゴンと一緒に川に入って、爪を入念に洗った。
洗ったあとは焚き火で熱殺菌だ。
「くあー」
ドラゴンは熱に強いらしく、火炎のなかに前足をつっこんでも、なんでもない様子だった。流石に口から火炎を吐きだすだけある。
ドラゴンに怪物イノシシを解体することをお願いした。
でも、流石に無理があった。
結論から言うと失敗した。
その夕方、俺は川辺でうなだれていた。
知識のない素人によって、なんの法則性もなく処理されたイノシシの死体のそばで。頭痛さえするほどの大失敗だ。
内臓の処理や川の剥ぎ方、解体の難易度が高く、可食部位が最大値をおおきく下回ってしまった。
「道具も技術もないのに肉食べたさで無計画なことをしてしまったな」
「くあ〜!」
幸い、ドラゴンは美味しそうにパクパクとイノシシを食べていたので、無駄ではなかったが。
デカい肉の塊なので、一応、俺が食べられそうな量もあった。
俺は焚き火で焼いて、かぶりつく。
「…………獣くせぇ」
人生で一度だけジビエ料理を食べたことはあった。
その時の記憶でいえば、かなり旨かった気がするが、現実は違う。
「適切な処理をしないと喰えたものじゃないな」
俺は肉をなんとか腹に押し込めつつ、深いため息をついた。
「学び、だな」
研究とは、探究とは地道なものだ。
数多の失敗をして成果にたどり着く。
失敗は失敗で終わらない。意味を宿すのは自分だ。
失敗に意味を見出した時、人は学びを得る。
「くあ〜♪ くあ〜♪」
美味しそうに生イノシシ肉をもぐもぐ食べるドラゴンを横目に、肉の道の険しさを俺は痛感した。
翌朝。
俺は住処の改善を試みることにした。
食の改善は失敗したので、生活の質をあげる作戦第二弾だ。
「この怪物イノシシの毛皮を使う」
「くあー?」
「これを敷けば、木の幹に直で眠ることもないだろう?」
川で丁寧に洗う。
「でも、獣の毛皮ってダニとかいそうだな……訳わかんない雑菌とか住んでそうだし……」
気になった。非常に気になった。
一度気になりだしたら、この毛皮のうえで眠ることが考えられなくなった。
俺は考えた。
どうすれば毛皮を受け入れられるか。
手触りは悪くない。これがあれば睡眠の質もあがるはずなんだ。
だからどうにか受け入れる方向で頭をひねった。
「熱湯、だな」
昨夜の熱殺菌のアイディアが流用できると気づく。
しかし、毛皮を直接、焚き火で炙るわけにもいかない。
「熱湯を作るには……どうすればいい」
あれで熱湯を作り、毛皮を殺菌するのは現実的ではない。
「くしゅん!」
ドラゴンが川辺で水面にむかってくしゃみしていた。
フラスコが一杯の時は、ああして水面へ向かってドラゴンブレスを吐いてもらうようにしているのだ。そうすれば万が一にも森林火災は起きないだろうから。
「あれは!」
ドラゴンが火炎を吹きかけた水面が茹っていた。
一部だけ温泉みたいになって、ぶくぶくし、湯煙を出している。
川の流れですぐに湯煙は霧散した。
「ドラゴンブレスの極めて高い温度があれば、水を瞬時に沸騰させることができるのか。水面に吹きかければ、熱湯を作り出せるかもしれない」
俺は試行錯誤し、新しいドラゴンブレスの解放を身につけた。
ドラゴンの協力のもと川辺に穴を掘る。
そこに『水のフラスコ』で水を流しこむ。
あとはこれを沸騰させればよろしい。
「沸えたて━━
第二の技
これは
本来ならドラゴンブレスの熱で俺自身「あっちぃ!!」と悶えてそれどころじゃなくなる近さだが、逆に近いからこそ、精度高く操作でき、ドラゴンブレスの火炎も熱も前方へ向かわせる操作ができるため安全なのだ。
一見危険だが、実際は
「くあ〜!」
ドラゴンがキラキラした眼差しで見上げてくる。
もしかしてドラゴンブレスを俺が吐いてると思っているのだろうか。
「俺が凄いんじゃない。お前のドラゴンブレスが凄いんだ」
ドラゴンを撫でておく。こいつには助けられっぱなしだ。
熱湯ができあがったので、毛皮を放りこみ、しゃぶしゃぶみたいにして、ステッキの先端で拾いあげる。
寒空のした、ほっかほかの毛皮から湯気がたちのぼる。
「熱殺菌完了」
これで安心して眠れる。
「ん? この残った熱湯……ドラゴン、お前お風呂は好きか?」
「くあ〜!」
その晩、大自然のなか露天風呂を楽しんだ。
ドラゴンもお風呂が気持ちいいようで嬉しそうにくあ〜していた。
ようやく異世界での楽しみをひとつ見つけられた。
━━その頃、街では
ルニラスタ・オーフラビア。
黄金に輝く艶やかな髪、青空のごとく澄んだ瞳。
美しく、強く、そして頭には異形の角が生えている。
その角は街で知らぬものがいない呪いの証だ。この美しい少女は呪われているがゆえに、誰からも愛されず、忌まわしく思われているのだ。
ルニラスタはまた騎士でもあった。
嫌われ者の彼女だが、街でトラブルが起きればその対処に当たらなければならない。それが彼女の仕事だからだ。
城塞都市フラスクニスは現在、とある噂で持ちきりだった。
いわく『伝説の魔術師が街にいる』とのことだ。
ルニラスタはこの噂の真偽をたしかめるべく、数日に渡り調査をした。
しかし、『伝説の魔術師』を見つけることはできなかった
仕方がないのでルニラスタは依頼者に「だめでした」と伝えるしかできなかった。たとえそんなことを言いたくなくても。
「城塞都市の真ん中に、訳のわからない氷の華がが咲いてる」
暗い書斎、窓の外を見やりながら、老人は苛立ちげに言う。
ルニラスタは扉のすぐ近くで、壁際に並んだ石像たちを気にしながら、老人の言葉に静かに耳を傾ける。
「なにがどうなっていると言うんだ。何世紀もうんともすんとも言わなかった孤城が突然の冬に閉ざされ、私のドラゴンは馬鹿なグズどものせいで逃げた。そしたら今度は私の城から見える場所に”フラスコの魔術”が使われた!」
癇癪を起こし、老人は机に拳を叩きつけた。
骨と皮だけの腕は信じられない怪力を発揮し、重厚な机をへし折った。
「はあ、はぁ、はぁ」
荒く息をつく。灰色の瞳がルニラスタを見やる。
異形の角を見やり、嫌悪感を隠すつもりなく睨みつける。
「お前も本当に使えないグズだ。忌み子め。ゴミクズめが」
「申し訳ありません」
「フラスコの魔術を使えるのは、ジン・フラスクしかいない。ジン・フラスクだ。やつはこの街に来て、そして私のドラゴンを奪って行ったんだ。……なんのつもりなんだ、私の牙城を崩すつもりなのか? そうはさせるかッ! ふざけるなッ! ドラゴンを返せッ! どれだけ苦労して手に入れたと思っているッ!」
老人は怒りにぶるぶる震え、枯れた奇声をあげる。
荒い呼吸を整え、老人はすこしずつ落ち着きを取りもどす。
ルニラスタは迷いながらも、街の門番に聞いた話を老人に伝えることにした。
「大きなトランクを持った男なのですが、フラスクニスにはすでにいないかもしれません」
「なんだと? それじゃあどこに行ったんだ!」
「門番によれば夜のうちに街を出て行った、と。しかし、その時ドラゴンは一緒ではなかったそうで」
「まさかドラゴンを攫って孤城にもどった……? クソ野郎がッ! ぶっ殺してやるッ! 私の大事な、大事なドラゴンをッ! 殺して奪い返して来い!」
「孤城には絶対に辿り着けません」
「だったら策を考えろ! ドラゴンを取り返して来い! フラスコの魔術師は殺せ! それまで戻ってくるんじゃない、ルニラスタ!」
そうしてルニラスタは無理難題を押し付けられ、城を追い出されてしまった。
「孤城に至って、フラスコの魔術師からドラゴンを取りかえすなど、師団クラスの兵力をもちいても不可能でしょうに」
ルニエスタは呆れながらも、方法はないか考えることにした。
図書館にいって古い文献を漁ったり、フラスコの魔術師に関する本を片っ端から漁ってみたが、有益そうな情報はひとつとして掴めなかった。
「フラスコの魔術師は暗い森の怪物が、フラスクニスを襲えないように魔術を施した……暗い森になにかあるのでしょうか」
城を追い出された3日後、ルニラスタは冒険者組合を訪れた。
「おいおい、忌み女がきやがったぞ」
「呪われ人が顔をだすなんて度胸あるじゃあねえか」
冒険者組合に入るなり、暴力的なものたちはすぐに絡んでくる。
凪のように受け流し、肩身を狭くしながら、受付で組合の情報を仕入れる。
冒険者組合の職員たちも漏れなくルニエスタのことを疎んでいたが、しかし、赤い髪の受付嬢だけはなぜか好意的であった。
ゆえにルニエスタは「今日はあの人だ」と、赤い髪の受付嬢を見つけた時、心の底から安堵した。
「あっ、変わったことといえば、暗い森にいった冒険者さんたち間で『奇妙な爆発音が聞こえる』というのが噂になっていますね!」
「暗い森で」
ルニラスタは考えた。
(数世紀も誰も姿を見ていない伝説の魔術師、いきなり動き出したと思ったら、ドラゴンを攫って、どこかへ姿を消した。そしてそんな彼が魔術を施した暗い森で異変が起きはじめている……なにかありそうな感じ)
「ありがとうございます、行ってみます」
「気をつけてくださいね、ルニちゃん! いくらあなたでもあそこは名実共に魔境と呼ばれる恐ろしい怪物の巣窟なのですから!」
翌朝、ルニラスタはドラゴンとフラスコの魔術師の手がかりを求め、魔境”暗い森”へと足を踏み入れた。
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