第6.1話 僕と、私の、ひと夏の触れ合い 前編
やあ、君か。もしかして、この間少しだけお話したペリドット君の事が気になるのかい?ならば今日は改めて会った時の話をしよう。ちなみにこれからお話する事はあおぞらきのみ本編第6話の裏側となる。前回同様本編をここまで見てからこの先を見る事をオススメするよ。それでは始めよう。
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2011年某日。
私、白部 求はいつものようにネット上で熱心に情報収集をしていた。すると、興味深い記事を見つけた。
「遠い所の貴族のようだが、画像に写るこの子供の目が……黄緑色に輝いている?」
画像には両親と沢山のメイド達、そして金髪で黄緑色をした瞳の少年が写っていた。彼らはシュトロハイム家。その地域では高貴な身分の家族のようだ。
「まさか、眼光症を持った子供がここにもいたとはな。何とかしてコンタクトを取れないものだろうか」
私はシュトロハイム家のアドレスを調べメールを送る事にした。
「まずは挨拶ぐらいしておかないとね」
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初めまして。私は白部 求といいます。見た所、家のご子息は黄緑色の瞳を持っているようですね。それも、まるで宝石のように美しく輝く。私の身内にも、同じような症状を抱えている人がいて、私はその症状を研究するために科学者となりました。写真も送りますので是非ともこの症状は彼だけの物では無いと教えてあげてください。
白部 求
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それから数日後、返事が来た。
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メールありがとうございます。あなたの所にもそのような方がいたとは。しかもその症状の研究をしているとは我々の所にはおりませんでした。よろしければ近い内に是非とも来ていただき当主のご子息たるペリドット殿とお会いできれば光栄であります。良き返事を待っています。
シュトロハイム家 当主代理
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「当主殿はお忙しい方のようだな。時間はなるべく多めに取りたいものだ」
私は少しずつ旅行の支度を始めた。シュトロハイム家とはしばらくの間メールによるやり取りが続いた。
7月3日。出発前日。私は親友の翡翠にメールを入れた。
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突然だが、一ケ月の間遠方出張に行く事になった。しばらくは君に会えなくなる。だが引き続き、何かあった時はこちらに伝えておくれ。
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「翡翠は今、あの翔多と同居しているみたいなんだよな。まあ彼ならきっと守ってくれるはずだから心配は無用か」
要らぬ心配は捨て置いて、私は明日に備えて眠りについた。
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7月4日。出発の日。
私は同僚の研究員数名と共にペリドットの住む所へ飛行機で向かった。女性一人で、ましてや身体に傷を負っている私だけではさすがに困難だからね。
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7月5日。
日を跨いで現地に到着した私達はシュトロハイム家へとやって来たのである。玄関には、家の当主と思われる人が私達を待っていた。
「お会いできて光栄です。さあこちらへ」
「手厚い歓迎、感謝するよ」
私達はシュトロハイム家の大広間へと招待された。
「この方が、一族の未来を担う。ペリドット・シュトロハイムです」
当主に呼ばれると、大広間の階段からあどけない表情の少年が降りてきた。私の目の前に来ると、挨拶した。
「あなたが、白部 求さん?」
「いかにも。君がペリドット君だね。その瞳、とても美しいよ」
「今日は出会えてとても嬉しいよ。これから、その、よろしくね」
「一ヶ月程過ごす事になるけどよろしく頼むよ、ペリドット君」
これが、私とペリドットの出会いである。お互い、少し緊張気味のようだ。その後、食堂で歓迎会が開かれた。
「家のシェフが腕を振るいました。どうぞお召し上がりください」
私達の前には、豪華な料理が並んだ。普段から質素な食事が多かった私もこれにはさすがに驚いた。豪華な料理を楽しみ、食後のデザートに差し掛かると、私はこう言った。
「ふむ……このメロンのデザートがなかなか良い味をしているではないか」
「実は僕、メロンが大好きで、よく食事の時間に出してくれるんです」
「おお、それは嬉しいな。私もお土産に持ち帰りたくなった」
「おかわりもあるからね」
私は前髪の裏に笑顔を浮かべながらもシュトロハイム家の料理を楽しんだ。それから、私はペリドットの部屋へと案内された。
「沢山の本と、競技用のサーベルが沢山並んでいる。私の研究所でもここまで並んでいないよ」
「僕の毎日は勉強やフェンシングの稽古や乗馬などをする事で、同じ歳の友達と一緒に遊んだ事が無かったんだ」
ペリドットの事情を聞いた私は提案した。
「そうだったのか。それなら私が君の初めてのお友達になってあげよう」
「え?このお姉さんと?」
「お友達に歳は関係無いよ。これからは君の事を沢山知りたいからね」
「あ……はいっ……分かりました……」
「改めて、私は白部 求。眼光症研究者だ」
「僕はペリドット・シュトロハイムです。どうぞよろしく……」
手を繋ぐ私とペリドット。これから、二人は少しずつ打ち解けて行く事になる。私は眼光症の新たな秘密を得られるか。ペリドットは新たな友達と仲良くなれるか。
これは、二人の一ヶ月間の記録である。
中編へ続く。
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