第2話 世界に生まれる前
ふと気がつくと、先程のような、真っ白な空間にいた。
「やっと気がついたみたいだね。気分はどうだい?」
「普通です。ここは?」
姿は見えなかったが、先程話をしていた女性?のようだ。
気分は特に大丈夫だが気になる事が一つある。
「ここは、私の創造した世界の入り口だよ。ここで君を新しく人に作り変えるわけなの」
ミステリアスな声の主は、ここは世界の入り口と言ってきた。
通常であれば、笑うような冗談に聞こえるが、実際、私達は意志すら持たない物から、意志を持ち考える様になっている。
この声の主の事は、おそらく本当なのだろう。
それを理解すると、私はこの場に妹がいない理由を、聞かなければならなかった。
「一つ質問ですが、妹は何処でしょうか?」
「全部教えるよ。その前に君は何処まで覚えてるのかな?一応、データ一式と魂の素は回収したけど、記憶がどうなってるか、教えてほしいな」
「私の記憶、覚えている事ですか」
私の名前はアニエス、魔法使いのギルド長をしていて、年が30歳ぐらいのはず
正確には30歳から歳を取ってないが正しいかな
生まれは魔女の国で、好きな事は近接戦闘全般
魔法は全て使えるけど、MPが少なく補う為に近接戦を覚えた。
弟子の育成に力を入れて、数は数えれないほどいる。
妹は5歳歳が離れていて名前はマリエル
世界最強の魔法使いと言われて、悪しき黒龍を一度封印した程、強くて、可愛くて、凄い
あれ…
「十分なほうかな。ゲームを作る時、必要な設定は入れるけど、他の設定、例えば友達とか経歴も必要な情報以外は細かく思い出せないはずね」
「確かに…所々、記憶が空いてます」
覚えていた事を伝えた後、その事を指摘され、私は何かに怯える感情を抱いた。
そうか、作られた私は、本当の記憶はないのか、必要な設定以外は存在しないんだ。
「そう悲観しなくても大丈夫だよ。なに、これから作ればいいんだからね」
「生活がうまくできるか不安です」
「大丈夫だよ。何せ、強くてニューゲームだからね」
「へっ?」
色々考えている所に、聞き間違いの様な言葉を聞いた。
「強くてニューゲームだよ。つまり赤ちゃんからスタートで、能力や魔法はそのまま、大サービスで、ゲームサーバーからアイテム一式も、今ならついてくる!」
「そんなにしてくれて、何かしてほしい事とかあるんですか?」
初めて会った時も思った事だが、私達にこれほどまで力を貸してくれる理由、たとえ神だとしても代償なしに行使できないと思い聞いたのだ。
「ないない!君たちがどう生きるか、それが気になるぐらいだよ。たとえ世界を、君が滅ぼしても私は気にしないさ」
さらっと滅ぼしても構わないと言われて恐ろしくも感じる。話ではこの女性が、いや神が作った世界のはず、知る限り世界は簡単に作れない事から普通なら滅ぼそうとすれば神が干渉して防ぐ、あの世界でもそうだったように、それを興味がない物を捨てるような言い方で、気にしないと言ったのだ。
「普通に生活しますから、安心してください。あ、妹は何処にいるんですか?」
「マリエルちゃんは5年後に、君の家に生まれるよ。事情があってね、双子とかにはできないんだよ」
「5年後…そんな…今すぐ会いたいのに」
「マリエルちゃんも同じ様な事、言ってるけど5年なんて、あっという間だし待ってよね」
「同じ様な事って、私より先に会っていたのですか?」
「いやいや、過去、現在、未来は同じ様に進んでるから未来では、今現在会話中だよ」
なんという壮大な話なんだろうか
私が先に生まれて、5年後にマリエルが生まれる
それなら5年の間に、出来る事をやらなければならない。
「前に言った様に、MMOのソースを使ってるから、すぐ慣れると思うからね。後、魔法使いギルドは、ないから必要なら作ってね」
えっ、ちょっと待って!重要な事言い出したのに!
その話を理解して、聞きたい事を伝えようと思った時には辺りが前と同じように白く染まり、私の存在が新たな存在に変わる事を理解した。
辺りが白くなって頭がボヤッとしてくる。
ああ、もっと聞きたい事があったのに…
生まれ変わってもマリエルに対する気持ち、これだけは絶対に忘れてはいけない、それと聞きたい事を聞く為に神(仮)と新しい世界で会う必要がある。そんな事を薄れて消える中、考えたのだ。
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