2023/05/12 子ども


 恥ずかしながらまた些細なことで泣いてしまったので、ここに整理して置いておく。


 ふと、どうして人は子どもを産むのだろうと思った。

 一度産んだらもう、凄まじく大変な思いをしながら、自己を犠牲にしてまで、子どもを育てなければならない。そこまでしても、可愛い子どもが行き着くのは、地獄を凝縮したかのようなこの恐ろしい人間社会だ。そこでどんなにもみくちゃにされるかを想像すると耐えられない。

 こんなの、私も子どもも不幸になるだけだ。


 私は今まで、親は孫の顔を見たかろうな、という思いから、将来的に結婚して出産すべきかどうか迷い続けてきた。

 だが、子どもを産むことのメリットが親を喜ばせることだけなら、子どもに失礼過ぎるのでいけないと思った。

 私は親孝行をしたいと思ってはいるが、そのために自分の幸福を潰す気にはなれないし、わざわざ不幸な人間を誕生させる気にもなれない。

 よって今のところの結論は、すまないが私は子どもを産みたくない、というものである。


 特に人間社会が悪い。弱い奴をいじめる怖い奴が蔓延っていてどうしようもない。

 私は既に弱き者として生まれてしまったので、筋トレするなり何なりして地獄を乗り切る必要があるが、まだ存在すらしていない人間にそれを求めるのは酷だと思う。

 だいたい、私自身が本当は生きたくないと感じているのに、生きた人間を出現させるなんて、矛盾が激しい。


 ……あくまでこれは私の感覚である。他人が子どもを産んで育てる分には何も思わない。彼らには彼らなりの事情や考えがあるのだから、頑張って子どもを幸せにして欲しい。

 だが私にはその自信が無い。


 そんなことをSNSで言っていたら、よりにもよってそのタイミングでテレビに赤子が映し出され、それを見た母が「りこも子どもを産めば良いのに」と発言した。

 母はよくこれを言う。言われる度、私は曖昧に返事をして流してきた。だが今日はタイミングがタイミングだったので、試しに言ってみることにした。


「嫌だ。私は今、人間社会恐怖症だから、子どもなんて可哀想で産めない」


 するとまあ、色々と言われた。

 子どもは可愛いだとか、人間社会を怖がっているようでは病気は治らないだとか、子どもを育てる過程で己も成長できるのだとか……全ての主張が論点から絶妙にずれているのだが、とりあえず意見が尊重されておらず理解を示されていないことだけは把握した。


 それからしばらくして、上手く言語化できない感情が湧いてきて、また一人で泣いてしまったのだった。


 何も泣くことはないのに、と自分でも思う。思春期じゃあるまいし、親が何を言おうと自分は自分を生きれば良いのに。

 もしや、グズグズになってしまった私のメンタルは、もう直らないのだろうか。筋トレをしても、強くて健康な心は手に入らないのだろうか。

 だからこんな小さな刺激で、情緒がぶっ壊れてしまうのだろうか。


 これではつらいというか、めちゃくちゃ面倒なので、できることなら何とかしたい。感情が無駄に揺さぶられるのは好きじゃないのだ。

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