オホーヌ国会議事堂襲撃事件
「わたしたちに、オホンヌの土地を全部くれないか?」
ヒメカは、単刀直入に切り出した。
「いいんじゃない?。」
ウェヌスさんは、答えた。
「おれも賛成だぜ。」
スサノオさんも、肯定的だった。
「しかし、いずれ力を付けて暴走し出すやも知れん。」
ソピアさんは、慎重だった。
そりゃあそうだ。
オホンヌが発展し出した時、誰も、ヒメカに逆らえなくなるやも知れないのだから。
「オホ国としても、バックアップするのがいいだろうな。」
フェシスさんは腕を組んだ状態で、発言した。
「それそれ。」
ヴィヴァーチェさんは同意した。
「その前に、厭な予感がするんだけど―。」
アメノは頭を抱え込んだ。
「アメノの厭な予感はだいたい的中する。最悪だ。」
ミューズは、暗い表情になって、固まった。
アメノの、お絵描き帳には、国会議事堂が爆破され、オホーヌの街が灰となる絵が描かれていた。
「あ。ヤバい。」
アポロンは、焦り出した。
どうやら、アメノの予言じみた直感はよく当たるらしい。
ドガーガガガゴアーン!
爆音が、轟く。
「この上だ。」
スサノオは叫んだ。
「爆撃されてんぞ!。」
アテナは、大声で嬉しそうに興奮した様子で、叫んだ。
「そりゃあ、世界に向けて配信してるわけですからねえ。」
ラクチェは呆れた様子で、パソコンに、外の監視カメラの映像を映し出した。
黒い手が、地下に向かって、蠢いていた。
監視カメラも汚染されて、壊れて、みえなくなっていく。
「どうするんだこれ?」
イムは慌てふためいた様子だ。
「あたしたちがなんとかします。」
ヒメカは待っていましたといわんばかりに、宣言した。
どうにかなるものなのか?
こりゃあ、誤算だった。
まさか、外国が攻めて来るなんて。
「解析した結果、たぶんこりゃあ、アヘ国のアヘ声戦略兵器、アヘ―トンだな。」
ラクチェは、いった。
このままでは、オホーヌが崩壊して、本当にオホ国は再建できないくらいにボコボコにやられてしまう。
もう、10年前の地獄はみたくない。
「こういう時の為に、カナちゃんとユキを連れて来ておいて本当によかった。」
ヒメカは2人を交互にみた。
「おれたちも連れて行ってくれ。一応、アレス自警団やってんだ。」
スサノオは申し出た。
「使えるわね。兵隊の数は?」
「2万だ。」
「ただ―。」
「兵器が旧型なのね。」
「ああ。」
「戦えないことはないわ。民間人の救助にも使えるし。」
ヒメカはスサノオを完全に手懐け始めていた。
アレス自警団が仲間に加わったようなものであろう。
「オホ国の軍も、今前線で、なんとか食い止めてはいるが、多くの戦死者が出ている模様だ。どうすればいいのだ。」
ミカヅチさんは、困った様子で、ヒメカに相談した。
「あたしが行きます。」
「カナちゃん。戦い方憶えてる?」
「はい。いつだって殺れますよ。」
カナちゃんの目が赤く輝いた。
胸を劈くような、痛みを感じる。
美しい天使の羽が赤く染まる。
「あれは―、かつてオホ国を護った不死鳥。」
ミカヅチさんは、目を疑った。
慄いて、転げまわった。
「コロス。コロス。コロス。コロス。コロス。」
カナちゃんの周りから、呪詛がきこえてくる。
「大丈夫なのか。苦しそうだ。」
おれは、心配した。
「ぐああああ。工夫が足らぬ、戦場じゃあああ、やめません、勝つまではああああ!うああああああ。頑張れ、頑張れ!必死だぞ!、勝ち抜くぞ!」
わけのわからんことをいって泣き叫ぶカナちゃん。
「わからない、あたしも初めてみた。」
ヒメカも困惑していた。
「カナちゃん。大丈夫だ、殺さなくてもいい。」
おれは、カナちゃんを抱きしめた。
痛い、おれの身体中から血が噴き出した。
熱い、なんだこりゃ。
「あっ。ごめ…ん、なさい。」
カナちゃんは我に返って、涙を流した。
「僕が、ハルトの身体を強化してなかったら死んでたんじゃないか?」
ユキはホっとした様子で、おれの身体の応急処置をした。
「ありがとう。」
おれは礼をいった。
カナちゃんが失敗作だというのも、なんとなくわかった気がする。
「カナ。守る為に闘え。もう、殺さなくていい。壊さなくてもいい。」
ヒメカはカナちゃんを抱きしめて、耳元で、暗示をかけた。
「あの暗示がどこまで持つかはわからんが、取り敢えず、行くぞ。オホ国が終わる前に、どうにかしないと。」
ヒメカは、駆け出した。
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