オホ国諜報部隊
「大丈夫ですよ。肉ですから。心と魂はないんですから、どう使っても問題はないんです。医療用にも実験にも使えて便利ですよ。」
ユキはコメントや、おれたちの反応をみて不思議そうに首をかしげた。
どうして、みんな、ドン引きしているのだろう?
ユキの心は、そういった感じなのかも知れなかった。
「ユキはちょっと抜けてるところがあるけれど、悪気はないのよね。いい意味で純粋なのよ。」
ヒメカは、ユキの性格に理解を示した。
「命が救える新しいテクノロジーよ、すごいじゃない。」
ヒメカは、ユキを褒めた。
「ありがとう。」
ユキは少し頬を赤らめて照れていた。
かわいらしく思えるが、こいつはとんでもない人物なのかも知れない。
なんでも解決してしまうオホ声経に匹敵してしまう、テクノロジーの持ち主なのかも知れなかった。
悪用してやろうというもので、世の中が無茶苦茶になってしまうのではないだろうか。
もしかすると、命が狙われてしまうかもしれなかった。
純粋にして無垢であるからこそ、危険なのだ。
「侵入者発見!侵入者発見!。」
地下室に、女性の声が響きわたった。
「あ、侵入者だってさ。監視自立型ロボットが、みつけたらしい。」
ユキは、巨大なディスプレイに、映像を映した。
「地下室の入り口で右往左往してるねえ。でも入口は特定されたみたい。」
「こわいです。」
カナちゃんは、怯えていた。
「取り敢えず、不法侵入したら、取り押さえて、地下室に連行しようか。」
ヒメカは平然とした顔でいった。
「取り押さえることはできるか?ユキ。」
「できますよ。ロボットの方が人より全然力持ちですし、銃弾も避けれます、あたっても流血も怪我も滅多にしませんから。」
「そりゃ、よかった。」
「でも、鍵がかかってるので、中には入れないでしょうね。」
ドカーン
ドカーン
「おい、ロケットランチャーで、入口を壊そうとしてるぞ。」
おれは、ディスプレイを指さした。
「やりすぎだろ。もう無茶苦茶だ。」
ユキは、頭をかかえた。
「いいぞ。これで、理由ができた。これを理由に、いくらでも拷問できる。」
ヒメカは配信にきこえないくらいの小さな声で、呟いた。
こいつ、相変わらず、いい性格してるな。
「あ、入口が壊された、中に入ってくる。」
ユキは、少し興奮ぎみにいった。
「よし、取り押さえて、地下に連行しよう。」
ヒメカは指示をだした。
「了解!。」
ユキは、ロボット人間を使って、入口から地下へ侵入しようとしている大人たちを取り押さえた。
「縄で両腕、両足を縛っておきますね。」
ユキが指示を出しているであろう、ロボットたちは、大人たちを縄で縛り、身動きを取れなくした。
5人ほどいた。
スーツ姿の男5人は、手足を縄で縛られ、目隠しをさせられ、猿轡を噛まされた。
地下室に連行された5人の男は死を覚悟した顔つきをしていた。
もしかしたら、特殊部隊か何かかも知れなかった。
どこかの国の暗殺部隊か、あるいは、諜報部員。
オホ国のものかも知れないし、アヘやアンのものかも知れない。
「よし、猿轡と目隠しを外してもいいぞ。」
ヒメカは、両腕を組んで、命令した。
ロボットたちは、猿轡と目隠しを外す。
「おまえらは、何者だ?」
「―。」
男たちは口を噤んだ。
「だんまりか。」
ヒメカは残念そうに眉を顰めた。
「配信してるんだろ? おれたちは世間に知られるとダメな存在なんだ。」
男の中の1人が、話し出した。
「おお。話せたのか、口があってよかった。すごいじゃないか。」
ヒメカは、男たちを煽った。
他人を苛立たせるのが上手なことだ。
「まあ、仕方ないわね。ちょっと配信をミュートにして、画面に適当な画像でも貼っておきますか。」
「ありがとう助かる。ちゃんと話はする。」
男は、頭を下げた。
「ハルト。やっといて。」
「わかってるよ。」
おれは、配信の音声をミュートにして、ヒメカとカナちゃんの写真を張り付けておいた。
「で、おまえたちは、あたしらに何のようで、何者なの?」
ヒメカは単刀直入にきいた。
「私たちは、オホ国の
「つまり、オホ国に命令されて、あたしたちを強制的に連れ去ろうってわけね。」
「言い方はあれですが、そういうことですね。」
男は申し訳なさそうに、頭を下げた。
圧倒的な戦力差をわきまえているのだろう。
男は、余計なことはしなかった。
話が通じるし、賢い。
「わかった、オホ国の大臣のところに、あたしたちを連れていけ。」
ヒメカは、諜報部隊の男の申し出を受けた。
「いいのですか?」
きょとんとした様子で、男はヒメカをみつめた。
それはヒメカという女に魅了されてしまった男の目だった。
人たらしな女だ。
「その代わり、全部配信させてもらう。」
流石はヒメカ、ただではない。
ちゃんと、取れるものは取っていこうとする。
ヒメカにとって、メリットがあったから、ヒメカは男の申し出を受けたのだ、条件付きで。
その条件がえぐいのだ。
「それはちょっと―。」
「ちょっと?」
ヒメカは詰め寄る。
「私たちでは判断できないことだ。大臣に連絡しよう。直接話してくれ。」
どうやら、ヒメカは国の大臣しかも、軍部の一番トップの人と接触するチャンスを得てしまったようだ。
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