部室棟

理系の大学生活を送ると、夜の学校に居ることは多くなる。小学生、中学生の頃は深夜の学校は得体の知れない怖さがあった。曰くがない学校で深夜に居ても何も起こらないことを学んだ。ただし、それはあくまでも、曰く関することが何も起こらないと言うことだけ。


曰くがある場合は、どうだろうか。

「あの建物では、研究を苦にして自殺した学生がいる。」

どこの大学でもありそうな曰く、ウワサ話である。実際に亡くなったことがある場所もあるだろうけど、ほとんどは事実確認ができないウワサが多い。


大島てるってサイトがあるおかげで、一般住居での人の生き死に知ることができるようになったが、事件性のない学内のデータはあまりないみたいだ。

そのため、自分が通う大学内での“曰く”に纏わるウワサの真偽を知ることはできなかった。



では、その曰くがある場所での怖い話はあるだろうか。

自分が通う大学では、あるみたいだ。

今から書く話は、先輩から聞いた話である。自分が体験した話ではない。


大学内で、人が死んだと言われる建物の近くに部室棟がある。部室棟と呼ばれる建物は3階建てである。様々なサークルが入っているらしい。その、3階に部屋を持つものづくりサークルの先輩から聞いた話である。



「そのものづくりサークルでは、作ったものを人に見せる機会が毎年決まった時期にある。そのため、その期日に間に合わせるために徹夜をして部室に泊まる学生がいる。」

「泊まることに慣れてくると、家に帰らず部室に入り浸る人もいる。」


居心地がよくて部室から帰らない人の話はどこでも聞く話である。実際自分も、研究室によく泊まっているので気持ちもわかる。


「ただ、その階で1人で泊まる時だけ足音が上から聞こえてくる。」

「みんなで遅くまで残って作業してても、騒がしいのか、集中してるのかわからないけど、上から足音は聞こえてこない。」

「3階建ての建物だから、上から足音が聞こえてくるのはおかしい。だから、その足音を聞いた人は、疲れているだろうってみんなで話してたよ。」



この話を聞いた先輩自身は、“足音”を聞いたことはないそうだ。

鉄筋コンクリートの建物でも、すべての壁がコンクリートでもないので隣の部屋とかの音がたまたま上から聞こえてくるってことはあり得ると思う。


先輩は最後にこう言った。

「ただ、

屋上に行く扉は閉鎖されているのに、

屋上で人影を見った話はたくさん聞く。」



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