九章 我らが誤算
わしは勇者マークスⅢと決戦兵の後を追い、城へと突入した。
――おおっ。
わしは思わず声をあげていた。
大広間で見たもの。
それは、巨大な空間を埋め尽くす何百、何千という数の
――なんと言うことじゃ。ほんのわずかばかり
――説明しよう、マークスⅡ。
――ゼッヴォーカーの導師。
――
――たしかに。
わしはうなずいた。
それは例えて言えば水に浮かぶスポンジのようなもの。水は徐々にスポンジに染み込み、ついにはスポンジ全体を水で満たしてしまう。そして、スポンジなのか、水の塊なのかわからない状態へとかえてしまう。
そして、
――もし、過去二回の戦いのときにこれほどの数の
――説明しよう、マークスⅡ。まさに、その通りだ。
もちろん、わしの言っていることは正確ではない。人類と世界を滅ぼすのにこれほどの数の
それを防いできたのが
それが、いまの世界のありさま。
だからこそ、騎士マークスも、わしも、ただひとりの
そして、だからこそ
――ゼッヴォーカーの導師よ。私はいま改めて
――説明しよう、マークスⅡ。私もまったくの同感だ。
――しかし、もういい。
わしは決意を込めてそう宣言した。
そのわしと同じ思いをマークスⅢも
「
――愚かな。
「しゃあああっ!」
マークスⅢの
渦に巻き込まれた紙切れのように
――おおっ。
「
「へへっ。そう言うこったぜ。おれたちはもうお前たちを殺す力を手に入れた。今回はいままでみてえにはいかねえんだよ!」
マークスⅢの叫びにリョキもつづいた。
マークスⅢは鬼骨を高々と掲げて叫んだ。
「決戦兵、突撃せよ!
その叫びに――。
決戦兵たちが一斉に走り出す。
その機械の槍の生み出す
「ふははははっ! 見たか、効いた、驚いたか! これが我らが科学の力だ、恐れおののき、ひれ伏せいっ!」
この様を例の『もうひとつの輝き』の学士が見ていればきっと、そう高笑いしたことだろう。あいにく、例の学士は船に残って
その姿を見られないのは、いささかさびしい。
この機械の槍によって
無力化された
この世でただひとつ、
リョキが巨大な翼を羽ばたかせて
その威力には作り手であるわし自身、
――おお、なんと言うことだ。あの
――説明しよう、マークスⅡ。現実は理論を凌ぐものだ。
「へっ、思い知ったか、
リョキが自慢の翼を羽ばたかせて、空間へと消え去る
「おれたちはかわる、かわりつづける、常に成長するんだよ! いつまでも同じままのお前らなんぞ相手になるかよ!」
「その通りだ。お前たちは自らは永遠だと自慢する。しかし、それは
――ふふ。言うではないか、人間よ。だが、それで我々に勝ったつもりか?
「なに⁉」
――これは⁉
わしは目を見張った。
決戦兵たちが怯む色を見せた。
悲鳴にも似た叫びが響いた。
「マークスⅢ! この霧は我々の
「なんだと⁉」
――マークスⅢ、聞こえるか、マークスⅢ!
突然、騎士マークスの思念が飛び込んできた。かの
――そちらでなにがあった⁉ 突然、新しい
「なんですって⁉」
――こちら、『もうひとつの輝き』、『もうひとつの輝き』! 騎士マークスの力を借りて連絡している!
例の学士の叫びが届いた。騎士マークス以上に
――どういうことだ⁉ この新しい
「なっ……!」
さしものマークスⅢが声を失った。その眼前であふれ出した霧がひとつになり、人の姿に
おおっ。
わしは思わず声をあげた。
そこに現れたもの。それは――。
金属の鎧に身を包んだ新しき
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます