15 三日月と黒雷
エリスは初めて造る剣もメイのものにすると決めていたが、いきなり最強レベルの剣を作れるわけではない。
メイやエクレア、エクリプセと相談して、入手できる素材と使えるスキルを勘案した上でエリスが造った剣は"クレセントソード"。
その名の通り三日月のように刀身が湾曲している剣で、USOでは一部の町で売られているが、USOLではこれを扱う店がある町の"実装"はだいぶ先なので、当分は職人が造るしかない。
「次にエリがもっとすごい剣をつくってくれるまでは、この剣でエリを守るね」
エリスと、新たな武器を手に入れたメイは、ミトの武器作成に必要な素材集めに取り掛かる。
並行して、限定ミッションの準備も少しずつ進めていた。
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ミトが希少な素材をいくつか持ってシュムックカステンにやってくると、エリスはエクレアとともに素材を確認。
「確かにお預かりしました。
次の営業日には、完成した武器をお渡しできると思います」
「じゃあ、その日も通常の営業時間より少し早く来るわね」
「はい」
その日の営業時間終了後、エリスとメイはミトから預かった素材と自分たちが採取した素材を合わせて"仕込み"を始める。
3日後、エリスがアイゼンハマーで鍛えて、黒属性の短剣"シュヴァルツブリッツェン"は無事完成した。
この短剣には武器としての鋭い切れ味のほか、魔力を通せば1日数回限定で黒属性の雷攻撃ができる特殊効果もある。
翌日、エリスはミトにシュヴァルツブリッツェンを引き渡した。
「エリスちゃん、すごい…。
すぐにでも試し斬りをしたくなったわ。
あっ、その前に、約束の代金は払っておくわね」
ミトは
ミトは魔物相手の試し斬りを済ませると、エリスとメイが店の片づけをしている途中にやってきた。
「エリスちゃん…こんなにいいものを造ってくれてありがとう」
「こちらこそ、いい経験になりました」
「これ、わたしの想定以上にすごい代物よ。
これからもっとこれの扱いに慣れて、イベントとか新エリア開放に備えるわ」
改めて喜びと感謝をエリスに伝え、軽い足取りで去っていくミトを見送ってから、エリスとメイは店の片づけを再開した。
次の日、運営より"期間限定ミッション"が告知された。
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今回の期間限定ミッションはヘクセンベルク、デモーネンタール、ハイリゲンヒューゲル、エルステ・パゴーデの4か所とその周辺で行われる。
それぞれに期間限定の魔物が出現するほか、エルステ・パゴーデ以外の3か所は期間限定のフロアが設けられる。
エルステ・パゴーデはそれ自体が限定ミッションの期間中のみ存在し、ミッションの終了とともに消滅する。
期間限定ミッション開始前には"メンテナンス"として一般ユーザは強制的にログアウトさせられたが、エリスやメイ、アンネはミッションの準備のためゲーム内に留まる。
ヘクセンベルクで、エリスはトイフェライを使って限定フロア内に魔物を次々と生み出す。
新しく作ったものもあれば、既存の魔物に手を加えた"変種"もある。
ヘクセンベルク内部での準備を終えると、エリスは周辺のフィールドに移動。
「この子は本来人畜無害だけど、期間限定で恐ろしい存在にしてあげるわ…うふふ…」
エリスはとある魔物をトイフェライで強化し、邪悪な笑みを浮かべた。
準備は無事終わり、"メンテナンス状態"の解除とともに期間限定ミッションが始まった。
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