EPISODE 5
サミエドロとバクは何もない世界で慎ましく生きていた。どんなことがあっても二人で乗り越えてみせた。
死神はその様子をずっと椅子に座り、眺めていた。
「随分とお気になされていますね」
四代目となる新しい人間の神が仕事を終えた旨を報告しに来ていた。前任の人間の神と違って口数が少なく、若いが頭の回転もいい。
「監視だよ」
「監視、ですか」
鎌を磨く。この子といると少し話し過ぎてしまう。
「彼らには永遠の命を与えてみたんだ。…まあ、イワユル不老不死だね」
「そんな大事なものを彼らに?」
「気になってしまってね。今まで色んな命で試してきたけれど、どの命もいい気になって変わってしまった。そんなものはただのガラクタだ」
僕はぼくと同じ不変の存在を探している。なぜなら…
「…ッ、まさか」
口を噤む彼に続きを促す。
「死神を増やすおつもりですか?」
「どうかな」
三つの鎌を磨き終えた死神は席を立った。
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