1年 第2学期 15週目

 


 5月28日



 眠い体に鞭打ち授業を受け終わった後、夢玲Mèng língに連れられとある場所に来ていた。

 店名は西堤Xīdī牛排niúpái王品Wáng pǐnっていう大企業の沢山ある系列店のステーキのお店で、学生からしたら結構お値段がする。西堤Xīdī|牛排《niúpáiはすべてコースで、メニューの中にある前菜などを1つづつ選んで、自分好みのコース料理を作るタイプのものだ。なぜここにというと、1週間遅いけど私の誕生日祝いらしい。これは前から約束していたので、断るのもおかしいし、メンバーが夢玲Mèng líng志豪Zhì háoと1学期に席が近く今も管理学の報告を一緒にやっているうちの一人という。志豪Zhì háoは正直金曜日には普段通りちょっかい掛けてくるので、もう私はこの人を若干諦めていた。


 そんな事よりお肉よお肉!前菜2種・サラダ・スープ・口直しのシャーベット・肉料理・デザート・飲み物とフルコースなので結構満腹だ。スープと一緒に出てきたパンの至ってはおかわり出来るんだって、お腹の余力があればついかしてもらおうと思い食べ進め、デザートまでいったところで、誕生日の人は事前予約で店側からサービスのデザートと歌でのお祝いが少々気恥ずかしい。


 夢玲Mèng língは途中食べきれなさそうなので持ち帰りにしてたよ。因みに彼女はパンを半分私に渡してたからね。「食べ過ぎたらメインが」って言って、予想してたけど笑うしかない。



 5月29日



 今週も私がまとめる当番、計算もゆっくりだが何とか出来た気がする。


好了嗎Hǎole ma?【出来た?】」

是的Shì de老師請Lǎoshīqǐng你確認nǐquèrèn!【はい先生確認をお願いします!】」


 私がおどけて言うのでイヤホン越しに安麗Ān lìの笑い声が聞こえた。

 今絶賛彼女と会話しながらプレゼン内容をまとめていた。なんなら私は授業で疑問に思ったことを聞いたりしている。


沒問題Méi wèntí你做的Nǐ zuò de很好hěn hǎo【問題なし。よく出来てるよ】」

真的嗎Zhēn de ma! やった〜はぁ~Duì心臟xīnzàng不好bù hǎo【ほんと!やった~はぁ~心臓に悪い】」

哈哈哈哈Hāhāhā hātài誇張了kuāzhāngle〜【はははは、大げさだな~】」

「あ! 想想Xiǎngxiǎngkàn觀光guānguāng的報告de bàogào現在的Xiànzàide情況qíngkuàng如何rúhé?【あ!そういえば観光の報告?あれって結局どうなってるの?】」

天野也Tiānyě yě沒有méiyǒu聽到tīngdào什麼嗎shénme ma拿到了Ná dàole一份yīfèn資料zīliào但是dànshì不知道bù zhīdào要做yào zuò什麼shénme所以suǒyǐ問了也wènle yě沒有méiyǒu回答huídá【天野も何も聞いてない?なんか資料1つ来たんだけど何したいのか分からなくて聞いても返答なしなんだよね~】」

我連Wǒ lián資料都zīliào dōu還沒有hái méiyǒu收到shōu dào……明天míngtiān 問問wèn wèn【その資料すら来てないけど……明日聞いてみるわ】」


 何もしてないと言われるのは心外だ。やることは最低限やらないとね。


 22時過ぎ私は、交流会のメンバーと近くの学校で、とある人物を待っていた。そう今日誕生日の先輩(笑)だ。

 遅くまで作業をしているとかで、同じ学科の子が呼びに行って帰るのを待っているところだ。

 到着したところで、バースデーソングを歌い、学校の中庭にあるテラスみたいなところでケーキを食べて遅いので解散した。早いって思うかもだけど、本人がこういった行事照れに照れまくるから足早に逃げたのだ。主役居なくなったら解散しかない、一部メンバー同じ方向で、小腹すいたからと近くのコンビニで買ったものを食べながら歩いて帰った。歩いて20分弱だから案外近いだよね。



 5月30日



 タイの友人が近くにいたので、一緒にやっているプレゼンについて何か聞いていないか聞いたところ彼女も何も知らないとの事。因みにその隣にいた同じ班の子も何も聞いていない。発表までそんなに時間もないので、3人で志豪Zhì háoの元へ行き問いかけるが――


我還在Wǒháizài思考sīkǎo誰要做shuíyàozuò什麼shénme【誰が何をするかまだ考え中なんだよね】」


 私は直感的にこれそのままにするとヤバイ案件だと思い。


Dàn報告bàogào下週xià zhōu不是嗎bùshì ma你能Nǐ néng告訴我gàosùwǒ目前mùqián你在nǐ zàixiǎng什麼嗎shénmema?【けどさ発表来週だよ?どういった事を考えてるのかだけでも教えてくれないかな?】」

「e〜就像Jiù xiàng我說的wǒ shuō de不認為bùrènwéi你知道nǐ zhīdào該怎麼gāi zěnmezuò【え~言ったところでなぁ~何するか分からないと思うよ】」


 言わなければもっと分からないのだが……隣にいる二人も「え?」って虚をつかれた顔をしてる。分かるよ。もう最初にみんなが考えていたやつが良かったのでは?と半ば本気で思うのだが……


當我Dāng wǒ決定時juédìngshí我會wǒ huì告訴dàjiā大家dàjiā【決めたらみんなに言うから】」


 それだけ言って話を切り上げられたのだった。



 5月31日



 今日は私当番週最後のプレゼン無事終わってよかったよ。

 もう1つは、私たちの班は来週する企画書プレゼンの日、老師Lǎoshīが企業に向けてのプレゼンって形にしようと言って、全員スーツ着用だ。スーツはいざという時、いやそもそも入学式にいるかもと思って持ってきていたのだが、肝心の靴が壊れていて、台北駅で買ったのだが、ヒールを履きなれていないので、足が先ほどから痛くて、話に集中できない。


「(交流会行くときは靴履きかえよう)」


 そう思いながら一日を何とか過ごし、交流会を終えて寮に戻り、私は風呂で一人声にならない悲鳴を上げた。


「痛い……えっ踵の皮両方とも捲れてるやん。アカン痛い」


 半泣きになりながら風呂を終えたのはいいが、ふと気づく絆創膏は持ってるけど薬がない。

 幸いまだみんな起きている時間で、私は傷薬を貸してくれと頼むと何故かみんなわらわら部屋から出てきた。


讓我Ràng wǒ看看kàn kàn你的nǐ de傷口shāngkǒu【怪我見せて】」

是腳Shì jiǎo……足なんだけど……」


 私は椅子に座って、踵が見えるように足を軽く向けると案の定「痛そう」と言われる。うん痛い。


因為液體Yīnwèiyètǐhuì滲透shèntòu所以用suǒyǐ yòng這個zhège【液体は染みるからこれにしようか】」

我有一個Wǒyǒuyīgè很好的hěnhǎode!【私良いの持ってるよ!】」


 あれでもないこれでもないとみんなが言いつつ何故か手当までしてくれた。どちらにしろ傷口には染みる私の顔がすっぱいものを食べたような感じになっているので、みんな苦笑していた。傷が思った以上に大きく普通の絆創膏だと少し小さいので、大きいのを渡される。


暫時Zhànshí是就shì jiù這樣吧zhèyàng ba【とりあえずこんな感じかな】」

謝謝Xièxiè【有難う】」

你明天Nǐmíngtiānzài林口吧línkǒu ba藥呢Yào ne?【明日林口だよね?薬は?】」

那邊有Nàbiānyǒu所以我suǒyǐ wǒ就買個jiù mǎi gè橡皮膏xiàngpígāo【向こうには置いてるから絆創膏だけ買う】」

你使用Nǐ shǐyòng這藥zhè yào直到zhídào你的腳nǐ de jiǎo痊癒吧quányù ba帶來也Dài lái yě很麻煩吧hěnmáfanba而且這Érqiě zhè傷口shāngkǒu不會bù huì馬上mǎshànghǎo【この薬直るまで使ってていいよ。持ってくるの大変でしょ?それにその傷直ぐには治らないし】」

可以嗎Kěyǐ ma謝謝Xièxiè【いいの?有難う】」


 おまけに靴擦れ防止にいい物も教えてくれた。ありがたや~

 ヒール履かなくていいのなら履きたくないのが本音だが難しいよなぁ~



 6月1日



 足が痛い……


 半ば足を引きずりながら学校へ行き、席に着いたはいいが、朝一番の微積分で老師Lǎoshīがとんでもない事を言い出した。その内容を要約すると


「この間自習で授業できなかったので、確認したら君たち火曜日午前中何もないよね。来週午前4時間微積分します」


 クラスの「え~」って声がこだまする。朝8時から4時間微積分とか何の拷問だ。隣を見ると机に突っ伏している夢玲Mèng língがいる。数学関連本当に苦手なのか私以上の落ち込み具合だ。


「休みたい」


 気持ちは分かるが、そこは頑張らないと本当にやばい、この老師Lǎoshīの授業スピード本当に早いので、1時間でも抜けると大変なことになるし、点呼が厳しいので、仮病など論外だろう。


 朝から本気でテンション下がりに下がった一日になった。



 6月2日



 教会で一日過ごして、帰って復習して、寝る。


 土曜日は、これがルーティンになってきている。

 静かにノートを整理する時間が中々取れなくなっていた。


「打開策考えないと、これからが大変だなぁ~」



 6月3日



 寮に戻り、明日の報告書の内容を頭に入れていた。

 明日管理学のプレゼンが等々私たちの番だ。本来なら私は、冒頭の企業紹介で終わるのだが、老師Lǎoshīがランダムで当てるので、私の番がどこになるか分からないしもしくは無い可能性もある。どちらにせよ内容を頭に入れないとである。


「あれだけ、資料要求しておいて使ってるの一部のみって」


 ため息が思わず漏れるのも仕方がない。平日5日間の内4日間は確実に深夜に電話が掛かり、仕事を増やされていたのだ。あの時間は一体何だったのだろうか?私は問わずにはいられない。


「何がしたかったんだろう?それよりももう1つの報告どうすんのかなぁ~なんも言われてへんし……」


 メールで聞こうと思ってやめた。何ならタイの同志とか他のメンバーにも確認を取って分からないメンバーみんなで聞きに行った方が良い。私一人だとはぐらかされそうだからともいえるが――


「はぁ~実際言葉通じないと何もできないけど、ここまでされるのはなんかなぁ~あと3年やっていけるんかなぁ~」


 新たな壁にぶち当たる私であった。


 

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