1年 第1学期 8週目&9週目 

 

考試Kǎoshì範圍是fànwéi shì……【試験範囲は……】」


 老師Lǎoshīが読みあげるページ数にとりあえず付箋を貼っていく、教室では「え~」って叫びに近い声とブーイングの嵐が起こっている。

老師Lǎoshīもっと範囲減らして~」という声もちらほら聞こえるが、「これども少ない」と一蹴されれば変わることはないであろう


 授業が終わり私は教科担当の老師Lǎoshīの所へと急いでいく、範囲の聞き間違いが無いかと、テスト方式の再確認のためだ。

 テストは主に、問答題Wèndá tí【記述式】と選擇題Xuǎnzé tí【選択問題】の両方かどちらか片方である。私が聞き間違えていては困るので、もう一度聞くしかない。なんと何人かの老師Lǎoshīは、「こことここはよく見ておきなさい」ってこっそり教えてくれるのである。と言ってもそこは出す可能性が高い所であって、それですべてが終わるわけでもないし、問題は、内容をすべて把握出来たとしても書けるかは別問題である。

 私は老師Lǎoshīにお礼を言った後、安麗Ān lìのもとへと行き「ねぇ老師Lǎoshīがこことここはよく復習しろって言ってたんだけど、この部分での重要な場所ってどのへんかな?」と聞いた。安麗Ān lìは私が言った章のページをめくりなん箇所かを指さすのでそこに印を打っていく。

 何をしてるのかって?教科書って章ごとに区切られているでしょ?でも全部が全部本題ではないって言えばわかるかな?その物事に対しての内容を説明しているけど、その中でも一番まとめの場所というかここを語るのにこれを外したらいけない部分というか、日本語では何も考えずにここかなってみんな無意識にみているけど、言葉が変わるとどこが何を指し示しているのか区別がつかないから私はその部分を今尋ねているところだ。

 一番大事な部分を押さえるという事が、私には必須条件である。


 そうして私は、中間テストがある教科全て、同じように聞きに行った。行くときは、タイの子も引っ張っていったよ。外国人はみんな同じ状況下にあるからね。



「あぁ~終わる気がしない……」



 私は寮で盛大にため息をついていた。因みにみんなはまだ帰ってきていないので、静かな空間に私の情けない声が響く


「会計学、日本みたいに引っ掛け出されたら分からないし、その前に問題読めるのかなぁ~先生の言ってる内容いまいちよく分からないしなぁ~」

「微分と国語は死んでるし……民法は、とりあえずこの重要部分が書けるようにひたすら書いて覚えるしかないかなぁ」


 エンドレスで独り言を話している。というか声に出さないとやってられない……

 書いて覚える系は


 1.教科書の書いている内容を覚える。

 2.教科書伏せて、覚えているところまで頑張って書く!

 3.答え合わせして、もう一度一から書く!

 4.また教科書伏せて、さっき書いてた場所もかくして、あっていた所も含めてもう一度一から書く!!


 をひたすら繰り返す。もうね気持ち悪いくらいに紙びっしり超細かい字(商品パッケージの内容とか書いている小さい字くらいの大きさ)で、覚えるまで繰り返す。

 この紙見られた時は「呪いの紙!?」て言われるくらい文字を書いてたからね。

 もうね。意味は日本語で覚えていても実際それを中国語に出来るか分からないから。漢字を絵だと思って覚えることにしたんだ。おかげで手が痛い。


 それでもね。終わりが見えないし、時間がいくつあっても足りない。


「時を止めたい」


 脳内の現実逃避が日に日に増していく、勉強が元々あまり好きではないので、半年前の私が、今の私を見ればドン引き間違いなしだろう。





 1週間後――





 教室に老師Lǎoshīが入ってきて、まず言うのが教科書やノートを片付けなさいだ。

 次に答案用紙が配られたんだけど


(長い)


 A4用紙を縦に2枚繋げた長さで、一番上に学籍番号と名前を書く欄があって、下はすべて横線のみの真っ白な紙だ。(先生の名前を書く欄もあるけど、先生の名前を憶えていません)

 次に渡された問題用紙はこれまた問題びっしりだ。


 答案用紙に自分で、問題番号を振っていくのだが、私は書けないねそんなに……

 安麗Ān lìとか数名は2枚目の紙貰ったりしてたよ恐ろしい。


(あぁ~あの漢字なんて書くんだっけ~)


 私がテスト中一番思ったのはこれだ。テスト始まったら緊張で、頭の中真っ白になったんだよね。そして書きにくい漢字ほど思い出せないという……困った困ったである。


 因みに元々の授業時間の間中好きなだけ考えていられる。2時間とか3時間とかね。途中で席を立てばそこで終了となる。


 私はとりあえず書けそうなのを必死に書いて、もう何も思い浮かばなくなってから提出しに行った。無駄に時間を浪費するより次の教科を覚える方が先決だからだ。


 民法とか法律書くのは、途中漢字が出てこなくて、図解書いたりしたよ。A→Bみたいにして、もうどうすればいいのか分からなくなった人の最終手段だよ。


 英語はね。中国語に訳せってやつがうん案の定書けなかった。日本語が分かっても中国語が分からないだ。もうどうにもならない。



 そして……私は人生で初めてテストで泣きそうになった。



「次の内容を現代中国語に訳しなさい」的な問題……問題は分かるんだよ。

 中国語の古語を現代中国語に訳せって分かるんだよ!古語が理解できないうえに書けない。


(国語死んだわ……日本の漢文より内容複雑だしレ点とか書いても理解出来ん!もうアカンやん!てかなんで授業でさらっと流したところが出てるねん!)


 脳内突っ込み満載である。それでもなけなしの努力で、問題用紙を睨みつけて、何とか訳そうと頭をひねらせていると、机の傍で誰かが立つ気配がした。もちろん老師Lǎoshīである。私の机の隣に立ちしばらくしてから後ろに行った。


 その10分後――


 黒板に書き込む音がして


同學Tóngxué ,黑板hēibǎn上寫的shàngxiědeshì加分題jiā fēn tí【皆さん黒板に書いたのは加点問題です】」


 1.臺灣の有名な作家の名前を4人答えなさい。

 2.大学四年間で成し遂げたいことは何か?


 って書いてあった。多分1番目の問題は、臺灣の子に向けて、2番目は私たち海外の子に向けてのお情けだろう。


老師Lǎoshī有難う!2番なら頑張って書くよ!)


 自分でも思うが、現金なやつである。答案用紙上の方はほぼ白紙、(ところどころそれっぽい内容書いたけど、合っているかは分からない)最後だけ文字が少しあるというかなり情けない形になった。

 因みに提出して教室出たらクラスメイトの一人が「書けた?」聞いてきて、「無理」と答えたら「私も無理だった」って返って来た。無理の度合いが違う気が、するのは気のせいだろうか……


 こうして初の地獄の中間テストは幕を閉じた。反省点しかないのである。今後どうやって勉強をするのかまた考える羽目になった。





 週末――




 みんな中国茶って言えば何を思い浮かぶ?


 観光ブックとか日本で中国茶飲むって言えば、茶壺Cháhú茶杯chábēi茶海chá hǎi茶盤chápánなどの茶器があってそれぞれの作法があって、優雅に香りを楽しむ物って感じでしょ?


 でもね。昔の人やお店ではそうなのかもしれないけれど、私が教会とか知り合いの家に行くと少し違う事が分かった。



 日本の茶道とかだとその静かなひと時を味わうものならば、臺灣で一般的なお茶は、お茶を楽しむのもあるけどどちらかというとお茶を飲みながら会話を楽しむのだ。


 基本的に臺灣の人が日頃からお茶を飲むのかって言われたら答えはNOだ。

 はっきり言えば茶葉はまぁまぁ高いのだ。水を飲む人の方が多い。飲み物を買いに行けばすぐに飲めるからだ。

 では、どういう時に飲むのか。お客さんが来たときとか、みんなで集まった時とかだ。

 家主とかがお茶を淹れて、みんなの茶杯に注いでいく、茶杯が空になればまた注ぐ、これがエンドレスに繰り返されるのだ。せっかく入れてくれたからって飲むと何度も何度も注がれ飲んでなので、お腹が水でいっぱいになる。私からすれば途中から如何に止めるかって言う勝負になっていた。だって飲まずにおいていても冷めるから飲んでって言われてしまう。もう大丈夫って言っても「大丈夫違う茶葉だから」って新しいのくれるのだ。


 私は現在進行形で、どうするか悩んでいた。テスト明けで、教会の人たちが話そうって言ってくれるので参加したのだが、お茶請けも勧められるので、お腹が……


 徐々に飲むスピードを遅くする。会話してて飲むの忘れてたくらいなスピードで……


 お茶請けには基本的にお菓子より果物が置かれていることが多い。よく見るのは蘋果Píngguǒ【林檎】と番茄Fānqié【ミニトマト】(細長いよ)に香蕉Xiāngjiāo【バナナ】、芭樂Bālè【グァバ】と蓮霧Lián wù【レンブ】はよく見かける。後は季節の果物だったり


 芭樂Bālè【グァバ】は、外側の色は黄緑色で、白肉と赤肉があって、赤肉の方が甘いらしいんだけど、私は白肉しか食べたことがない。食感はかなり硬い、種も食べられるから食べてると、カリカリ、シャキシャキって音がする。ビタミンCが豊富なんだって~


 蓮霧Lián wù【レンブ】は、形はピーマンに少し似ていて、色は赤色。食感は少し林檎に似てるけど、繊維が荒いから滑らかな食感ではない。味はさっぱりしてるから食べやすい。


 香蕉Xiāngjiāo【バナナ】は、日本でも見かけるやつともう1つ親戚で「芭蕉Bājiāo」って小ぶりのものがあるんだけど、これが2~3口で食べられるくらい小さい物なんだけど、しっとり食感ですごく甘くておいしい。「芭蕉Bājiāo」のとりこになってしまう。


 もぐもぐ食べながら、中国語で話したり、年配の人は日本語が話したいらしく日本語で話したり、一番楽しいのは小さい子たちと話す事かな。中国語のレベルが同じもしくは私より上なので、会話に悩む必要があまりない。単語で会話できる。小学生の子たちと話しているときは「これなんて読むの教えて」って言えば仕方ないなぁって教えてくれる。学校だと聞き役の方が今の所多いので、会話の練習になって有難いのだ。私の可愛い小さい先生たちだ。たまに「こんなのも分からないの~」って言われるけどね!



 因みに、臺灣の人お土産で茶葉を渡すことも結構あるんだって!へぇ~


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