実験スタート

第7話 実験の内容を決める

 さて、酒と梅酒についてつらつらと語った後で、今回の実験の概要を述べよう。

 使用する酒の種類は10種類。麦焼酎、芋焼酎、泡盛、ウィスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、ホワイトラム、ダークラム、テキーラ。

 比較がしやすいように、梅酒をつけるにあたっての各種条件はなるべく均一化する。酒、梅、糖の量、入れ物のサイズはすべて同じにして、対照実験っぽい感じにするのだ。


 最初にやるのは、梅酒を漬ける容器を購入することだ。容器のサイズによって各種の材料の量が決まるので、これは最初にしなくてはいけない。

 ホームセンターに行き、キッチン用品のコーナーで保存瓶を物色する。

 あまり容量が多いと持て余すし、失敗した時が怖いので大きめのジャム瓶ぐらいのサイズでいいが、漬け込みの作業をしやすくすること、ある程度の量が入れられることなどを考えて探す。

 その結果、450mlの広口瓶が見つかったのでこれを11個購入(1個は予備だ)。


 容器を手に入れた後はそのサイズを基準として、材料の最適な量を考えてみる。材料を無駄にはしたくないし、入れ物の容積を十分に活用したい。

 梅酒を漬ける際は、梅1に対して、酒1.8、糖0.6~0.8の割合が一般的らしい。

 酒の種類による風味の違いを検証することが目的だが、糖が多いと甘くなりすぎて区別がつきにくくなることが懸念される。

 そのため、氷砂糖はやや少なめの0.5ぐらいにすることにした。


 今回購入した瓶の容量は450ml。これは胴体の部分の容量で、試しに口までいっぱいに水を入れると500mlと少し入った。

 氷砂糖と梅が入ることを考えると、酒の量は250ml半分より少し上になると想定される。

 スピリッツはアルコールの量が多いことから、比重は水よりも少し下になる。ストレートのウイスキー(40%)で0.92ぐらいなので、度数が似た他の酒もほぼ同じとみてよい。

 氷砂糖は純度の高いショ糖(スクロース)の結晶で、比重は1.59。これは調べると簡単にわかった。


 梅の比重だが、青梅のLサイズで粒の直径が30~34mm。重さは10~15gぐらいらしい。実の形状が真球であるとして、直径35mm、重量12gで計算すると、比重はおよそ0.73~1.06程度。間を取って約0.9とした。

 青梅の形状は真球ではなく、サイズは長径を取ったものであるため、実際には体積は少し小さく、それ故に比重も大きいと思われる。

 余裕をもって酒の量を180mlにした場合、重量では165g。重量比で考えると、梅は91.7g。体積でおおよそ101.8ml。

 かなり余裕があるので、もっと増やしてもよさそうだ。


 酒の量を270mlにすると、重量で248.4g。その場合、梅は138gで、体積で153.3ml。合計401.7ml。これに氷砂糖を重量比0.5にして69gとした場合、体積は約43ml。合計で444.7ml。かなりいい感じになりそうだ。

 計量を楽にするため、梅は150g、氷砂糖は75gにしてみると、梅の体積は166.7ml、氷砂糖は46.9ml。合計で483.6ml。

 梅の比重は計算よりももう少し大きいと思われるために、体積はもう少し小さくなるはずだ。そう考えると、これで余裕だろう。


 保存する際に空気が入るスペースがなるべく少ないほうが良いらしいので、使用する容器のサイズから考えて、酒は270ml、梅150g、氷砂糖75gの組み合わせがベストのようだ。

 計算してみてから気が付いたのだが、青梅の体積の平均値を求める時は、いくつか水に沈めて増えた水かさから求めればよかった……。そっちの方が確実に正解に近かっただろうに。

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