第11話 12月、大人と大人(初夜描写あり)

0:時は流れ11月上旬、百貨店にて


有希:いらっしゃいま…あ

小林:あ

有希:(ニタニタと)こんにちわ、先生。こんなところで奇遇ですね

小林:そうですねお邪魔しました帰ります

有希:(遮って)彼女さんにプレゼントですか?ですよねー?だって2か月後は愛しの彼女さんの二十歳の誕生日ですもんね?

有希:男性物も置いてますけど、まさかあの身なりに全く無頓着だった先生が自分用のアクセサリー買いに来るわけないですしー?

小林:…ここの百貨店の店員さんは随分押し付けがましくて失礼な方なんですね。お客様の声に書いてやろうかなぁ

有希:私なら5%オフでご提供できますけど?

小林:…品物、見せてもらえますか

有希:先生、案外俗物(ぞくぶつ)ですね

小林:ジュエリー5%オフは大きいでしょう。伊藤さんはバイトですか

有希:そうでーす

小林:バイトもいいですが、勉学をおろそかにしないでくださいね

有希:あら、私今のところフル単なんですよ?それもA判定ばっかり♪

小林:それは失礼しました

有希:それで、先生のお目当てってなんですか?ネックレス?ブレスレット?何でもお出ししますよ

小林:じゃあ、二十歳くらいの女性が身につけそうなネックレスを

有希:かしこまり~(出しながら)…ん~美樹の好みならここら辺かなぁ?


0:他の商品を見ている小林


有希:ん?先生?

小林:あ、いえ

有希:何か気になるものありました?…あ


0:視線の先にある品物に気づいた有希


有希:エンゲージリング、気になります?

小林:いえ別に

有希:よければいくつか一緒にお出ししますよ

小林:まだ当分先の話ですよ

有希:まあまあ、見るだけはタダですよ、ね?

小林:はぁ


0:指輪の値段を見て


小林:分かってはいましたけど、結構しますね

有希:日和(ひよ)らないでくださいよ?うちらの大事なもんかっさらおうって腹決めるイベントなんですから

小林:かっさらうって…美樹はとっくに僕の彼女なんですが?

有希:うわ、人って2年でここまで変わります?

小林:僕は昔からこんな人間です。それに、あなたには色々と思うところがあるのでここらで一度、釘(くぎ)を刺しておこうかと

有希:やだ怖~い

小林:面白がってるようにしか見えませんが

有希:そうですか?あ、でも先生に一つだけ忠告しときますけど

小林:なんですか?

有希:いくらサプライズでも、婚約指輪や結婚指輪を彼女に相談なしで買うのは止めといたほうが無難ですよ?好みのデザインとかありますし

小林:そうですね、参考にします。まあ、まだ先の話ですけど

有希:あら、そうなんですか?

小林:美樹の卒業までまだ一年以上ありますし、その後だって就職とか色々落ち着いてからの方がいいでしょう

有希:ん~…ま、そうですね。…にしても、ちゃんと見据えてるんですね

小林:まあそりゃ

有希:美樹はいい彼氏を持ったなぁ

小林:…いい友人にも恵まれてますよ

有希:あら、おだてても5%以上の割引はできませんよ?

小林:それは残念

有希:(笑う)


0:12月上旬、カフェにて


玲奈:美樹、お待たー。なんにした?新作フラぺ?

美樹:ん~ん、今日はホットティー

玲奈:あれ、珍しい。寒いから?

美樹:それもあるけどその…カロリーが

玲奈:えー?そんなの気にする必要ないじゃん、今のままで十分痩せてるのに

美樹:脱いだらぷにぷになの

玲奈:嘘だぁ

美樹:ほんとだって

玲奈:でも脱がなきゃわかんないんでしょ?だったら

美樹:脱ぐかもしれないじゃん

玲奈:え?

美樹:その…もうすぐ私の誕生日でしょう?

玲奈:うん

美樹:だからその…先生とほらさ

玲奈:え……ちょ、ちょっと待って

美樹:うん?

玲奈:一個確認していい?

美樹:うん

玲奈:美樹とさとにぃってその、どこまで行った?

美樹:どこまでって、えっと…その

玲奈:(無言の圧力)

美樹:チューもまだ

玲奈:まだ?嘘ぉ!

美樹:嘘じゃないよ

玲奈:だって美樹、前…3月くらいに薬局でその…あの箱買ってたじゃん

美樹:あの箱って

玲奈:(小声で)コンドーム

美樹:(遮って)見てたの!?

玲奈:たまたま見ちゃったの!だから私てっきり…いやまあ、なかなか会う機会無かったし…芋づる式にあいつの体験談に繋がっちゃうし確かめてなかったけど…え、美樹たちその、まだなの?

美樹:うん

玲奈:マジで?キスも?付き合って1年半以上経つのに!?

美樹:うん…

玲奈:かーっ!クソ真面目君か!いや、ここまで来るとむしろすげーわ、さとにぃ

美樹:それでその、先生にね…誕生日とその翌日、空けておいてって言われて

玲奈:それは…十中八九そういう事だわね

美樹:だよね!?どうしよう!こんなぷにったお腹見られたら引かれないかな!?

玲奈:そんなこと無いと思うけど

美樹:ホント?ホントに大丈夫?あ、下着って何色がいいの?先生って何色が好き?白?ピンク?

玲奈:知らないわよ!

美樹:シャワーっていつ浴びればいいの?メイクって落とすものなの!?

玲奈:あーもう!私に聞くなーっ!


0:12月28日、遊園地にて


玲奈:え

有希:あ

美樹:うそ

小林:へぇ…

玲奈:美樹にさとにぃ!なんで?なんでここにいるの?

美樹:それはこっちのセリフだよ!え、二人も遊園地来てたの?

玲奈:そうそう、ちょうど有効期限が年内の遊園地の割引券、有希が持ってて

美樹:えー偶然!まさかこんなところで会うなんて

玲奈:ねーびっくり!


0:きゃっきゃする二人を横目に


小林:こんにちわ、伊藤さん

有希:こんにちわー先生

小林:偶然ですねぇ

有希:ソウデスネ

小林:僕も先月ある百貨店で買い物した際に、ここの割引券をショップの店員さんに頂きまして。いやぁまさかこんなところで会うとは奇遇ですね

有希:い、一応弁解しときますけどただの偶然ですよ?割引券結構余ってて従業員も貰ってっていいって言われたの1週間前で、玲奈誘ったらこの日なら空いてるからって

小林:ほお?この日に僕が彼女に会う予定があると知っていたあなたが、期限が年内の割引券を渡しておいてわざわざ同じ場所に来たのに偶然と言い張りますか

有希:いや~まさかほんとに来ると思わなかったし来たとしてもこんなに広い遊園地でエンカウントするなんて思わないじゃないですか~微レ存かもかも?とは思ってましたけど

小林:また宇宙語を

玲奈:二人で何の話してるの?早く入場しようよ

有希:そ、そうねーじゃあ私らはこれで

美樹:あ、あの!よかったら一緒に回らない?

有希:(出来たら同時に)え

小林:(出来たら同時に)え

玲奈:何言ってんの、だってあんたらデートじゃ

美樹:だって遊園地だよ?みんなで回ったほうが楽しいじゃない!

小林:(小声で)伊藤さん

有希:(小声で)そんな怖い顔で睨まないでください!流石にこれは計算外ですって!

小林:(小声で)ったく

美樹:(小林に)ダメかなぁ?

小林:…いいよ。美樹がそうしたいなら

美樹:やった!ありがとう先生!

小林:はぁ…


0:次々にアトラクションに乗る4人


美樹:楽しかったねぇ

有希:ね!

玲奈:次はどれ行く?

有希:んー

美樹:あ!ねぇねぇ次はあれ乗りたい!

玲奈:ん?…あ

有希:スペースショット?いいわよ

玲奈:あー…私はパス

美樹:え、玲奈乗らないの?

有希:(小声で)そういえば玲奈って

小林:じゃあ僕も待ってるよ

美樹:先生も?

小林:ちょっと疲れたの。10歳差のハンディ考えて

美樹:え~おじさんみたいなこと言ってる

小林:みたいじゃなくてもうおじさんです。待ってるから二人で行っといで

美樹:はぁい。じゃあ行こ、有希

有希:OK


0:残された二人


玲奈:さとにぃもあれダメな口?

小林:ああ。他のアトラクションはいいがあれだけはなぁ

玲奈:わかる。あの垂直急降下、苦手なんだよね。ジェットコースターは平気なんだけど

小林:こういうとこだけ従兄妹で感覚似てんのかもな

玲奈:前にここ来た時も乗らなかったの?

小林:乗ったよ。早く終われと願いながら

玲奈:わーカッコ付け

小林:そりゃ初デートだったからな、カッコも付けるよ。相手は10個も下の元教え子だし

玲奈:気にするんだ

小林:気にしないわけがないだろ

玲奈:…正直私さ

小林:ん?

玲奈:さとにぃが美樹とくっついてめっちゃ驚いたんだよね

小林:くっつけようとしてたくせによく言う

玲奈:多分無理だろうなって思いながらアシストしてたの。だって、大の大人が高校生の想いに応えるわけないって思ってたし

小林:そうだな。それが正しいんだろうな、ほんとは

玲奈:なんで受け入れたの

小林:さぁ…自分でもわからん

玲奈:なにそれ

小林:わからんもんはわからん

玲奈:熱量に負けた?

小林:それもある

玲奈:それも、ね。…じゃあさ、付き合ったこと後悔したことは

小林:ない

玲奈:即答かよ

小林:ないよ。一度もない

玲奈:へぇ?

小林:まあ、一つ誤算があったとすれば…ここまでハマるとは思ってなかったな、正直。あいつが他の誰かを好きになったら離してやれると思ってた節はあるよ

玲奈:今は?

小林:無理

玲奈:即答(笑)

小林:悪いけどお前の親友、もう離す気ねぇから

玲奈:それって、「今日取って食いますよ」って宣言?

小林:おま、身も蓋もない言い方を…

玲奈:さとにぃ、今まで手ぇ出さなかったって聞いたけど、マジなの?

小林:悪いかよ

玲奈:うわー…バカ真面目過ぎない?1年半だよ、1年半。よく耐えれたよね

小林:うるせーよ。…正直、自分でも線引く必要あんのかなって思う時もあったけど、そこだけはけじめとして持っておきたかったんだよ。あと、大人として最後の逃げ道作ってやりたかったって言うか

玲奈:逃げ道?

小林:最後まで手を出す前に逃げられたら諦めてやるから、逃げるなら今のうちにしとけって…まあ正直、そんな思いは付き合って早々吹っ飛んでたんだけどな。…多分逃げられても追いかけてた

玲奈:うわぁ…さとにぃって結構、粘着系だよね。一つのもの気に入ったらずっと愛用するし

小林:自分でも思うよ。だから枷(かせ)の意味も込めてた。社会も知らずに学校っていう狭い世界の中で好きになった相手に一生縛られたら、可哀そうだろ

小林:あいつが嫌になったら責任持って解放する、そう思ってたんだよ…少なくとも初めは。子供に手を出した以上、それが大人の責任だと思ってたから

玲奈:で、大人の責任放棄するんだ、今日で

小林:だって、お前らもう大人だろ、立派な。…だから、全部もらうわ。つか、とっくに開放とか無理だし

玲奈:うーわ、愛が重ぉ~

小林:だろ?

玲奈:美樹も大変なのに捕まっちゃったわ。あ、捕まえに行ったのか。…つーかそんなの、私に宣言すんなし、勝手にしてよ。…もういい大人なんだから

小林:(笑って)そうだな

玲奈:…まあ、私はあんたが美樹の彼氏でよかったって思ってるけど

小林:俺もお前があいつの友達でよかったと思ってるよ

玲奈:あっそ。…大事にしてよね

小林:言われなくてもそのつもりだ


0:一方の二人


有希:ねえ、なんで一緒に回ろって言い出したの?

美樹:え?

有希:せっかくのデートなのに、よかったの?それに今日は、美樹が待ちに待った二十歳の誕生日じゃない

美樹:えっと

有希:手を出されないってずっと言ってたじゃない。よかったの?そんな日に私たちと一緒にいて。…って、もしかしたら美樹たちに会えるかもなんて思いながら遊園地来た私が言う事じゃないんだけど

美樹:あれ、私たちが今日ここに来ること、有希知ってたの?

有希:んーん、山勘。神のお告げ的な

美樹:なにそれ(笑)

有希:で、なんでよ。単純に大人数の方が楽しいと思ったから?

美樹:それもある、けど…

有希:けど?

美樹:今日…遊園地の後、お泊り提案されてて。その…近くのホテル取ってあって

有希:おお、ついに!

美樹:うん、多分そうなんだろうなーって思うんだけど

有希:うんうん

美樹:でもその、意識したらどんどん平常心でいられなくなっちゃって

有希:ん?

美樹:ドキドキしすぎてまともに顔が見られなくなったと言うか

有希:ぷっ!それ、付き合ったばっかの時とおんなじこと言ってるよ?

美樹:そうだっけ?でも、感覚的にはそんな感じかも。いきなり男の人だなぁって思っちゃって

有希:ええ?今まで女だと思ってたの?

美樹:そういうわけじゃないんだけど、その…今日するんだーって思ったら意識が全部そっち行っちゃって、会話も結構上の空になっちゃって

有希:えー?美樹のえっちー

美樹:有希!からかわないでよぉ

有希:ごめんごめん。それで?

美樹:だからその、遊園地で有希たち見つけてちょっと助かったって言うか…あ、もちろん二人と一緒に遊びたかったってのもほんとなんだけど…

有希:んー…美樹は先生とするのが怖いの?

美樹:怖いわけじゃ…あー、でもそっか、怖いのかもしれない。上手にできるかなとか変だったらどうしようとか初めてはめんどくさいかなとか

有希:そうじゃなくて(笑)

美樹:え?

有希:そういう感情はいったん置いといて。先生に触れられるの、怖い?

美樹:それは…怖くない

有希:じゃあ大丈夫じゃない?腹決めて、大人しく食べられてきなよ

美樹:言い方!

有希:だってずっと期待してたじゃない

美樹:だから言い方!

有希:違うの?

美樹:それは…そうだけど…でも…一応一番可愛い下着付けてきたけど、子供っぽいかなとか、いやでも変に張り切ってるって思われてもアレなのかなとか、ちょっと太っちゃったし引かれないかなとか

有希:美樹、取り越し苦労って言葉知ってる?

美樹:だってぇ

有希:大丈夫!あんだけフラれてもめげずにアタックし続けた強(きょう)心臓の美樹ちゃんでしょ!って言うか、偉そうなこと言ってても私経験ないからわかんないし?後日、根掘り葉掘教えてよ、先輩♪

美樹:ええー?もう!人が一生懸命悩んでるのに!

有希:悩んだってなるようにしかならないわよ、このアトラクションと一緒。乗ったら最後、身をゆだねるだけ

美樹:身をゆだねる

有希:大丈夫、あんたの彼氏はいい奴だから!信じて楽しんできなよ…ね

美樹:…うん、わかった。ありがとね、有希

有希:どういたしまして。誕生日、おめでとう美樹。今度3人で飲みに行こうね

美樹:うん!


0:アトラクションから戻った二人


有希:お待たせ~

玲奈:楽しかった?

有希:最高だったよ!ね、美樹

美樹:うん!

玲奈:そりゃよかった

有希:あ~そろそろ夕飯の時間だからさ、ここいらで解散しない?私ら、この後パーク内のレストランの予約してるんだよね~…ね、玲奈

玲奈:(わざとらしく)そうだったそうだった!じゃあ二人とも、またね~!

美樹:あ、うんまたねー


0:玲奈&有希退場


小林:相変わらず嘘が下手だな、あいつは

美樹:え?

小林:俺達も行こうか

美樹:(緊張して)う、うん

小林:(笑って)声、上ずってる

美樹:あ、えと

小林:大丈夫、とって食ったりしないから。…今は

美樹:ん!?

小林:(笑って)あそこのホテル、夕飯が上手いって評判だったから期待できるんじゃないか?

美樹:…調べてくれたの?

小林:そりゃまあ。…行こうか(手を出す)

美樹:(繋いで)…うん


0:場面転換、ホテルの部屋にて


美樹:あ~美味しかったぁ!

小林:だな

美樹:でも、最後のバースデーケーキの登場には驚いたよ!いつの間に頼んでたの?

小林:予約の時にお願いしたんだ。照明暗くしてろうそく灯してくれたあの演出にはびっくりしたけど

美樹:ホントだよ!ちょっと恥ずかしかったけど、すっごく嬉しかった

小林:そりゃよかった

美樹:でも、さとるよかったの?

小林:なにが?

美樹:飲まなくて。今日車じゃないから飲めたのに、ソフトドリンクだったでしょ?

小林:飲まないよ

美樹:なんで?

小林:なんでって…初めてなのにアルコール入れたくないから

美樹:あ…

小林:だから美樹にもせっかくの二十歳の誕生日だけどお酒薦められなくて…美樹?どした?

美樹:…夜ご飯、美味しすぎていっぱい食べちゃった

小林:…?それが何か問題でも?

美樹:だって…ぽっこりお腹!

小林:ぷっ!もしかして、昼も少ないなぁって思ってたんだけど、我慢してたの?

美樹:だってだって…ああ、私のバカぁ!せっかくお昼軽くしたのにぃ!

小林:(笑って手招きして)…美樹、おいで。こっちのソファ、座って

美樹:はい

小林:(後ろから抱きしめて)今日一日、ずっと緊張してたでしょ

美樹:…バレてた?

小林:そりゃ

美樹:だよね、分かりやすかったよね私

小林:…俺も一緒だったから

美樹:さとるも?

小林:うん

美樹:嘘だぁ

小林:なんで

美樹:だって、余裕そうだもん

小林:美樹相手に余裕なんかないよ。前にも言ったろ?

美樹:嘘…大人ってずるい

小林:嘘じゃないし…美樹も大人だろ。待ってたんだから

美樹:待たせてごめん

小林:いいよ、勝手に待ってたんだから

美樹:…そうだよ、もっと早くに手を出してくれたらよかったのに

小林:こんなガチガチに緊張しながらそれ言う?

美樹:それは…さとるが待たせすぎるから

小林:うん、ごめん。二十歳の誕生日、おめでとう

美樹:ありがとう

小林:プレゼント、用意してあるんだけど

美樹:え、この遊園地とお泊りがプレゼントじゃないの?

小林:もう一個、すごく押しの強い店員さんのおススメをね

美樹:ん?

小林:明日付けてあげるよ。今付けてもいいけど、どうせ今から全部脱いじゃうし

美樹:あ

小林:…いいんだよな、もらって

美樹:ぷにってるけど、笑わない?

小林:笑わないよ。ずっと欲しかった

美樹:さとる…

小林:シャワー、先に浴びてくる?

美樹:…先に行くのがセオリー?

小林:セオリーって(笑)

美樹:だってわかんないんだもん!メイクって落としたほうがいいの?

小林:どっちでも…ああでも、そのまま寝たら肌に悪いから落としておいで

美樹:電気暗くしてね?すっぴんあんまり見せたくないもん

小林:高校時代ずっと見てきたのに今更?

美樹:いいの!

小林:はいはい。お湯溜めて温まっておいで

美樹:お湯溜めていいの?

小林:いいよ、ゆっくり温まってきて。…それで、俺に抱かれる覚悟決めて来て

美樹:…行ってきます

小林:はい行ってらっしゃい


0:美樹退場


小林:余裕なんて無いって、バカ


0:30分後


美樹:お風呂ありがとー…さとる?


0:部屋に踏み入れた美樹


美樹:さとる…寝てるの?

美樹:(心の声)そう言えば今日あくびしてたな、目の下にクマあったし。昨日眠れなかったのかな?…緊張してた、とか?ううん、まさかね。…でも、そうだったら嬉しいな

美樹:(心の声)あ、まつ毛長い…いいなあ。ふふっ可愛い。…きっと疲れてたんだね。今日の為にいっぱい調べてくれたのかな。…ちょっと惜しい気もするけど、これはこれで得したかも

美樹:ありがとう…大好きだよ、おやすみ(リップ音)


0:頬にキスをした瞬間、目を覚ました小林


美樹:え

小林:あ

美樹:っごめん、今のはその

小林:俺、寝てた?

美樹:う、うん!あの、疲れてるなら寝ちゃっても

小林:寝ないよ。こんな可愛いことされて、寝れるわけないだろ

美樹:あ

小林:(頬にキス)お返し。風呂入ってくるから待ってて。寝ててもいいよ。…俺は起こすけど

美樹:あ、うん。行ってらっしゃい


0:小林退場


美樹:雄みが強いよ、さとるっ…!


0:15分後(初夜です。エロくはありませんがそういう描写があります)


小林:お待たせ、起きてる

美樹:うん、早かったね

小林:気が変わって逃げられたら嫌だからね

美樹:逃げるって

小林:本気だよ。…逃げるなら今のうち

美樹:…逃げないよ

小林:言ったな?じゃあ早速

美樹:あ、でも一つだけ

小林:なに?

美樹:ファーストキスなので、子供のキスからお願いします

小林:はは、了解。(リップ音)…これでいい?

美樹:キスした…

小林:したね

美樹:先生とキスしちゃった

小林:今ここでその呼び方は止めて。罪悪感半端ないから

美樹:あ、ごめん

小林:悪いけど、最後までもらうから覚悟して。…その為の時間は与えたつもり

美樹:十分すぎるくらいもらったよ

小林:美樹…好きだよ

美樹:さとるっ…ん…(リップ音×2)ふふっ、くすぐったい

小林:ん、好きだよ…好きだ

美樹:嬉しいっ…ん…


0:数分後


美樹:(辛そうに)んっ…

小林:痛い?

美樹:大丈夫、変な感じ

小林:まだ入り口指入れただけだから…息止めないで…そう、呼吸して

美樹:うん

小林:上手。…ごめんな

美樹:え?

小林:多分指でこれなら…こっち入れたらものすごく痛いと思う。正直最初から感じられる人なんて稀だと思うし、苦しいだけかも

美樹:平気だよ

小林:でも

美樹:最後まで、もらってくれるんでしょ?

小林:っ…美樹には敵わないな。指、動かすから辛かったら言って

美樹:んっ…ん…


0:数分後


小林:いけるか?…入れていい?ゆっくりしてても辛いだけだから、一気に行くぞ

美樹:うん

小林:息吐いてて…っ

美樹:(苦しそうに)んんっ

小林:大丈夫か?

美樹:へ、いき…大丈夫だから…

小林:ごめん、ありがと…美樹、好きだ…好きだ

美樹:うんっ…うんっ

小林:はぁ…入った…痛いよな

美樹:ちょっとだけ

小林:嘘つけ

美樹:これって、その…いつもこんなに痛いの?

小林:初めだけ。膜張ってっから、どうしたって最初は痛い

美樹:そっか。…ふふ

小林:美樹?どした?

美樹:嬉しいなって

小林:え

美樹:やっと、さとると一つになれたんだって

小林:っ…あんまそういう事、言うな

美樹:なんで?あっ…

小林:耐えてんだから、こっちは

美樹:ごめん

小林:ったく

美樹:私、抱き心地いい?

小林:良すぎて困る。…ちょっと慣れてきた?動いていいか?

美樹:うん

小林:すぐ済ますから…っ…美樹…好きだ…好きだ

美樹:さとる…っ…好きだよっ、大好きっ

小林:好きだ…っ…!はぁ…はぁ…

美樹:さ、とる…?

小林:ありがと…ありがと美樹…好きだよ。大好きだ

美樹:うんっ…うん!


0:翌日、先に目を覚ました美樹


美樹:んん…ん?あ、そっか…昨日私…へへ、しちゃったんだ…ふふ

小林:楽しそうだね

美樹:あっ…起きてたの?

小林:今さっきね。おはよ。…身体辛くない?

美樹:うん、平気

小林:そっか。あ、そうだ


0:身体を起こし、棚に向かう小林


美樹:ん?

小林:はいこれ、昨日言ってた

美樹:あ、プレゼント?開けていいの?

小林:もちろん


0:中から出てきたのは一粒ダイヤのネックレス


美樹:わ、素敵…

小林:貸して。つけてあげるから。起きられる?

美樹:うん、でもその…ちょっと目をつぶってて

小林:なんで?

美樹:…バスローブ、床に落ちてるから

小林:(吹き出して)散々昨日見たのに

美樹:昨日は暗かったから!…いいから目を閉じて!

小林:はいはい、お姫様

美樹:(服を身にまとって)お待たせ、です

小林:はい、じゃあこっち座って。…はい、どうぞ

美樹:ありがとう。…どうかな

小林:うん、似合ってる。悔しいくらいセンスがいいよ

美樹:へ?(抱きしめられ)わっ

小林:ありがとう美樹。ようこそ、大人の世界へ

美樹:もう…待たせてたのはさとるの方だと思います

小林:かもね。…じゃあ次は、手加減なしに抱いてみようか

美樹:えっ!?

小林:回数重ねたら痛みも減って快感に変わるから…ゆっくり大人生活慣れてくださいね、近藤美樹さん

美樹:お手柔らかにお願いします

小林:ん…(リップ音)了解



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