第32話「カジノ・ロワイヤル」②

 カジノ対決。

 亜門、リース組がまず向かったのは賽子博打だった。賽を二つ振って、合計の目が偶数なら丁、奇数なら半を当てる。ただそれだけ、故に奥深い博打。

 亜門は床の上に座り込み拳を握り締め、ガラスの器の中で転がる塞を食い入るように見つめていた。そして目が確定すると同時に、年配のディーラーがにやりと笑いながら威勢よく声を発した。

「2・6の丁! いやぁ、またまた丁と出ました。秋津国のお兄さん、今日は調子悪いねぇ」

「な、なんと! またしても丁でござるか! これで4回目ではないか! む、むうううう!!」

「ね、ねえ亜門くん。ちょっと調子悪いみたいだから、ここら辺で一呼吸入れたらどうかなぁ? あっちでお茶でも飲みましょ」

 汗だくで目を見開く亜門に、リースが肩を揺すりながら心配そうに話しかけた。しかし彼は鼻息荒く気迫の叫びを放つと、ありったけの虚勢を張って答えた。

「なんの! 己は全く平気にて! 秋津の博打王と言えば己のことにござる。リース殿は安心して見ていて下され。なに、ここまで丁が続いたのだから、次こそは半が出るに決まっているでござる! よし、ここで大勝負にて! 半に5万銭!」

「ち、ちょっと!? 本気で言ってんの? 負けたらほぼ文無しよ(何してんだこのバカ!)」

「おお、さすがは勇敢な秋津の侍。キップがいいねぇ。では……勝負!」

 からからと乾いた音を立てて転がる賽子。固唾を飲んで見守る二人。そして……当然のように現れる丁の目。

「ぐ、ぐわああああ! ま、まさかこんなことが!」

(駄目だこいつ! センスがなさすぎる! あたしがなんとかしないと……このまま負ける!)

 頭を抱え込む亜門に、内心で歯噛みするリース。開始15分で彼らの資金は早くも尽きようとしていた。


 藤兵衛、レイ組。

 開始時からずっとバーカウンターから動かずに、のんびりと酒を飲み続ける藤兵衛。そんな彼に痺れを切らし、レイが近寄って怒鳴りつけた。

「あんだてめえ! さっきからなんもしてねえじゃねえか! こんなバカな勝負仕掛けておいて、そもそも勝算あるんだろうな?」

「儂を舐めてもらっては困るわ。全ては計算ずくじゃて。現に……あれを見てみよ」

 彼の指差す先には、実に気持ちよく負け続け血の涙を流す亜門の姿があった。レイは首を竦めてため息をつき、隣の椅子にどかりと座り込んだ。

「……なるほどね。あのアホはほっといても問題なしってことか。まあてめえのこった、策は山ほどあるんだろうがよ」

「あの単純馬鹿が賭け事なぞ出来る訳がなかろうて。女狐めの動きだけに注視すればよい。で、貴様の方はどうじゃ?」

「俺か? まあ可もなく不可もなく、ってとこか。ルーレットだけやってみたが、今んとこトントンだよ。けどな、俺が心配してんのはお嬢様だ。あの方はな……本物だぜ」

「な、何じゃと? まさかシャルがそんな……」

 2人がそう言っているまさにその時、ポーカー台で歓声が巻き起こった。そこには尋常ではない人だかりと、凄まじい歓声の渦が生まれていた。

「す、すげえ! またロイヤルストレートフラッシュだと!?」

「これで3回目だ! いったい何が起こってやがる!」

「こんなの神業だぜ! この姉ちゃんハンパじゃねえぞ!」

 狂熱の渦の中心には、無表情でカードをめくるシャーロット、そしてうず高く積まれたチップの山! 彼女はそれに一瞥すらくれることなく、更に次の勝負を求めた。

「次も全額賭けます。逃げないでください、ディーラーさん」

「え、ええ。もちろんです(何故だ? 何故勝てん? 何故そんなに手が入る?)」

「それでは次の勝負といきましょう。……おや、今度はフォーカードですね。またしても私の勝ちです」

 捲き上る歓声。次々と集まる観客。それを見て頭を抱える藤兵衛とレイ。

「……ぬかったわ。まさかシャルにあれ程の博才があるとは。あの女はいつも儂の想像の遥か上を行くの」

「昔っからだよ。イカサマとか技とかじゃなく、とんでもねえツキを持ってやがるんだ。持って生まれたたモンだな。このままだとヤベえんじゃねえか?」

「いや、心配要らぬわ。シャルがどんなに勝とうとも放っておけばよい」

「んな悠長なこと言ってる場合かよ! もう100万以上稼いでるぜ!」

「まあ見ておれ。いずれ貴様の足りん脳でも分かるわ。それより貴様……今回の団体戦とは別に、儂と勝負をせんか? 敗者は勝者に1日だけ絶対服従する、という勝負をの」

 悠然とキセルをふかしながら、藤兵衛はにたりと気色悪く笑った。レイは何度目かも分からぬため息をつき、椅子に深く座り込んだ。

「あ? てめえと勝負だ? やだよそんなの。なんの意味もねえだろうが」

「何じゃ、逃げるのか? 勝つ自信がないから仕方なくか。利口なようじゃが……随分と女々しいところもあるのじゃのう?」

「ああ? てめえ……チョーシこくのもいい加減にしろよ! 俺が逃げるワケねえだろが!」

「いやいや、忘れてくれい。儂が勝つのは当然じゃからな。こんな一方的な勝負、流石に可哀想であったわ。申し訳ないのう」

 ニタニタと厭らしく嗤いながら、目尻を極限まで垂らして、藤兵衛はわざとらしく深々と頭を下げた。それを見たレイは、顔を上気させ勢いよくテーブルを蹴り上げた。

「上等だ! やってやんよ! 吐いた唾は飲めねえからな! 俺が勝ったらとんでもねえ目に合わせてやるぜ!」

「おお、怖い怖い。時間はまだまだある故、精々励むとよいわ。儂も頑張らねばのう。ケッヒョッヒョ!」

 怒りで顔を真っ赤にして、レイはドタドタと立ち去っていった。その姿を見送りながら、藤兵衛はキセルの煙を輪にして吐き出した。

(さて、あとは女狐だけか。必ずや儂がこの場で尻尾を掴んでくれるわ)


 亜門&リース。

 彼は残り少ないチップを握りしめ、ソファに横たわり呆然と天を見上げていた。リースは何処かへ姿を消し、豪華絢爛なシャンデリアが嘲笑うように彼を見つめ返した。熱くなり切った脳と神経、視界はぐにゃりと歪み、胃の奥が握り潰されるように熱かった。

(なんという敗北……残りチップは5000銭分ほど。このままでは間違いなく負けるでござる。そもそも相手は殿。確実な勝利を計算し尽くしておりましょう。リース殿……申し訳ありませぬ。己はあなたを……守れずに……)

 そんな彼の目の前でルーレット台がカラコロと回り続けていた。客が群がり、出目によって悲喜こもごもの声を上げていた。亜門は冷めた目でそれを横目にし、深く大きくため息をついた。

(なんとも滑稽な姿でござるな。玉っころ一つの落ちる位置で大騒ぎとは。まあ今の己が偉そうに言えませぬが。……む? ……よく見ると……落ちる場所に一定の法則が……?)

 彼は自慢の視力で台の上の光景を注視した。すると目を怒らせた中年の客が賭けた目に対し、ディーラーの投入する球は図ったかのようにするりと抜けて、2つほど隣に飛び込んでいった。ディーラーはいかにも熟練した初老の男で、機械的に同じ動きで、無感情に球を投入していった。

(この機……もしや次の出目は……5か隣の23?)

 カラン、と乾いた音を立てて綺麗に5の位置に収まる球。脳が一気に覚醒するのを感じ、亜門は腰の大小に力を込めて勢いよく立ち上がった。その目には再び闘志の炎が灯っていた。

「失礼、一勝負させてもらうでござる」

 客をかき分け、真剣にディーラーの手元を伺う亜門。客が賭け始めても彼は視線を外さない。やがて投入される球、間違いない、次は8で止まる!

「……8に5000銭! 有り金全ての勝負でござる!」

 ディーラーの眉が僅かにピクリと動いた。間違いない、これが奴の狙い目! 亜門は勝利を確信し、汗ばんだ手で全財産のチップを握りしめた。球は徐々に勢いを失い、ゆっくりと吸い込まれるように、8の枠に収まろうとした!

(よし! もらったでござる!)

 が、球はその手前。ちょうど手前の25にことりと収まった。目の前の光景が信じられない亜門に、ニヤリと微笑むディーラー。

「残念だったね、お兄さん。また来てくれよ」

 机の上で力無く突っ伏して震える亜門。亜門&リース組、残額0銭……かと思われたその時!

「あれぇ、なんだか当たっちゃったみたいですぅ。たった500銭ですけど、一点賭けで36倍ですねぇ」

 リースの明るい声が響き、亜門は顔を勢いよく跳ね上げてそちらを振り返った。

「リ、リース殿! まさか勝ったのでござるか! なんという奇跡でありましょうか!」

「(博打の必勝法は負け犬の反目に張ること。どの世界でも常識だわ)えへへ。なんだか勝っちゃいましたあ。亜門くん、勝手に賭けてごめんなさぁい」

「いやいや、よいのでござる。これで命拾いし申した。お陰で次も戦えますぞ!」

「へへ。そんなに褒められると照れちゃいますぅ。次からも一緒に頑張りましょうねぇ」

 暖かく笑みを浮かべるリースと、うんうんと涙目で大きく頷く亜門を見て、ディーラーは呆れたように首を竦めた。

(やられたな。だがこんな少額なら問題なかろう。結局は全て奪って終了だ)

(ふん。こちとら任務がかかってるの。使えるもんは何でも使ってやる。あんたらのイカサマ……全部見切ったわ! これからはこっちがむしり取ってやるから覚悟しときなさい!)

 斯くして静かなる戦いが始まった。能天気に喜ぶ亜門を尻目に、リースは心中に闘志を燃やして、静かに集中を深めていった。


 一方、レイは周囲の様子を慎重に伺いながら、少額ずつを適当に丁半に賭けていた。シャーロットも最初ほどの勢いは無くし、亜門たちの様子も何やら不穏を醸し出していた。

(まちがいねえな。こいつらイカサマやってやがる。なるほど、クソ商人の言ってた意味はそういうことかよ。やりゃムシられるだけってか。たしかに何もしねえのが一番かもしれねえな)

 レイは舌打ちしつつ手元のチップを眺めた。10万の種銭は徐々に溶けていき、手元には7万弱しかない。残り時間は1時間、このままではずるずると減らし続けるのは目に見えていた。

(お嬢様の勝負運はバケモンだ。チンケなイカサマに負けるとは思えねえ。それになにより……俺があのクソに負けるなんてあっちゃならねえ! ここらで一つ稼いでおかねえとな)

 レイは盆をつぶさに眺めていた。少額だけを張り続け、何とかして敵の必勝の仕組みを知ろうとしていた。図らずとも今回は、大量のチップが賭けられる大勝負となった。そして目は開かれる、2・6の丁。金を失った客の悲鳴が渦のように巻き起こり、今回もディーラー側の大勝利だった。

 だがレイは理解する。ずっと見ていたが、ディーラーに怪しい動きはない。だがレイは冷静に場を観察し、一際優れた感覚を発揮させていくことで、漠とした違和感は徐々に氷解していった。

(また2・6。その前は1・4。大勝負んときの出目は一定だ。んでもって、わずかにサビくせえ匂い、ついでに地面からのかすかな気配。……まちがいねえな。大勝負の時のみ、サイコロをすり替えて磁石で操作してやがる)

 レイは両手で勢いよく顔を張り、目を鋭く光らせて覚悟を決めた。そしておもむろに場に全てのチップを突き出した。

「おら、半に7万勝負だ。受けろや!」

 場が一斉にどよめくが、ディーラーは表情を変えずに一定のリズムを保ちながら、努めて冷静に目を振った。漆黒のガラスの器の中で、カラコロと無機質な音がする。そして、その音が納まろうとする正にその時、皆の注目が塞の目に集まろうという時、レイは両手を地面に手を当てて闘気を僅かに放出した。

(ちゃんと届けよ。……『滅閃・包』!!)

 内部から破壊する最小限の波動が、床を貫通し下に潜む人間を襲った。くぐもった小さな声が響き、僅かに揺れる地面。地震かと驚く人々を尻目に、何事もなかったかのように転がる目は……2・3の半! 渋い顔をするディーラー、そして胸を撫で下ろすレイ。

「(ふう。一か八かが上手くいったか。なんともツイてやがるぜ。よし、今のうちに稼いどかねえとな)。おい、早く続きをしようぜ! 俺はイラついてんだ!」

 レイの蛮勇がツキを呼び込んだのか、その気迫に呑まれたのか、それから暫しの間レイは勝ち続けた。残り時間は30分。勝負の行方はまだ揺蕩っていた。


 一方、シャーロット。一時は100万銭を優に超えたチップの山は、ある時点から少しずつ失われていった。

「揃いました。ジャックのスリーカード。いかがでしょうか?」

「お嬢さん、申し訳ないね。こっちはエースのスリーカードだ。ツキがなかったね。またこちらの勝ちだ」

 5000銭のチップが彼女の目の前から取り払われた。内心ほくそ笑むディーラーの前で、彼女はただ無言でその様子を見つめていた。

「先程までの威勢はどうしたんだい? チップもだいぶ減ってるみたいだし、ここらで一つ大きく賭けて見たらどうだい?」

「ええ、そうしましょう。50万の勝負といきましょうか」

 彼女の背後のギャラリー達は、その言葉に大いに湧いた。無表情のままのシャーロットにえもいわれぬ恐れを抱きながらも、若いディーラーは努めて冷静にカードを配った。彼女の手牌は、フルハウス。チェンジの必要すらない、間違いなく勝てる手の筈だった。しかし、彼女は暫しの少考の後に、そっと手配から3枚のカードを差し出した。

(な、なに?! フルハウスからチェンジだと? しかも2枚ならまだしも、3枚?! 一体この女何を考えている? 確かに俺の手はストレートフラッシュだ。このままなら奴の敗北は必須のはず! )

 ディーラーは震える手で3枚のカードを配った。仕込んだのは最初のカードのみ、そこには何の意思も込められていない。シャーロットはその3枚に目を通すことなく、厳かに一言告げた。

「勝負です。最初の50万に、更に残りのチップをレイズ。つまりは……100万のオールインです。受けて頂けますね?」

 ギャラリーの興奮は絶頂に達していた。口々に声を揃えこの勝負の行く末を見守っていた。ディーラーの冷や汗が滝のように流れ、視界は歪み狂熱が脳を揺さぶった。

(ハッタリだ! 絶対に負ける訳がない! しかし……負けたら100万近い。ただでさえこの女には相当いかれている。これ以上負ければ俺は終わりだ。あの強欲なオーナーが許す訳がない。今なら引き返せる。いや、これが奴の心理作戦だ! ストレートフラッシュで負けるなんてある訳がない! その涼しい顔を屈辱で染めてやる!)

 勝負、そう言いかけたディーラーに、客の一人が静かに首を振った。彼は客のふりをした店側の人間。他の客のカードを盗み見して、確実に勝ちを拾うための保険のような存在だった。そんな彼が、大きく首を振って勝負を止めていた。ディーラーはまさかと思いながらも、胃の奥から吐き出すように、地獄の底から言葉を汲み上げた。

「……降ります。負けました」

 おおおお、と歓声が捲き上った。もみくちゃにされるシャーロットは無表情のままカードを置いた。そんな中、ディーラーはそっと彼女のカードをめくった。そこにあったのは……エース4枚、ジョーカー1枚。そう、エースのファイブカードだった。

(な、なんてツキだ! こいつは……本物だ!)

 尻餅を付かんばかりに驚く彼を尻目に、フロア係の男がそっとシャーロットに何事か声をかけた。シャーロットはそこでようやく感情の欠片も残さぬ無表情を崩し、美しい笑顔を見せて頷くと、静かにその場から立ち上がった。

「それでは御機嫌よう、皆さま。とても楽しかったです」


 勝負終了まで残り5分。

 リースは今の状況を見て、ほっと胸をなでおろしていた。

(ふう、一時はどうなることかと思ったけど、なんとかなりそうね。あたしらのあがりは50万程度。美ゴリは30万はいってそうだけど、さっき見た感じだとシャーロットが100万近く勝ってるわ。まったく……化け物はこういうところも尋常じゃないのね。後は古狸がどう動くかだけど……)

 彼女はちらりと室内を一瞥した。が、目のつくところに藤兵衛の姿はなかった。

(さっきまでその辺でヘラヘラしてたのに、本当に油断ならない男だわ。恐らくは何かとんでもない策をぶつけてくる筈ね。リスクはあるけど、万全を期すためにもうひと勝負しておいた方がいいわ)

 リースは再び亜門の横に座り、朗らかに話しかけながら彼の肩に頭を乗せた。真っ赤に顔を染める彼に対し、彼女は大きな胸を寄せながら猫撫で声で話しかけた。

「ねえ、亜門くん。もう間も無く勝負も終わりだしぃ、最後に大きな勝負をしてもいいかなぁ?」

「う、うむ。もちろんでござるよ。このチップの殆どはリース殿が稼いだのですから、お好きに使って下され」

「ありがとう亜門くん! 大好き!」

 彼の頬にそっとキスをして、リースは卓に向き合った。ディーラーは連勝を続ける彼らを不審そうに見つめていたが、それでも断る理由にはならず勝負を再開した。彼は何処か祈るような姿勢で、回転する台にいつもと同じ動きで球を投げ入れた。

「リース殿! 6に賭けるでござる! 己には見えまする!」

「(ほんと目だけは大したもんだわ。童貞のくせに)はぁい! リース分かりましたぁ」

 勢いよく回転する盤面。そこにリースが置いたのは大量の、10万銭ものチップだった。亜門が慌てて止めようとするも、時既に遅くディーラーは不敵な笑みを浮かべて制止した。

(タネはシンプルね。こいつら……闇力で僅かに球の軌道を逸らしてるんだわ。ったく、闇に染まる連中はろくなことを考えないんだから。ほんと死ねばいいのに。ま、あたしにかかればそんなもの……ね)

 リースは誰にも気付かれぬよう、台の周辺に仕掛けておいた術符に力を込めた。その効果は、微小な闇力の吸収。アガナ神教の選ばれし者のみに許された、聖母アガナの光の力の再現だった。これで彼らが目をずらそうと闇力を発動しても、効果を示さずに通常通り6の目を示す。彼女は口元だけ小さく笑い、賭けの締め切り宣言を待った。だがその時!

「どれ、最後に一度くらい儂も賭けようかの。0に10万銭じゃ」

 背後から、藤兵衛の低い声。はっと振り返るリースに、彼は惚けた顔でわざとらしく聞いた。

「おや、どうしたのじゃ? 不意を突かれたような顔をしおって。何かに夢中になり過ぎかのう?」

「(くっ! 見られたか? とにかくこいつのペースに乗せられちゃダメ!)やだぁ、おじさまったら。勝負したいなら正面から来てくれればいいのにぃ。そんな無作法じゃ奥さんも逃げちゃいますよぉ」

「ホッホッホ。ようご存じのようで恐縮じゃのう。さて、時間的に最後になりそうじゃな、“娘さん”や。ここは一つ大勝負といこうかの」

「殿! 己もリース殿のため、この勝負負けませんぞ!」

「(ああ! ややこしくなるからすっこんでて!)あれぇ、そろそろ目が出そうですよぅ」

 リースの脳内が急速に回転を始めた。コンマ数秒でこの状況での最適解を探さねばならない。いやらしく見つめる藤兵衛に目も向けず、彼女はただ自身の内なる思考と向き合っていた。

(間違いなく闇術を使うつもりね。すぐ隣に賭けたのも計算尽く。このまま黙っていれば奴が当てて、あたしは追い出される。符を使えば闇術を阻害し勝てるけど、あたしの正体はバレる。どちらにせよ“詰み”ね。よく考えていること。けど……一つだけ手はあるわ。古狸は知らない。あたしが、あんたという男のことをよく知って知ることを。そう、あたしは……あんたという男のことを、金蛇屋藤兵衛という男のことを知り尽くしている!)

 リースは一度だけ瞬きをすると、即座に躊躇うことなく符に力を込めた。眩い光の粒子が微かに周囲に飛び散り、年配のディーラーが初めて戸惑いを見せる中、藤兵衛はふてぶてしく笑った。

「ようやく尻尾を出したの、女狐めが。貴様の狙いはお見通しじゃて」

「ふうん、あっそ。だから? よくわかりませんけどぅ、今は勝負に集中しましょうかぁ。そろそろ目が出ますよぉ」

「見るまでもなかろうて。“勝負”は引き分けじゃ。儂は先に行っておるぞ」

 そう言い残し、一足先に立ち上がりその場を後にした。藤兵衛は敢えて術を使わなかった。使ったところで阻害されるのは明白であり、それよりも手の内を隠すことを選んだ。一方でリースは迷わず力を使った。彼女は準備した符術を使い、当初の目的通り場に蔓延る闇力を阻害した。

 そして、目が落ちる。落ちた場所は、リースが張った6。ディーラーが愕然と崩れ落ちる中、彼女はほっと胸を撫で下ろした。

「な、何と! 大勝負をものにしましたぞ! 流石はリース殿にて! これで勝ちは確実でありましょうぞ。はっはっは」

「……そうですねぇ。わたしやりました! へへへ」

 能天気に亜門が笑う中、リースは去りゆく藤兵衛の後ろ姿に小さく舌打ちをしてから、一転して朗らかな笑顔を作った。


 正午少し前。カジノロビー。

 のんびりとくつろぐ藤兵衛の元に、箱にぱんぱんに詰まったチップを抱えた亜門とリースが戻ってきた。

「殿! ご覧下され! 己らは400万ほど稼ぎましたぞ。少し早いですが、これで勝負ありですかな」

「ホッホッホ。なかなかやるではないか。そこの小娘もよう頑張ったのう」

「(けっ! ドブ野郎が!)おじさまこそ惜しかったですぅ。どっちが勝つかドキドキしますねぇ」

 そんな中、きょろきょろと辺りを見渡しながらレイが帰ってきた。肩に抱えたチップはほぼ亜門たちとほぼ同量、レイは一行を見つけると、満面の笑みで藤兵衛に話しかけた。

「おおっ! てめえ1枚もねえじゃねえか! こりゃ俺の勝ちだな! ざまあみやがれ!」

「いつもながら喧しい虫よのう。それよりシャルは一緒ではないのか?」

「それがよ……なんかどこ探してもいねえんだ。闇力の反応はあるからこの辺にはいると思うが……ちと心配だぜ」

「あ、でもこれで結果は出たみたいですねぇ。レイさんとわたしたちのチップの数はほとんど一緒。とすれば、おじさまは文無しで、シャーロットさんはだいぶ稼いでたから、となるとこちらの勝ちですねぇ! やったあ!」

 両腕を上げて飛び跳ねるリース。戸惑いながらもそれに続いた亜門。そんな中、背後から彼らに声をかけるレイ。

「おいクソ商人! 負けちまったじゃねえか! どうしてくれんだ!」

「グェポ!! いきなり何をするんじゃ! そもそも儂らは負けておらん。あの小娘は何らかの不正を行った。儂は見たぞ! 見たこともない妖術で出目を操作しておったわ」

 藤兵衛はびしりとリースに指を突きつけた。だが彼女は口元に笑みを浮かべ、不敵な眼差しを真っ直ぐに彼に向けた。

「ま、誠にござるか?! リース殿が術を? そ、それは一体……」

「へぇ。そういえばそうでしたねぇ。確かにわたしはアガナの神秘の術を使いましたよぉ。奴隷時代に北大陸で学んだ術ですぅ。でも、それを使っていけないとは一言も聞いておりませんでしたし、それを言うならレイさんも怪しいことしてましたよねぇ?」

「く! そ、そりゃあそうだがよ……」

 レイが狼狽えて言葉に詰まった。周囲の反応から明確に勝ち筋を捉えて、更にリースは続けた。

「何より藤兵衛さん。あなた言いましたよねぇ? 2時間後に1枚でもチップが多い陣営が勝ちである、と。あなた約束しましたよねぇ? 大陸に名だたる大商人が、ことお金のことで交わした約束を、くっだらない理由で反故にするんですかぁ?」

(な! こいつクソ商人の弱点を!)

 鋭く突きつけられた視線。その勢いに狼狽える亜門とレイ。しかし藤兵衛は動じない。この男は如何なる時も動じない。

「……成る程の。確かに貴様の言う通りじゃ。儂は金の上での約束は必ず守る。それは正しいのう。じゃが、その上で2つほど質問があるわい。まず、貴様は何故……儂が“金蛇屋”藤兵衛と知っておる?」

「(し、しまった! まずい!)それはぁ、亜門くんに聞いてぇ、そのぉ……」

「仮に聞いていたとしても、齢80の老人と、今の儂が同一人物などと信じる訳がなかろう? 普通の人間なら……のう」

「と、殿! それは言い過ぎでござろう。リース殿は己の話術に乗せられてしまっただけでござる。なにせ己は秋津の話術王と呼ばれた男でありますからな」

「……ふむ。まあよかろう。では最後に1つじゃ。一体何を以て貴様の勝ちと断じた? この儂が、東大陸一の大商人と呼ばれた男が、たかが10万の銭を失っただけで負けを認めるとでも本気で思うたか?」

「ま、まさか……てめえ!!」

「ケッヒョッヒョ! ではとくと見よ! これが儂の、金蛇屋藤兵衛の“力”じゃ!」

 藤兵衛が指を鳴らすと、背後から数名の黒服の男達が一斉に動き出した。彼らが引く台車に乗っていたのは、山のようにうず高く積まれたチップ! どう見ても1000万以上はあるその量に、一同は何も言えずに大口を開けるのみだった。

「こ……これは?! 殿、いつの間に?!」

「……なるほどねえ。そりゃ負けるわけねえわ。ったく、あいかわらずきたねえ野郎だぜ」

「そ、そんなの反則よ! 明らかに金で買い足したチップじゃない! 賭けで勝ったものじゃ……」

「ゲッヒャッヒャッヒャ! いつ儂がそんな事を申した? 儂はあくまで、『2時間後のチップの枚数』のみを勝敗としたはずじゃぞ。悔しければ貴様も買い足せばよかろうて。まだ時間は僅かに残っておる故のう。まあ出来るものならば、の話じゃがな。グェッファッファッファツファッ!!」

 眩い金色を背景に高笑いを続ける藤兵衛の前で、リースはがくりと膝から崩れ落ちた。端からこの男はまともに勝負をするつもりなどなかったのだ。リースを追い込み、正体を暴くことのみを狙っていたのだ。勝敗など最初から決まっていたのだった。

 しかしリースが気付いた時はもう遅かった。どうすることもできない状況が広がっていた。彼女は心配して肩を抑える亜門をにべもなく振り払うと、表情をがらりと変えて不敵に微笑んだ。

「……ふぅ、参った参った。あたしの負けね。ねえ、おじさま。火持ってる? しばらく禁煙してたからしんどくてさ」

「ど、どうしたでござるか? リース殿?」

 豹変したリースを見て狼狽える亜門を無視し、藤兵衛は無言で術式で火を打ち出した。彼女は懐から紙巻き煙草を取り出すと、目の前に浮かんだ術の火に先端を近付け、実に美味そうに煙を吐いた。

「いやー、闇の力って便利ね。あたしも勉強しようかしら。……なんてね、冗談よ。さて、あたしはもう行くわ。言っとくけど何も話すつもりはないから。それじゃあね」

「リース殿?! どこへ行くでござるか? 今から己が殿を説得するでござる! もう少しだけ待たれよ!」

「亜門くん。1つだけ言っておくけど、実はあたしたち何もなかったの。だから恋人ごっこももう終わり。でも、ま……ちょっとだけ楽しかったわ」

 悪戯っぽく亜門に片目を閉じると、リースはすぐに振り向いてすたすたと歩き去ろうとすした。だが彼はそれを大声で止めた。

「待たれよ! 己は……一度はそなたに惚れた身にて! さすれば簡単に放すわけにはいきませぬ!」

「ち、ちょっと! なにマジになってんのよ? あたしにそのつもりなんて……」

「そんなことは関係ないでござる! 己が惚れたのだから、責は己に帰結し申す! 秋津の格言に、『それが木像であっても惚れた方が敗残兵』とあり申す。殿、どうか……どうかお願いにござる。リース殿をここに置いて下され! 己の一生の頼みにござる!」

 しん、と静まり返る一同。言葉を失うというより、呆れ返る2人。長い沈黙の後、レイはぽりぽりと頭を掻きながら藤兵衛の方を向いた。

「……だ、そうだぜ。どうすんだこれ?」

「……儂が聞きたいわ。流石の儂でもこの展開は読めんかったわい。しかし、賭けや約束とは互いの信義を問う行為じゃ。だからこそ1度約束したからには、反故にする訳にはいかぬ」

「ならば己が出て行きまする! それならば何の約束にも反しませぬ。惚れた女性1人守れんで何が侍か! 秋津の刀は常に愛する者を守る為に存在するでござる!」

「な!? てめえ正気か!?」

「……!! ……亜門くん」

「……」

 ぴりりと空気が締まる音が聞こえた。仄かに漂う破滅の予感。誰も続く言葉を発しない。ロビーに設置された置き時計がコツ、と時計の秒針が12時丁度を刻んだ。直後けたたましく鳴り響く鐘の音に一同が顔を上げる中、藤兵衛が覚悟を決めて重い口を開こうとした……丁度その時!

「あ! みなさんお揃いですね。私もやっと終わりましたよ。さあ、いざ尋常に勝負です!」

 場に似つかわしくないシャーロットの明るい声と足音が響いた。嬉しそうに美しい笑顔を振り撒く彼女に、レイが慌てて状況を告げた。

「お、お嬢様。じつはもうぜんぶ終わりでして………というわけで………その……」

「はい! 意味はよく分かりませんが、勝負はまだ終わっていませんよ。私のチップが残っていますから。安心してください、リース」

「あのぉ、お気持ちはありがたいんですけどぉ、おじさまのチップが多すぎて……そのぉ」

「シャル、諦めい。幾らお主でも1000万以上は……!? な、何じゃその山は!!」

 彼女の背後には山が広がっていた。明らかに尋常ではない量のチップが、幾重にも連なって不安定なバランスをどうにか保っていた。どこからどう見ても優に5000万銭を超える量に、一同は完全に度肝を抜かれていた。

「お、おい魔女! 其方何を……し、信じられんでごさる!」

「はい! 何やらvipルームの招待選手とやらに選ばれまして、そこで他のお客様相手に勝ち続けたのです。もう少し時間があればまだまだ頂けたようですが、ルールですから仕方ありませんね。さあ、それでは勝負です!」

 皆あんぐりと口を開けていた。先ほどとはまるで違う意味で誰も口を開かない。長い長い沈黙の後、やっとのことでレイは言葉を発した。

「……で、これでどうなったんだ? なにがどうなってやがる?」

「……どうも糞もなかろうて。最初の規定通りじゃ。勝負はシャルたちが勝ち、女狐は儂ら一行に加わる。ふざけた結末じゃが、結果が全てじゃ。まったく……何ということじゃ……」

「ほ、ほんと? ほんとにほんと?! やったぁ! シャーロットさん大好き! ほんとにありがとう!」

 満面の笑みのリースは、小さな体で勢いよく抱きついた。シャーロットは美しく微笑んで、彼女を優しく包み込んだ。

「ふふ。私は必ず勝ってリースさんを守ると言いました。だからぜんぜんへっちゃらなのです」

「でもさ、ほんとにありがとう! シャーロットさん、心からお礼を言うわ。これで一緒に旅ができるね!」

「ええ。これから貴女は私の仲間ですよ。ただ……1つだけ約束があります。私たちと一緒に行くなら必ず守って下さい。いいですか?」

 不意にシャーロットの見せた真剣な表情に、内心息を飲み緊張に包まれるリース。そんな彼女の心を知ってか知らずか、シャーロットは一層美しく微笑むと、柔らかな唇をそっと動かした。

「その呼び方は止めて下さい。シャーロット“さん”、なんて私は好きではありません。私のことは……気軽にシャルちゃんと呼んで下さい」

「(……!! ほんとにこれが、あの忌まわしき闇の……最後の神の一族の? どうしてもあたしには信じられない。けど……いや、任務を忘れちゃダメ! うん、そうよ! これがあの魔女の手に決まってるわ。そう、任務だけがあたしの……)わかったわ。じゃあ、わたしのこともリースって呼んでよ。じゃあこれからよろしくね。……シャルちゃん」

 2人の手が、潤みを込めて固く結ばれた。これは1つの運命の転換点。本来突き当たる筈の、避けられぬ悲劇に対する明確な分岐点。だがそれを彼らが知るのは、この長い物語の大部分を語り終えた時となろう。現時点ではたった1人の闇力を持たぬ少女が、仮にとはいえシャーロット一行に加わった。それ以上でもそれ以下でもない、幕間の物語である筈だった。

「はっはっは。よく分かりませぬが、一件落着といったところでござるかな」

 物語を締めるかのように、亜門は極めて能天気に笑った。何も言い返す気力もなく俯く藤兵衛。苦笑まじりのレイ。カジノ中に妙に明るい空気が広がっていた。彼らが手に入れたのは妙に輝きを放つ大金と、微かな絆の欠片だった。

 だが、そんな彼らの背後に影あり。客に紛れて密かに彼らを監視し続けていた男達の1人が足音一つ立てずに外に出ると、物陰に隠れる別の男の側に寄り囁いた。

「……報告。シャーロットに動きあり。決行まで監視を怠るな」

「了解。クロガネ様にも申し送りする」

 2人は何事もなかったかのように別れ、雑踏の人混みの中へと消えていった。今晩は彼らにとって決戦の時、静かな闘志を燃やす暗殺者達。運命は加速する。ああ、藤兵衛達は何も知らずにそれを受け入れるしかないのだろうか?


 そして、夜。

 一行の泊まる宿を取り囲むクロガネ一味、総勢50名。皆が皆一流の暗殺者で、一様に黒き装束に身を包んでいた。

「……遅いな」

 闇に身を浸すように蠢き、彼らの指揮官たるクロガネが短く静かに告げた。

「セロのやつ、中々出てきませんな。いっそ突入しましょうか?」

 部下の1人が苛つくように告げた。だがクロガネは漆黒の衣服から染み出すように、唇だけを動かして音を発した。

「待て。我ら暗殺者は待つのが仕事だ。しかし……闇力が微塵も感じられん」

「シャーロットの結界の影響でしょうか。連日このような有様で」

「理屈は通る。が、どうにも気配が感じられん。見張りの漏れはないだろうな?」

「勿論です。蟻の子1匹這い出る隙もなかったかと」

「……そうか。ならば“見る”しかあるまい」

 部下の報告から状況を即座に判断し、クロガネはどろりと闇の中に溶け込んだ。彼自身が闇そのものへと変化していく悍しい過程を目にし、熟練の暗殺者達ですら顔が緊張で引き攣った。

「合図があるまでここで待機せよ。俺が中を検める」

 クロガネはそう言い残し、みるみる闇の中へと消えていった。彼は流体のように夜に蠢くと、宿舎の窓の隙間からぞわりと入り込んだ。そして彼は部屋の様子を一瞥し、全てを理解して一言だけ呟いた。

「……やられたな」

 やがてバン、と大きな音を立てて部屋の扉が開かれた。それを合図に、数名の暗殺者達が音もなく入り込んだ。だが中にいたのはクロガネのみ。シャーロットを守る結界すらも既になく、床には人が通れる程の大きな穴が空いていた。

「クロガネ様、これは一体どうしたことでしょうか?!」

「見てわからんか? 練度不足にも程があるな」

 怒りと失望を露わにし、クロガネは地獄の底のような声で吐き捨てた。彼らは揃って震え上がり、二の句を継げられずにいた。

「この穴から逃げたな。続く場所はすぐ隣の民家のようだ。それだけならば闇術で出来ぬこともない。解せぬのは、闇力を一切感じさせずに、これだけの作業を行なったことだ。さすがのお前らとて、ここまで大規模な術を使えば気付くだろう?」

「は! そ、それは勿論です」

「考えられるのは、あの侍の龍の力とやらか。なんにせよ追うしかない。奴らの狙いは首都ダールだ。全ての可能性を考慮し、即座に行動に移せ。すぐに、だ」

「は、はい! 偉大なる主のために!」

 暗殺者達は揃って緊張の面持ちで返事をすると、統率の取れた動きで四散していった。クロガネはその場に残り、しゃがみ込んで穴の縁を指でさすりながら、独り言のように呟いた。

「やはり解せんな。シャーロットたちだけでこれを行えたとは思えん。新たな手駒を手に入れたか? そうすると……例のあの女しかないか。調べる必要がありそうだな」

 言葉を発しながら彼の姿はいつしか朧になり、やがて闇に溶けて消えていった。溶け込んだ闇の粒子だけが、余韻のようにいつまでもその場に薫っていた。


 神代歴1279年3月。

 シャーロットたちは敵の監視の網を潜り抜け、ハルエッタの街を後にした。その足取りの先にあるのは希望か、絶望か。今は誰も知らなかった。

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