第7話 側にいるから

それから何日経っだろうか、ただ無事を祈る日々が続いた。


アリアは何日も戻ってこない。

もしかしたらと最悪なこともチラつくようになってしまった。


ある日、素材集めで外に出かけたところ、遠くから人の歩く姿が見えた。


「アリア!」


俺は咄嗟に叫んだ。


間違いなくアリアだった。身体はボロボロで立ってるのもやっとの姿だった。


「帰ってきたよ。これでやっと平和になるよ」

そう言ってアリアは俺の胸の中で意識を失って倒れた。


「アリア!しっかりしろ!」


俺は急いでそのまま担いで宿屋に向かって医者を呼び看病をした。


アリアは、3日間眠り続けた。


その間、俺は、アリアの傍を離れなかった。


3日目、アリアは目を覚ました。

「アリア、大丈夫か?心配したぞ」

俺は、アリアに声を掛けた。


アリアは、まだ意識がはっきりしていない様子だったが、少しずつ回復してきたようだ。


「ごめんなさい。迷惑掛けちゃったね」

そう言うとアリアは起き上がろうとした。


俺は、慌ててアリアを制止した。


「無理するな」

俺は、アリアに寝てるように促した。


アリアは、ベッドに横になると、俺の顔を見つめてきた。


「真人、ありがとう」

アリアは、泣きながら言った。


俺は、アリアの涙を拭いた。

「もう泣かないでくれ。頼むから」


俺は、アリアを抱きしめた。

アリアは、しばらく泣いていたが、やがて落ち着きを取り戻してきた。


アリアは、俺から離れようとしなかった。

俺は、アリアの頭を撫でた。


アリアは、俺の手を掴むと、自分の頬に当てた。

「真人は、私のこと好き?」


俺は、アリアの目を見つめながら答えた。


「ああ、好きだよ」

俺は、正直に答えた。

「良かったぁー。私も大好きだよぉ」


アリアは、嬉しそうな表情を見せた後、再び涙を流し始めた。


俺は、アリアの頭を優しく撫でた。

アリアは、しばらくの間、静かに泣いていた。


数日の間、アリアは寝たきりであったが徐々に歩けるぐらいには回復した。俺は、アリアの体調を気遣うように、アリアのことを見守ることにした。


アリアが目覚めた翌日、アリアは俺にお願い事をしてきた。


「ねぇ、真人に作ってほしい服があるの」

俺は、アリアの要望に応えることにした。

「いいよ。どんな感じのものが良いんだい?」


「綺麗なドレスを着たい」


「ドレス?前にも一度仕立てたと思うけど」


「もう一度着てみたいんだ」


アリアの要望に応えて、俺はドレスを作ることにした。


俺は、早速、作業に取り掛かることにして、採寸を行った。

以前仕立てたときよりも更に美しく仕立て上げなければならない。


俺は、アリアの身体のサイズを細かく測っていった。


「こんなに丁寧に測ってくれるのは真人だけなんだよ」

アリアは、照れくさそうに笑みを浮かべながら話していた。


俺は、アリアの美しい姿を想像しながら、ドレスのデザインを考えていった。


デザインが決まったところで、俺は、早速生地選びから始めることにした。


俺は、様々な素材を手に取りながら、アリアに似合う色や質感などを確かめた。


それから、俺は、アリアの体にぴったり合ったサイズの型紙を作った。

俺は、アリアのために最高の一着を作ろうと心に決めていた。


アリアが喜んでくれるような最高のドレスを作り上げるためだ。俺は、アリアの体に合わせて、何度も調整を繰り返した。


アリアは、俺が試行錯誤を繰り返している様子を見ていた。

「何か手伝えることはないかな」

アリアは、俺に訊ねてきた。


「今は、大丈夫だからゆっくり休んでいて」

俺は、アリアに休息を促した。


「分かった。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ」

アリアは、俺の言葉に従うと、ゆっくりと目を閉じた。


俺は、アリアが眠りについたのを確認すると、作業を再開した。

そして、1週間が経過した頃、ようやくドレスが完成した。


俺は、アリアが眠っている間に、出来上がったドレスを持って、アリアの部屋にいった。

俺は、アリアの身体を起こし、背中に手を添えて支えた。


アリアは、俺に支えられると、ベッドの上に座った。

俺は、完成したばかりのドレスをアリアに見せた。


「どう?これが俺が作ったアリアのためのドレスなんだ」


アリアは、ドレスを見て感動しているようだった。


「綺麗。また真人が作ってくれたドレスを着られるなんて夢みたい」


アリアは、感慨深げにドレスを眺めた後、笑顔を見せてくれた。

「真人、本当にありがとう」

アリアは、涙ぐみながら感謝の気持ちを伝えてきた。


「喜んでもらえて嬉しいよ」

俺は、アリアを抱き寄せた。


アリアは、俺の胸に顔を埋めて泣いていた。

しばらくして落ち着いたアリアは、俺から離れると、俺の顔をじっと見つめてきた。


「ねぇ、真人、キスしてほしい」

アリアは、潤んだ瞳で俺に訴えかけてきた。


「良いよ」

俺は、アリアの唇に軽く触れるような優しい口づけをした。


こっちの世界にきた後、現実世界に戻る方法を探した時期もあったが、もうどうでもよくなった自分がいた。


アリアと共にこの世界で生きていこう。

最高のテーラーとして、、、


Fin

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

VRMMOのテーラーは異世界でも大忙し!? ~勇者の彼女に手作りの装備をプレゼント! MINT @MINT_MINT

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ