第3話 素材集め

「着いたよ。ここが目的地だよ。」


「結構奥まで来たんだな。でも、この先にいるんですよね。」


「そうだよ。この先にある洞窟の中にたくさん生息しているんだよ。」


俺たちは、森の中を進んでいった。

「そろそろ着く頃だと思うけど……」


「あっ、なんか見えてきたぞ。あの村か?」

「そうだよ。もう少しだね。」

「よし、じゃあ行くか」

「待って。その前に作戦を確認しておくよ。まず、私が一人で先行して、オーク達を引き付けるから、真人君は私の後ろからついてきてほしいんだ。」

「了解。」


「それで、ある程度引き付けたら戦うから真人君は、私の後ろに隠れていてほしいんだ。」

「分かりました。」

「よし、じゃあ行こうか」

俺たちは、オークがいると思われる場所へ向かった。


すると、そこにはたくさんのオークがいた。

「アリアさん!危ないっ!!」

アリアさんの背後からオークが迫っていた。

「大丈夫。心配しないで」

そういうと、彼女は手に持っていた槍でオークを突き刺した。


「グギャアァッ!!!」

断末魔をあげて、オークは倒れた。


「す、凄いなぁ……。あんなに強かったなんて知らなかった。」


「ふふん♪これくらい余裕よ」

彼女は誇らしく笑った。


すると、次の瞬間……

「グルルルル……」

「嘘だろ?まだいるのかよ。」


さらに2体もの特大オークが現れた。

「流石にこの数はキツいわね……」

「ここは俺に任せてください」


俺は、アイテムボックスから剣を取り出した。


「アリアさん!この剣を使って下さい!」

「これは……?剣なの?見たことない形だけど……」


「はい!これは、オーダーメイドで作った剣です。性能は保証します」


「そう、なら使わせてもらうわね」

彼女は剣を手に取ると、剣を抜き放った。

その刀身は美しい銀色をしていた。

「綺麗……!まるで鏡みたいね」


「はい、この剣は俺の最高傑作なので、大切に使ってくださいね」


「ええ、もちろんよ。それじゃあ、行ってきます」

彼女は、オークに向かって駆け出した。


「私に、力を貸りてちょうだい」

彼女は、剣を振って、一体のオークを倒した。

「やったわ!」


残りの1体は、逃げ出そうとしていた。

「逃さないわよ」

彼女は素早く動き、オークの背後に回り込み、首を斬った。


「これで終わりね」

彼女はこちらを振り向くと言った。


「ありがとう!おかげで助かりました」

「いえ、気にしなくていいのよ。それより早く町に帰りましょ」


「そうですね」

俺たちは街に戻った。


「戻ってきたね。どうだった?」


「はい、緊張しましたけどアリアさんのおかげで助かりました」


「それは良かった。報酬も用意してあるから受け取って」

「ありがとうございます」


こうして、俺は無事装備作りの依頼を達成することができた。


俺とアリアは、ギルドで装備を受け取った後、宿で休憩をとっていた。


ちなみに、装備の名前は、銀狼の剣というらしい。

アリアが装備していると、とても似合っていた。


その後、俺はアリアと別れると、自分の部屋に戻り、ベッドの上で寝転んでいた。俺は、自分の作った装備が冒険者に喜ばれるのを見て嬉しかった。


それに、アリアと過ごす時間はとても楽しかった。


だが、アリアは勇者だ。いつかは魔王を倒すために旅立ってしまうだろう。

俺は、そんなことを考えているうちに眠ってしまった。


朝起きると、外では雨が降っていた。今日は特に予定がないので、ゆっくりしようと思っていた。


だが、ドアをノックする音が聞こえたので、外に出てみるとアリアが立っていた。

しかも、傘をささずにびしょ濡れになっていたのだ。


俺は慌ててタオルを渡した。すると、彼女は微笑んで言った。


「ありがとう。でも、私は大丈夫だから」

「いや、全然大丈夫じゃないでしょ!風邪引きますよ!」


「本当に大丈夫だってば」


「なんでそこまでして来たんですか!」


「昨日のお礼を言いたくて来たの」

「お礼なんていいんですよ。当然のことをしただけだから」


「それでも感謝したいの。ありがとう」

「分かりまし。じゃあ、とりあえず中に入って下さい」

「うん。ありがとう」

俺は、彼女を部屋に招き入れた。


「服を脱いで、これを着てください」

「えっ?どうして?」

「このままだと、風邪を引くかもしれないでしょ?ほら、早く」

「分かったよ」

彼女は渋々了承した。


「着替え終わりました?」


「うん。サイズはピッタリだよ」


「そうですか。じゃあ、風呂を沸かすので後で入って下さいね」


「えっ?一緒に入るつもり?」

「違いますよ!体を温めるために、風呂に入った方がいいと思ったんです!」


「なんだ、そういう事か。びっくりさせないでよ」

「ごめん、ごめん」

「もう、仕方がないなぁ」


彼女は頬を膨らませながら、浴室に向かった。


しばらくして、彼女が出てきた。

「ふぅ〜。温まった〜」

「じゃあ、僕もも入ってくるから、適当にくつろいでてください」


俺は、入浴を終えたあと、アリアに話しかけた。


「あの、アリアさん……」

「なにかしら?」

「これからの旅についてなんだけど……」

「もしかして、私と一緒に行く気になったの!?」


「いや、そういう訳じゃないんですけど……」

「なんだ、そうなの……」


彼女は少し残念そうな顔をした。


「ただ、危険な目に遭う可能性があるのに、一人だけで行かせるのは心配だと思って……」


「優しいのね。あなたは」

「まぁ、一応は依頼を引き受けたわけだし……」


「そうね……。なら、私からも一つお願いがあるの」


「何ですか?」

「私に敬語を使うのをやめてほしいの」


「どうして?」

「勇者といっても、まだ18歳の少女だからね。違和感を感じるの」


「なるほど、分かりました」


「よろしくね!」

「ああ、分かった」


こうして、俺達は二人の距離感は縮んでいった。

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