第14話 いじめ

「あんたってバカじゃないの?新しいターゲットが出来て、イジメから解放されたのに、そのΩと仲良くしてるなんてさ。ひょっとして遊馬のこと好きなの?てゆーか、やっぱり女の子が好きなんだ。気持ち悪ーい。着替えのときとかそういう目で見てたんだ」

「心配しなくても誰でもいいわけじゃないから。あんたたちなんかを好きになるわけないじゃん。こっちにも選ぶ権利はあるっての」


 今までボクは彼女らに反抗しなかった。そんなボクが反応したものだから彼女たちは驚き、また、怒りで顔を真っ赤に染めた。

 確かにバカかもしれない。

 せっかくイジメもなくなっていたのに。

 でも、双葉と関わって、彼女のことを理解したい、守りたいと思ったのが現実だった。


「イジメがくだらないことだってわからないの?」

「ストレスのはけ口でしょ?このストレス社会に必要なものよ」

「ボクには何してもいいから、もう双葉には何もしないで」

「好きって言ったの、図星だったの?」

「わからない。でも、双葉が傷つくくらいなら、ボクが傷ついたほうがマシなんだ」

「じゃあさ、ちょっと言うこと聞いてよ。服脱いで、身体見せてよ。ひょっとして本当に男の子だったら、今までのこと謝らなきゃならないでしょ?」

「……ね、ありさ。それはさすがにやりすぎだよ」

「そこまでしなくても」

「怖いなら帰っていいよ。あたしは群れなきゃいけない奴じゃないんだよ。ふたりとも、あたしが怖いから仲良いふりしてたんでしょ?」


 言葉を返せず、ふたりは逃げていく。


「……脱げば満足するんだね?」


 ボクは躊躇いもなく服を脱いでいく。

 顕になった身体のラインは完全に女の子だった。


「下着も脱ぐの?」

「……脱がなきゃ、わかんないでしょ?」


 その言葉にボクは下着に手をかけた。



「莉乃に何してんの!?」



 ボクらの前に現れたのは双葉だった。

 ボクの身体を隠すようにボクの前に立つ。


「莉乃、服着て。帰るよ」

「え、でも……」

「言い訳しない。私はそんなこと莉乃にしてほしくない」


 双葉はボクが服を着たのを確認してから、ありさを睨みつけた。


「莉乃にまで手を出すなら、私は黙っていないから」とそれだけ言い捨て、双葉はボクを連れて教室を出た。



「……手、痛いよ、双葉」

「私は怒ってるんだよ」

「何に対して?」

「莉乃を守れなかったことが悔しいの」

「それを言ったらボクも双葉のこと守れてないよ」



 熱い視線が絡まり、ボクはキスをされる。



「……好きだよ、莉乃。だから、あなたのことを守らせて?」

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