第15話 ふたりきり
どうしてこうなったんだろうとわたしは頭を抱えていた。
写真部に無事入部が決まり、わたしのカメラをどうしようかという話をしたのがきっかけだった。カメラは各々が写真好きということもあり、個人所有で備品はないとのことだった。部費で買おうかどうしようか話していたところ千夏先生があまり使ってない古い型のカメラがあるから、それはどうかという話になり、学校帰りに先生の家に寄ることになった。
「ごめんね。狭いし散らかってるけど、気にしないでね?」
「全然散らかってないよ」
わたしは笑顔でそう答えたが、内心心臓はバクバクだった。
だって好きな人の家だよ?
ふたりきりだよ?
意識しないわけないじゃないか。
「コーヒーと紅茶、どっちが好き?」
「紅茶がいい。コーヒーは苦くて苦手なの」
「甘いのが好き?」
「紅茶ってそんなに種類あるの?」
「うん。私の趣味で、いろいろあるの」
「なら、先生のオススメで!」
「ふふ。じゃあ、とびきり美味しいの淹れてくるね。ゆっくりしてて」
先生を見送り、わたしは部屋をぐるりを見渡した。
「散らかる前に物があまりない気がする。強いて言えば本が多い?」
職業柄本は必要だろう。
「あ、こっちには写真集がいっぱいある」
本を手に取り、わたしはページを開いていた。
☆
「……服、脱いでよ、莉乃 。あいつに見られたところ、消毒してあげる」
「ちょ、ちょっと待ってよ、双葉 。いろいろ順序をすっ飛ばしてる気がするんだけど」
「莉乃は私のこと好きなんでしょ?で、私も莉乃が好き。両想いじゃない?なんか問題ある?」
「ボクは認めたくないけど女の子だよ?」
「知ってる。私は莉乃が女の子でも男の子でも好きだから。どうせセックスのやり方が変わるくらいでしょ?」
その言葉にぶわっとボクは赤面した。
「あ、想像して真っ赤になってる。莉乃のエッチ」
「そりゃ、ずっと片想いを覚悟してた相手に好きって言われて、そういう話をされたら想像もするよ!?」
「じゃあ、想像したとおりに私に触れて?」
「なら、その手を止めてって……ひゃ…あ……っ……」
「莉乃は耳、弱いんだね。かわいい」
服はすっかり剥ぎ取られ、ボクは下着姿になる。
キスの雨がふり、ボクは降参する。
「……どうしたらやめてくれる?」
「莉乃からキスしてくれたら。いーっぱい愛をこめてね?」
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