深海から星をのぞむ

水永なずみ

深海から星をのぞむ

重い海刺さる寒流白む息届かぬ「ひかり」を乞い、口ずさむ


怪物だ 怒鳴り壊して家荒らす縮め、体よ見つかる前に


「戦え」と「母を守れ」とおのれが言うすくむ我が身にため息二つ


父の顔薄皮めくれば黒いやみなりたくないよと出自を呪う


またぎずしりと感ずランドセル変わる期待にはやる足音


泥を投げ笑う子供に父を見る そうか分かった周りは敵だ


ただ怖い見るな来ないであっちいけ エラで息して笑みで隠して


浮かぬ声心を潰して耳抑え布団ふとんをかぶりただユメにふける


水底に暗くよどんだ過去を見る 求め伸びる手 つかむ今の手


外に行こ 釣られ飛び出る我がまなこ息のつぎ方分かるはずなし


落ち着いて吸って吐くのさ貝の真似できたらのぞこう 君を待つ場所


耳を打つさざなみすくい靴らすリアルな夢だと舌を巻きつつ


空をごらん 初めて見るでしょ星の海やっと笑ったミルクはいかが?


星は穴だ はるか昔の誰かの言葉つなぐ道だとあなたは笑う


さぁ次だ!ほらほら行くよどこまでもじっくり見たいの?それは今度ね


うずみたいキラキラ回る景色が回るかれ伸びてく縮んだ からだ


もうおねむ?ゆっくりおやすみまたいつか君は来れるよ 忘れなければ


泡沫うたかたのまどろみ覚めてそらあおぐ灯る「ひかり」にそろり手伸ばし


「頑張ろう」はげむ自分に笑み一つ生きる心地を肺で味わう


都市の空仰げば見ゆる過去の星 いつかの光見てて、見てるよ

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深海から星をのぞむ 水永なずみ @mizu1234

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