第13話 目覚め
*
目を覚ますと雪のように真っ白な天井が目に映った。
着ている服も先程着ていた真っ白な戦闘服から水色の病衣に変わっており、部屋からはむせ返るような薬品の匂いが漂っていた。
右隣を見てみるとメイアがベッドの上で読書をしており、こちらの視線に気付くと本を閉じてイブキに朗らかな笑みを見せた。
「よかったわぁ イブキさんも目覚めたのねぇ」
「はい、ここって……」
「天門台の治療室よぉ。倒れた私達をAチームのみんなが運んでくれたのよぉ」
「そう……でしたね」
そこでようやく思い出した。
先の戦いによって体力が限界になって倒れてしまったことを。Aチームの人に回収してもらったことを。そして徐々に冷たくなっていたハトのことを。
「そういえばハトちゃんはどこに…………ッ!」
「傷に響くから急にベッドから身を起こさない方が良いわよぉ。それでハトさんの事なんだけどぉ…………」
「それは私から説明しよう」
その声と共に治療室の扉が開かれた。
扉の先に居たのは天門台ニホン支部長であるエレン。彼女は純白のコートを靡かせながら治療室に入りイブキの寝るベッドの隣に立った。
「エレン支部長!」
「治療室でわざわざ畏まらなくていい」
「は、はい。それで何故ここへ?」
「順を追って話そう。まずは今回の作戦『ケース・ヴィーナス』は君達の活躍によって成功に終わった。本当に感謝する」
そう言ってエレンは二人を讃えた。
そして一回だけ咳払いをすると、今回の本題について話を始めた。
「ハトについてだが、彼女は収容区画の方へ移動させた」
「収容区画?」
収容区画とは主に捕獲したホシのサンプルを保管するための施設だ。
ホシのサンプルは主に分析として使われており、ホシの特徴を研究し新たな武器などの開発に繋げている。
そんな場所に何故ハトが移動させられたのか。疑問は深まるばかりだ。
「何故ハトがそこに送られたのか気になるか?」
「………はい」
「わかった」
そう言ってエレンはベッドで横になっているイブキに手を差し出した。
「口で説明するよりも直接見てもらった方が早い、服を着替えて来てくれ。医療課には既に話はしてある」
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