第10話 金色の十芒星②
*
金色のホシが生み出した光で作られた妖精はイブキを見て敵意を露にし襲いかかって来た。
最初に近づいて来たゴブリンの棍棒の攻撃は大剣を払って弾き飛ばし、そのままゴブリンを斬り伏せた。が、人魚姫とお姫様の投げた光の塊が身体に当たってしまう。
当たった箇所が火傷したように熱くなる。
「面倒な……」
そう呟きながらイブキは真っ直ぐ舞台に立つにホシに向かって駆けて行く。
途中でトナカイが道を阻んで来るが、そんなことはお構い無しと言わんばかりにトナカイに向かって大剣を振り下ろしそのまま角ごと真っ二つにし金色のホシに向かって飛び上がった。
『守ろう! 守ろう!』
しかし大剣は届かない。赤と青の二体のピクシーが間に割り込み小さな身体とは不釣り合いな力でイブキを押し飛ばしたのだ。
舞台の中心に立ち照明に照らされたイブキへ妖精達は一斉に襲いかかる。
棍棒を振るい、物を投げ、突撃をする。
止まらない波状攻撃に思わず体勢を崩した時、上空の金色のホシがイブキに向けてビームを撃った。
慌てて大剣でビームを防ぐも舞台の外に弾き飛ばされてしまった。
厄介。その言葉がイブキの脳裏に過ぎる。
「イブキさん 大丈夫ですかぁ」
「大丈夫、だけど数が多すぎて厄介だね」
「そうねぇ このままじゃあのホシを倒せないわぁ」
このままホシに向かってもあの妖精達に行手を阻まれてしまうだろう。
だがやりようはある。
「メイア サポートをお願い」
「了解よぉ」
イブキは右手に天太芒炎鏡、左手に通常の芒炎鏡を持ちながら劇場全体を回るように駆け始めた。当然、妖精達は行手を阻む。が、単純な動きの妖精を
『守ろう! 守ろう!』
二体のピクシーが先程と同じようにイブキを突き飛ばそうとする。が、右手に持った大剣をピクシーに向かって薙ぎ払った。
ピクシーは光の粒と消える。これでホシを守る物は存在しなくなった。
『
金色の十芒星は迎撃しようと身体を輝かせビームを放った。
真正面にいるイブキはその攻撃が直撃する。焼けるような痛みが全身を襲い意識を刈り取り始めていた。
薄れゆく意識の中、イブキはある光景が目に浮かんだ。
それは過去の悪夢、全てを奪われた記憶だった。
街を壊され、大切な人を殺される。
「あァァッ!!!!」
怒り、憎しみ、悲しみ。彼女を突き動かしたのは人が持つ偏りの感情だ。
本来忌むべき感情は彼女の意識を覚醒させるには充分。その感情の奔流は
そして全てを奪った相手が目の前にいる、あとは振り下ろすだけだ。
「夢は……」
燃えるような痛みの中、手に持った
「終わりだ!!」
忌まわしき金色の十芒星へ振り下ろした。
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