第4話 童話の街
*
今回の作戦は五つのチームがそれぞれ担当する区域が決められており、ターゲットが潜伏している場所を捜索。潜伏していると思しき場所が確認された際には全チームに連絡し一斉に突入する作戦だ。
彼女達の担当区域はテーマパークの東側。『世界の幸せな童話』がテーマの中世の街。
「ホシ達は見当たらないわねぇ」
「もしかしたらここにターゲットは居ないのかも」
「とりあえず一通り見て回ろう」
そうして童話の街を歩き回る。
倒壊した赤レンガの家、掠れた声しか出せなくなった人魚の像、長いツタによってその姿を隠された緑の塔、離れ離れのトナカイとお姫様の人形。
そんなどこか寂しさに満ちた街を進んで行くとその建物の姿が見えた。
「ここは……」
「劇場ねぇ」
そこは他と比べて比較的損傷も少なく、建物としての形がしっかりと残っている大きな劇場。
上にある看板には『
童話の街の奥にひっそりと建てられた大きな劇場。その雰囲気はどこか異質で不気味さを醸し出していた。
「メイア、ホシの気配はある?」
「この辺りもそうだけど不思議なぐらいホシの気配がしないわぁ」
そう 先程の入口での激しい戦闘が嘘のように、この童話の街は静かなのだ。まるでここだけ時間が止まってしまったかのように。
「…………チームEはこの劇場内を捜索 特に異常が無い場合は司令部に報告の後、別チームと合流しよう」
「わかったわぁ」
「なら早速入ろう! わたしがドアを開けるね!」
そう言ってハトは少しはしゃぎながら劇場のドアを開こうとした。
その時 ドアのガラスにキラリと赤い光が映ったのをイブキは見逃さなかった。
「伏せて!!」
反射的に身体が動いていた。イブキはハトに駆け寄り彼女をかばうようにしながら地面へと伏せた。
直後、ハトが立っていた場所に赤く輝くビームが撃ち込まれる。もしイブキが助けなかった場合、ハトはビームに直撃していただろう。
「あ、ありがとう……」
「怪我が無くって良かった。……それより」
光線の飛んで来た方向を見る。
そこにいたのは一つは青いホシ、そしてもう一つは赤いホシ。先程戦った五芒星よりも一回り大きな形をした九つの角を持ったホシ。
「九芒星…………!」
五芒星、六芒星を遥かに凌ぐ力を持つ個体。それが二つ。
二体の九芒星がこの静かな童話の街の上空に現れたのだった。
『
『
頭に響く二重の声がこの劇場前を包み込むのだった。
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