第2話 レッスン!
初出撃が終わった次の日から。
レッスンという名目で。
戦闘訓練が開始された。
コックピット内で歌う練習ばかり。
そんなある日。
『今日のレッスンはここまでです。そろそろユニットメンバーと合流しましょうか』
「……ユニット、メンバー」
『はい、アイドルユニット、ラピスラズリのメンバーです』
ラピスラズリと言えば今、巷を賑わす超人気ユニットだ。
夢実はそのメンバーに選ばれた事に驚き声が出ない。
「ま、まさかラピスラズリと同じ舞台に……?」
『はい、ラピスラズリと同じ部隊ですよ』
同音異語とはなんと不条理な。
そんな事も知らずに。
夢実はラピスラズリと邂逅する。
「ぷはぁ!」
「アンタ! コーラくらい静かに飲みなさいよ!」
「うっさいなぁ……今、読書タイムなんだけど」
ギスギスした三人が集っていた。
コーラを盛大に飲んでいるのが、三日月アンジェラ。
そんな彼女を注意しているのが、天空リズム。
一人、スマホをいじっているのが、夕陽カリン。
「あ、あのー……」
「「「あん?」」」
――ガラ悪ッ!?
『新人隊員のホシノユメミです、初戦を勝利で納めました。盛大に歓迎してあげてください』
ホログラムで空中に投影されたマネ(白い球体)が言葉を発する。
「へぇ……おもしれーじゃん、おいお前!」
「ひゃい!?」
「ちょっと面貸せや」
「ひいい!?」
アンジェラに無理矢理連れていかれる夢実。
その行く先はイデアールの置いてある倉庫だった。
「此処にシミュレータがあるんだよ……さあヤろうぜ!」
「な、なにを……」
「摸擬戦に決まってんだろ!」
「ひい!?」
正直、最初に夢実が戦魔帝国と戦った時は寝ぼけていた事もあり、彼女は夢だとばかり思っていたのだ。しかしここ数日間のレッスンでそれは現実だと教えられてきた。そうそしてだからこそ。
「こ」
「こ?」
「こ、こわいんです……戦うのが」
「あん? 初出撃で戦魔帝国の兵士をヤったんだろうが!?」
それでも、だ。
いや、だからこそ、かもしれない。
この恐怖は。
自分が戦ったという記憶。
それがトラウマになっている。
「ごめんなさい!」
「あっ! 逃げんなオイ!」
その場から走り去る夢実。
走って走って走った先は、なにもない広い空間だった。
「どこ……ここ?」
答えを期待していない疑問。
それに答える者が一人。
『ライブステージですよ、ラピスラズリの』
「マネ……」
『戦うのが怖いですか、ユメミ』
「こわいよ、そりゃ、死ぬかもしれないんでしょ」
それ以上、マネは何も言わなかった。
誰もが分かっている。
これは夢実本人が飲み込むべき問題だ。
するとライブステージにラピスラズリの三人が現れる。
それを観客席から一人眺める夢実。
『今からとびっきりパフォーマンスをするよ!』
『最後まで付いて来てね!』
『さあ、ショーの始まりだ!』
三人によるライブが始まる。
ホログラムを駆使した臨場感溢れる音楽体験。
それがラピスラズリの売りだった。
「これ……私のために……?」
『ふふっ、ただのリハーサル、と本人たちは言っていましたが』
「マネも笑うんだね」
『ええ、人間の真似事ですが。そして悲しむこともあります』
夢実はひとしきりライブを体感した後、観客席を去り。
レッスン室に戻った。
「また、いつ戦魔帝国が現れるか分からないんだもんね」
『ユメミ?』
「マネ、決めたよ。私は戦う」
『……ありがとうユメミ』
そして、戦魔帝国が市街地に現れたというニュースが基地内に鳴り響いた。
「チームラピスラズリ、出撃だ!」
アンジェラと掛け声と共に四人が集い、イデアールに乗り込む。
「イデアール
続く……?
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