アイドルバスター!
亜未田久志
第1話 私がアイドルでパイロット!?
この星を守るために♪
今流行りのヒットソング。
だけど思わなかった。
これが選定試験で。
私がアイドルになって。
戦うことになるなんて。
星乃夢実、十六歳。
時和高校所属。
idolドライブ適合率95%。
これより、戦魔帝国との戦いを始めます。
「ふわぁ~……? なにここ……お布団はぁ?」
『おはようございます、ユメミ』
「おはようございます……?」
『戦魔帝国との戦いまであと三十分となります、喉の調子は大丈夫ですか?』
……いつのまにかいるコックピット。
思い出すスカウトの日。
私には適正があり、対侵略者抗戦兵器「イデアール」に搭乗することになった日のことを。
「アイドルに、なりませんか?」
「え? 私に言ってますか?」
突如現れた黒スーツの男。
私にはアイドルの才能があるのだ言う。
そんな何を見て聴いたわけでもないのに。
何故そんな事が分かるのか。
そんな疑問を呈する暇もなく。
周りの友人にもてはやされるまま。
あれよあれよという間にアイドルになることになった。
出撃は明日の朝。
だとかなんとか言われて。
その日は帰った。
そして今に至る。
「……イマイチ状況がのみ込めないんですけど」
『私はイデアール搭載AIのマネージャーです。マネとお呼びください』
「……マネ、私、アイドルになったんだよね? 戦魔帝国との戦いってなに」
『戦魔帝国とは突如、地下世界から現れた侵略者です。最近起こっている災害の数々は本来は戦魔帝国が起こしたものです』
――そんな大層な事になっていたとは。
夢実は災害の類と戦わなければいけないらしい。
「私……なにすればいいの?」
『歌うんです、ユメミ、それでidolドライブは動きます』
「歌う……それって『星を守るために』とか?」
『そうです』
すると目の前のレーダーが何かを発見する。
『接敵! 十分早いです! 戦魔帝国が来ます!』
「は? はい!?」
現れる巨躯。
恐竜のような身体。
トゲトゲの鎧。
その瞳は宝石のようだった。
「あれが……戦魔帝国……」
『歌ってユメミ! 今こそ戦う時です!』
「ええい、ままよ!」
――この星を守るために。
戦うんだ、この心を愛に変えて。
世界は今、君の手の中。
変えるんだ、争いの無い世界に。
理想だって笑われたってかまわない。
それが私の夢だから。
この星を守るために。
戦うんだ、今この夢を光に変えて。
今日、死んだって構わない。
世界は今、私の手の中。
希望だって、失わない。
それが私の夢だから。
イデアールは歌と共に踊るように戦う。
抜刀したサイリウムブレイドは光を纏い、戦魔帝国の尖兵を斬り捨てる。
舞う血飛沫は煌めいて。
まるでステージを彩る光のシャワーのようだった。
「おわっ……た?」
『お疲れ様でしたユメミ。これから戦魔帝国との戦いは苛烈を極めることになるでしょう、大丈夫、私がついてます』
「もう家に帰してー!」
その慟哭は虚しく響いた。
――続く?
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