第20話 ザ・タワー攻略

「俺もこのタワーの1階までしか行ったことがない」


 目の前にそびえ立つ『ザ・タワー』は天空にまで届きそうだ。


「人類未踏のタワーを攻略できるなんて光栄ね」


 ミコトはいつも通り自信満々だ。


「わたしは……、ちょっと怖いかな……」


 ミキは不安そうだ。


「オレにまかせとけ」


 猿田は強がっているように見える。


「行こう」


 俺は先導し塔の中に入った。

 1階は俺が前回戦ったためか何も無く静まり返っていた。

 螺旋階段を登ってゆくと次のフロアについた。


「ん? なんだ? お前ら」


 フロア中央には4体のオークが居た。

 1体は金色の毛におおわれてひときわ体が大きい。



――――――――――――――――――――


【オークキング】


 ・討伐推奨レベル:80

 ・スキル:倍加


――――――――――――――――――――



 残り3体は銀色の毛におおわれている。

 金色のオークには劣るが背丈は5メートルはあるだろう。



――――――――――――――――――――


【オーク】


 ・討伐推奨レベル:50

 ・スキル:力をためる


――――――――――――――――――――



「おいおい、こんな所にガキが来やがって」


 銀色のオークの一匹が前に出てきた。


「こいつら会話できるのね」


 ミコトは驚いている。


「うん。ある程度レベルが高い魔物は会話ができるようなんだ」


 俺はミコトの疑問に答えた。


「それなら話し合いもできるのね」


 ミキは少し微笑んだ。


「最近、人間食ってねえし。ちょうどいいな。ここは治外法権ってやつだから食っていいよな?」

「ああ、好きにしろ」


 銀色のオークは、金色のオークキングへ許可を求めた。


「なあ、話し合いって感じでは無さそうだぞ」


 猿田は構えた。


「おやおや。人間ぶぜいが抵抗するかね」


 銀色のオークは猿田の前に立ちはだかった。


「ここは俺にまかせてくれ」


 猿田はそう言うと黄金の鎧を身にまとった。


「はーっはっは。人間のガキは面白いことを言うな」


 銀色のオークは素手で猿田に殴りかかった。

 が、次の瞬間。

 オークの上半身は吹き飛んだ。

 猿田のが取り出した斧の一撃。


「ヒサシ。お前からもらったキングコボルドの斧、すげえな」

「猿田、その斧はやっぱりお前に似合ってるよ」


 残り2体の銀色のオークは恐れをなして立ちすくんでいる。


「お前らビビってるんじゃねえよ。人間ごときに。お前ら同時にかかれ」


 金色のオークがそう言うと1体が猿田へ向かって突進した。

 だが、猿田のレベルは113。

 レベル50のオークでは太刀打ちできずまたも一瞬で決着がついた。

 

「うわああああ! 助けてくれ!」


 もう1体の銀色のオークは逃げ出した。

 強烈な破裂音が響く。

 銀色のオークの頭部が破裂し無くなっている。


「同時にかかれと言ったよな」


 金色のオークが頭部を失った体を蹴飛ばし吐き捨てた。



――――――――――――――――――――


【オークキング 倍加状態】


 ・討伐推奨レベル:160

 ・スキル:倍加 レベルが倍になる。


――――――――――――――――――――



「レベル113か、どうりでアイツらではかなわなかったわけだ。

 後ろの奴らも女もレベル100越えてるな。

 おっと、一番うしろに居るおぼっちゃんは一人だけレベル35」


 オークキングは猿田の前に立ちふさがり言った。


「まずはお前からだ」

「くっ! こいつ能力でレベルが倍になるのか」


 猿田の額に汗が流れた。


「お前ら皆殺しだ」


 オークキングは拳をふりかぶった。


「交代だ」


 俺はオークキングの一撃を素手で受け止めた。


「すまない。ヒサシ」

「猿田。お前は下がってろ」


 オークキングは俺に握られたコブシに力を入れプルプルと震えている。


「どうした? 俺が相手だ」

「ど、どういうことだ?」


 オークキングは信じられないという表情で叫んだ。


「俺は自分のレベルをコントロールできるんだ。全力でレベル320」


 俺の言葉をかき消すようにオークキングは無謀に突進してきた。


「うわああああああああ!」


 先程までの偉そうな態度が一変。

 情けない声をあげ殴りかかってきた。


「終わりだ」


 剣で一閃。

 オークキングは青い光へと霧散した。


 2階はオークが守備していたのか他には何も見当たらない。

 

「このタワー、何階まであるんだ?」


 猿田がつぶやいた。


「2階の魔物がこれほど強いなんて先が楽しみね」


 ミコトは強がりなのか?

 そう言うと上へあがる階段へと向かった。


「もっと慎重に行こうよ」


 俺たちはミコトの後について行った。

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