第19話 マゴニア会議
---第186回マゴニア会議 ザ・タワー最上階フロア---
「ふむ。ついにレベル100を越えてくるものが出てきたか」
大国(おおくに)総理は長く白いひげを指で伸ばしながら言った。
「喜ばしいことではありませんか」
ベルゼバブは腕を組んだまま冷静に相槌を打った。
テーブルを囲んだ者達は、互いに警戒しつつ和やかさを演出していた。
人間界から大国(おおくに)総理、建御雷神(たけみかづちのかみ)大将が出席。
異世界からベルゼバブと四天王。
そしてテーブルに向けられたモニターには、ノードとスピンフォームと表示されている。
「人間界の統一から現在は第二フェーズ人類の進化へと順当に計画は進んでいます」
ノードと表示されたモニターから報告された。
「人間界、異世界、そして我々第三世界の平和のために粛々と計画を進めてください」
スピンフォームと表示されたモニターから指示が下ると、モニターの電源は消えた。
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ベルゼバブの存在、そして『ザ・タワー』の攻略。
とても俺一人では対処しきれない。
ミキの能力があれば俺以外の人間もレベル40以上の領域に達することができるかもしれない。
俺はミキ、ミコト、猿田を集めると俺の能力について話すことにした。
「レベル257ですって!」
ミコトは椅子から立ち上がって叫んだ。
「ちょ、ちょっと落ち着いて。みんな見てるから」
必死な俺に対する周囲の視線が痛い。
さわがしい学校の食堂だが、ひときわ大きなミコトの声は響き渡った。
「お前ら! こっち見んじゃねえ!」
猿田の声に周囲は一蹴された。
「これで話しやすくなったな」
猿田は満足げに椅子に座り直した。
「いや、そういう乱暴なのは、どうかと……」
「さあ、とにかくどういうことか話してくれ」
猿田は俺の言葉をさえぎると俺の能力についての説明を催促した。
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俺は能力の説明をするとさっそくレベル上げのために4人で『びっくりダンジョン』を訪れた。
「ミキ、そしたら打ち合わせの通りにたのむぞ」
「ええ!」
「リストリクト!」
俺はリストリクトを発動するとミキがミコトへと俺の能力を経由した。
――――――――――――――――――――
華雅(はなが) ミコト 17歳 女 レベル:1
HP:10/10 MP:10/10
攻撃力:1
耐久力:1
速 度:1
知 性:1
精神力:1
幸 運:1
スキル:炎
――――――――――――――――――――
「びっくりね。これは」
ミコトは自分のレベルが下がっていることをまじまじと感じている。
「気をつけて! ゴブリンだ!」
俺の警告はまるで意味がなかったかのようにミコトは一撃でゴブリンを倒した。
レベル1でさえエリートはエリートだと言うことだろうか?
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夏休みいっぱい俺たちはスライムとゴブリン討伐にあけくれた。
ミキ LV101
ミコト LV125
猿田 LV113
そして俺のレベルは320にまで達した。
登校日、3人がレベル100を越えていたためすぐに職員室へ呼び出された。
後日、どうやってレベルを上げたのか? 詳しい調査があるらしい。
ちなみに俺はリストリクトの能力でレベルを35に抑制したままで隠すことにした。
ミコトによると3人に何かあった時のための隠し玉ということらしい。
4人で食堂で話しをしていると頭の中にアナウンスが響いた。
「サーベイランス招集! アラート発令! アウトブレイク! アウトブレイク!」
久しぶりだ。
「夏休みあけ初日に仕事とはパンデミックも空気を読んでくれてるのか?」
猿田が下らない冗談を言う。
「いくわよ!」
ミコトはレベル100を越えての初のアウトブレイク。
戦うのが楽しみなのか少しウキウキしているようだ。
俺とミキは飛び出した2人の後をついていった。
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俺たちは最前線へと招集された。
『ザ・タワー』からの襲来。
これまでに無いほどの大きな反応がGCR測定で観測されたとのことだ。
「来たぞ!」
高速でこちらに向かって来た。
――――――――――――――――――――
【ヒドラ】
・討伐推奨レベル:400
・スキル:高速飛行
――――――――――――――――――――
「推奨討伐レベルは400だ」
俺がそう言うと緊張が走った。
「腕試しなんて余裕はなさそうね」
ミコトが真剣な顔で言った。
「オレ様の力を見せてやるよ」
猿田は強がっている。
「ヒサシ。どうしよう」
ミキは不安そうにこちらを見た。
「大丈夫。ミキは猿田の黄金の鎧の能力とミコトの力を俺にわたしてくれ」
ミコトと猿田は悔しそうだが俺の指示に従った。
5つの頭をは同時に炎、氷、雷、岩石、業風をはきだしてきた。
猿田の黄金の鎧は一切の攻撃を受け付けない。
俺は剣に炎をやどし突撃する。
ヒドラの5つの頭は粉々に吹き飛んだ。
「すげえな」
猿田が口笛を吹いて漏らした。
「ええ」
ミキもうなづく。
「アタシ達4人の力だからね」
ミコトは俺の方を見て言った。
「ああ、もちろんだ」
本当に4人全員での力があったからこんなに簡単に勝てたんだと思う。
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