出会いは小さく、笑みは優しく
「あれ、
透き通るような清潔感のある
しばらく、垂れがちな茶色の瞳を細めた柔和な笑みで笑いかけてくる彼女を眺めていた。失礼な話だけど、何も言葉が発せられなかった。綺麗って、こうゆう存在を言うのかなって不思議なドキドキを感じていた。なんて言えばいいのかわかんないそんなドキドキ感。ジッと眺めるあたしを朱雨さんは気味悪がらずに優しく見つめてくれてたのだと思う。
お兄ちゃんが一階からお菓子と飲み物を持ってきて朱雨さんを部屋に戻してしまうまであたし達は無言で見つめ合っていた。
帰った後にお兄ちゃんに聞いたら、カノジョだという。まぁ、それは当たり前だろう。高校生が異性を自分の部屋に連れ込むなんて高確率でカレシカノジョな恋人同士だ。何故かお兄ちゃんは口止め料として三千円くれた。
たぶん、エッチなことしたんだろう。お兄ちゃんは健全で不健全な
なんだか妙に胸の真ん中あたりがムカっとしてきて、お兄ちゃんの股間を膝で蹴ってやった。ピョンピョンと便所コオロギみたいに飛び跳ねている姿に「情けな」て言って部屋に逃げた。この三千円は一応いただいてゆく。だって、まだなんかムカつくから。理由はよく分かんない。いや、
あたしはこのムカつきの理由に無理やり納得をつけた。三千円は明日にでもとっとと部活で使う卓球ラケットの張り替え用ラバーに消費してやろうと決めた。
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