[敵? 味方?]
指先がチェーンに触れた時、一瞬、躊躇が走った。
(待って。信用出来る?!)
遅まきながら心に疑念が沸いた。
真っ先に持つべきその感情が心身疲労ですぐに浮かばなかったのだ。
私の右手が動きを止めた。
「早く開けてちょうだい」
牧澤めらりの声がドアの外から追い打ちを掛けてくる。
どうしよう。
追手?
それともまったく関係はない?
でもそれなら何故、私が居た場所の現在名と旧名を知っているのだろう──
ああ、答えが出せない!
「チェーンを外さなくていいから少しだけ開けて!」
「・・・・」
「聞いて! このままここにいても2,3日で捕まるわよ、あなた!」
「!?」
捕 ま る。
今の自分にとってこれほど恐ろしく響く言葉はない。
その動揺は私にドアを開けさせるに十分だった。
「ああ、やっと開けてくれた。良かった」
チェーンを外し鍵を開けるとドアは外から引かれ、そこには確かにあの牧澤めらりが立っていた。
「あの・・・・」
「詳しい話はあとで。とりあえずすぐにここを出た方がいいわ」
「え?」
「言ったでしょ? ここにいたら2,3日で来るわよ」
「来るって・・・・まさか」
「そのまさかよ、必ず捕まる」
「・・・・何故・・・・どうして分かるんですか?」
動揺の中、一番知りたいことが口をついて出た。
「だってあなた、繋がったままだもの」
「??」
「自覚ない?」
「何が・・・・繋がって──」
「
ああ、聞きたくない聞きたくない!
その名は──聞きたくないっ!
「それ、断ち切らないと世界のどこに逃げても追って来るわよ、必ず」
「そ・・・・んな・・・・」
「あなた本当に何も分かってないのね。ただ逃げるだけじゃ駄目なのよ」
「・・・・」
自然と涙が溢れ、頬を伝い始めた。
あまりに絶望──
「どう・・・・すれば・・・・」
口からはそんな言葉しか出てこない。
「とにかくまずはその
「・・・・」
「そっちの連中からしたら
「!!」
霊 的 な ナ ビ
そんなものが自分の身に伸びて繋がっている?
ならどこに逃げても逃げきれない。
死──その一文字が脳内一杯に広がるのを私は感じた。
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