第280話 3日間(最終日)
昨日は裕太君のお父さんである西郷幸夫の来訪があったことで、慌ただしく過ぎてしまった。
裕太君は『親の七光り』と言われるのが嫌で、芸能事務所に入るとともに一人暮らしを始めたと聞いているし、売れた今も実家にもほとんど顔を出していないそうだ。
テレビや映画で見る西郷幸夫は酷くぶっきらぼうだし、正直怖い。
だから、勝手に心配してたんだけど、それは杞憂だったみたいだ。
夜ご飯を一緒に食べに行った裕太君の顔が晴れやかだったから安心したよ。
本日は朝のファションショーから裕太君やステファンさんも登場。
芝居で着ていた衣装で舞台に出てくると黄色い声が飛び交う。
ふたり共ノリノリでランウェイの先端で型を披露したり、殺陣を披露したりと予定よりも長い時間ランウェイを楽しんでいるね。
特に午後の舞台の一部を再現すると会場は大盛り上がり。
今日は午後の部をやる予定は無かったんだけど、急遽そのまま芝居に入っていったんだ。
もちろん時間は短いからそのままを再現することは難しいけど、その分名シーンを集めた撮影会みたいになってた。
取材陣はもちろんファションショーを目当てにしていたインスタグラマーやSNSのアーリーアダプタさん達が撮ってはアップしているから、それを見た人達が続々と会場に集まって来ているみたいで、警備員さんが石渡社長のところに相談に来たんだよね。
それじゃってことで俺達は会場を出て外の広場へと移動。
そこには300人を越える観衆がいて、俺達を見るなり大歓声を上げている。
この広場は週末にはミニライブでも出来るように、小さなステージがあるから、そこに移動した俺達3人と朝里の4人で芝居というか撮影会を続ける。
どんどん観客が集まって来る中、途中から近くの派出所のおまわりさん達もやってきて警備してくれているんだ。
どうやら、こんなこともあろうかと、由美子さんが事前に話しをつけてくれてたみたいだな。
全く有能過ぎるスタッフだよ。
そうしていつの間にか時間も14時となり、大勢の拍手に見送られ石渡コレクションは大盛況のうちに幕を閉じたのだった。
「皆んなご苦労さま。よく頑張ってくれたね」
「「「お疲れ様でしたーー」」」
「この後打ち上げを用意しているから、参加できる人は移動してくれるかな」
「「「はーーーい」」」
午前の部に出演してくれていたモデルさん達や午後の部の役者さん、それと大勢のスタッフさんや衣装さん、メイクさん達が嬉しそうに手を挙げている。
その中にはカリスマモデルの霧島ジェリーやカリスマ美容師のメリーさん、石渡さんのアンテナショップの渋い店長さんもいるね。
「カンパ~イ」
「お疲れ様ー」
「お疲れ様でしたーー」
総勢80人くらいはいるかな。
皆んな売れっ子だから、入れ替わり立ち替わりで面子はどんどん変わるけど、絶えず30から40人くらいはいるね。
今回のショーに関わった人だけでなく、テレビ局の人や電報堂の人、取材陣など入り乱れての大打ち上げになってる。
「わたし達まで参加させてもらってよかったのかしら?」
「大丈夫ですよ。俺達だって初めて見た人がたくさんいるんですから」
俺達の眼の前で恐縮しているのは四宮さんと山口さん。
俺達のメインスポンサーだからって、石渡さんが声を掛けてくれてたみたい。
大勢のカリスマなんとかや大俳優を目の前にして、かなり緊張しているみたい。
まぁ、ゆっくり楽しんでもらえたら嬉しいな。
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