第132話 パリにて2
レストランで美女ふたりに挟まれて、周りの男性陣から敵意を向けられている俺、結城丈一郎です。
パリの高級ホテルのレストラン内で、沢村由美子さんと朝里に挟まれてランチを頂いているところ。
美味しいんだけど、視線が気になって仕方がない。だって、頭の中で警報音がガンガン鳴っているんだから。
美女ふたりは、男どもの視線に慣れっこなのか、楽しそうに談笑しながらランチを楽しんでるような。
ふたり共、いちいち所作が綺麗なんだよね。こういった高級レストランでの食事に慣れているんだろうな。
それがまた、男どもの視線を強くしているんだけど。
女性陣もそれなりにチラ見はするけど、男って奴はしようがないね。まったく!
そんなわけで1時間ほどかけてランチも終了。フランスの国営放送局に向かうことになった。
セーヌ川を隔ててすぐの場所でタクシーを降りて、テレビ局の中へ。
「ソワイエ ラ ビアンヴニュ(ようこそお越しくださいました)ムシュー ジョウイチロウ、マドモワゼル アサリ!」
受付の前に行くと、高級そうなスーツ姿の男性が出迎えてくれた。
「紹介しますわ。こちら父の友人で、こちらでわたしもお世話になっているプロデューサーのアンリさんです。ここからはわたしが通訳しますね。
『ようこそお越しくださいました。丈一郎さん、朝里さん』」
「メルシー・ドゥ・マヴォワー・インヴィテ(招待して頂きありがとうございます)」
長くなるので後は由美子さんの通訳で。
「『朝里さんはフランス語が堪能なのですね』って仰ってます。」
「『それではご案内します。』」
こうして、俺達のフランス1日目が始まったんだ。
今日は旅の疲れもあるからってことで、お偉いさんとの挨拶と会食のみのスケジュール。
広いテレビ局内をあちこち歩き回っては挨拶を繰り返す。
皆さん、殺陣を見せて欲しいと言われるので、途中からは着物に着替えているのだ。
そしたら、俺でも知っているくらいのフランスを代表する大俳優とバッタリ会って、ふたりで演武を披露することに。
広いスタジオを使って、ふたりで模造刀を持って立ち会う。
いつの間に増えたのか、30人はいるギャラリーに囲まれて演武を披露する。
後で聞いたんだけど、この俳優さん、こちらでも有名な剣術道場で免許皆伝をもらう腕前だったそうで、裕太君ほどではないにしろ、結構強かったよ。
もちろん負けないけどね。
そんなこんなで、大いに盛り上がったから、初日の掴みとしてはバッチリじゃないかな。
そしてお待ちかねのディナーなんだけど、昼間のホテルのレストランなんて比べ物にならないくらいの高級店に思わず腰を引けてしまう。
だけど件の俳優さんが上手く盛り上げてくれて、俺達はフレンチのフルコースをゆっくり堪能しながら話しが弾んだよ。
そして翌日。今日は、超長寿のバラエティー番組にゲスト出演。
元アナウンサーの軽快な司会でトークが盛り上がる。
その中で東京ウインターコレクションでの俺達の時代劇が映像で紹介されると、出演者達も大騒ぎで、矢継ぎ早やに質問攻めを受ける。
こんな時は通訳を介すると落ち着けるから不思議なもんだ。
朝里のことも日本の有名モデルとして紹介されると、また大盛り上がりとなったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます