第17話 NPC生活は順調です
NPCハヤトとして過ごし始めて今日で1ヶ月になる。
2日に1回はダイヤモンドのダンジョンに出かけては地図の作成と攻略を繰り返している。
ルビーのダンジョンは地下25階が最下層だったけど、ダイヤモンドのダンジョンはもっと深そうな気がする。
それに広さが段違いだ。
円錐型っていうのかな、上階が狭く、下に行くほど広くなっているって感じ。
魔物の難易度も結構高い。ルビーの20階層に出てきたウルフなんかも8階層くらいに出てくるし、広さも考えるとC級冒険者じゃ8階層あたりが限界なんじゃないかな。
今は地下12階層目の地図を作っているところだ。
今日も午前中に調査を切り上げて、冒険者ギルドに来ている。
なんでもボウケンさんから相談したいことがあるから時間をくれって言われてるんだ。
「ハヤト、ダンジョン内に街を造ろうと思うんだが」
「街、ですか?」
「そうだ、まあ街って言っても冒険者の中継基地みたいなもんだな。
お前みたいにすいすい移動できる奴ばかりじゃねえし、中で怪我でもしたら戻ってこれねえかもしれねえ。
だから適度な階層に結界を張ったエリアを作って、宿泊施設や救護施設、売店なんかを設置するんだ。
これがダンジョンの中の街って奴だ」
そういえば、ゲーム中にもダンジョン内にポーションとか売っている店があったな。あれか!
「それでだ、お前ならどこ辺りに街を造る?」
「うーーーん、そうですね、地下6階ですかね。ダイヤモンドのダンジョンは他のダンジョンと違って、下に行くほど広くなっているんです。
5階層目まではD級冒険者でも日帰りできる出来ると思うんですが、それ以上は魔物も強いし、最短の移動距離でも結構時間が掛かります。
だから6階層目に降りたところ、もしくは真ん中辺りに1つ目を置いた方がいいと思います。
後は8階層目、10階層目、12階層目とここまでは2階層ごとにですかね。
それ以上は、まだ調査できていないのでもう少し掛かりそうですけど、この辺りまで来るには最低でもB級以上は必要だと思うので、今のところそこまででも十分じゃないでしょうか」
「なるほどな、B級以上しか行けない難易度ってなると、結界自体が持たねえかもしれないから、恐らくそれ以上下に街を造るのは難しいかもな。
分かった、ありがとうな。また指名依頼するから街を造る時には協力頼むぞ」
とまあ、こんな感じでいろいろとやることもあって、なかなか充実した日々を送っているよ。
夕方からはショウコウさんと打ち合わせ。
ルビーのダンジョンからは思った以上に様々な鉱石や宝石が出ているらしい。
それで、その相談をしたいって。
「おおっ、ハヤトか、来てくれたんだな。
早速なんだが相談に乗ってくれ。
実はな、ルビーのダンジョンから採れる鉱石や宝石が思った以上に種類も量も多くてな。
まああれだけ長い間攻略されてなかったんだから、よっぽど溜ってたんだろうな。
それでだな、領主様と相談してだな、これまでそのほとんどを鉱石のまま輸出していたのを、街の中で加工して販売しようとしてるんだ。
商工ギルドは商人と職人を束ねているから、採掘から加工、販売までを一手に担うことが出来る。
それに出来上がった商品を行商人の手で手広く販売するには冒険者の護衛も必要だし、町全体が潤うことに繋がるんだ。
お前さん鑑定スキル持ってるだろ。
そこでだな、お前さんの能力を生かしてアドバイスが欲しいんだよ」
「でも俺宝石なんて詳しくないですよ」
「ああ、デザインとかは、後々考えるとしてまずはどんなものが作れるかを知りたいんだ。
なあ、協力頼むよ。領主様からも冒険者ギルドに指名依頼するって言ってるんだ」
「まあ、そういうことであれば、出来る限り頑張ってみます」
「ああ、頼んだよ」
うーーーん、また難しい依頼を受けてしまったな。
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