第3話
はい、おはようございます。いい天気です?
いい加減この強制シャットダウンみたいな眠り方どうにかしないと危ないな。
まだ早い時間帯なのか薄暗い辺りを見渡しながら身体をさする。
「寒っ!は〜、よく寝れたもんだ。」
ガチガチに固まった体をゆっくりほぐしながら今やるべき事を考える。
(早めに町に行きたいところだけど道がある訳でも方向がわかる訳でもないし……。とりあえず、川沿いを進むのともう少し自衛手段を確保しないとなぁ)
川の水面に写った身体はだいぶ幼いものになっており、どこまで動けるのか確かめる必要もある。
「さぁさぁ、まずは魔力がどれだけあるのか気になるけど魔力切れで倒れたら絶対ヤバいし、とりあえず木登りが出来るかだけでも確かめておくか」
目についた木を触りながら上を見上げ、登り始める。意外にスイスイと登れることに驚きながら一度太い枝に腰を降ろす。
(んー、案外登れるもんだなぁ。この高さをこの速度で登れるなら最悪狼とかに襲われても何とかなるか?まぁ、熊やオーク相手には無理そうだけどな)
落ちないように気をつけながら枝に立ち遠くを眺めるが森以外は何も見えず森を抜けるにも数日かかることが予想できる。
「さて、早めに移動しないとアイツが来るかもしれんし、移動しながら色々試してみるしかないか」
とりあえず、木から降りて置いたままにしていた荷物を担ぎ歩き始める。少し重たいがこれくらいなら動くのにも問題ないだろうし、何より無くなったら普通に困るしな。
鉈で枝や草を薙ぎ払いながら歩いていくがこの幼い身体ではなかなか進みずらい。
(そういや、小説で魔力を身体の中で循環させて身体強化ぁ!ってやってたっけ?歩きながらだからあれだけど出来んのかな?)
テクテク歩きながら自分の体に意識を向けるがまぁ、今まで感じたことの無いものをどう認識しろって話になる。昨日焚き木した時に魔法?使ったがあの時はあまり意識もしてなかった。(あまり使い過ぎて倒れたくはないんだけど仕方ないな)
人差し指からライターみたいに火が出るイメージをしながら身体から何か抜けていく感覚がないか集中する。
(あ〜、なんか指から出てんな。これは……心臓?んー、心臓に溜まってる感じなんかな?ならこうやって……)
心臓から血液のように魔力が循環するのを想像してみる(どう循環してるのかは忘れたからあくまで一本のパイプが1周してるイメージだゾ)
「んー、ん〜?これ出来てんのかな?何か身体は動かしやすいけど……」
恐らく出来てはいるんだろう。その感覚は言ってしまえば体の調子がいいみたいなものにはなるが循環スピードをあげればもっと身体が動くだろう。
「何だこれめちゃくちゃ楽しいな!どれくらい動きやすくなるっ!?」
調子に乗って循環スピードをあげていると大体最初のスピードの3倍に到達した瞬間身体から悲鳴が上がる。身体全体の筋肉がとてつもない痛みを訴えながらちぎれそうな感覚におちいる。すんでのところで身体強化を解除し、坂道全力ダッシュした時よりも激しい動きをする心臓に苦しみながら地面に蹲る。
「これは……あんまりやるべきじゃないなぁ」
恐らく数時間はたった頃落ち着いた胸を抑えながら座り込む。3倍にするだけで数時間動けなくなる身体強化はあまり使うべきでは無いことは分かりきってはいる。しかし、2倍でなら動き続けることは何とかできるだろ。何より一時間程しか発動してないにも関わらず、ただ歩いていた頃よりもだいぶ進めている。
「食料が今日の分を抜いて6日分あるとしてもなるべく早く町に着くべきだ。身体強化もずっと続ければいずれ3倍……いや、4倍まで行けるようになるかもしれないし、やるべきだろうなぁ……」
とりあえず今日はもう辺りがだいぶ暗くなってきた。出来るはどうかは分からないが木の上で寝れば襲われる心配も無いだろう。
……寝相が悪いのが心配な点だけどほら、隣に壊しちゃいけない物とか置いとくと凄い寝相が良くなるって言うしそれにかけるしかない。
食事を済ませ、ゆっくり瞼を閉じる。
乙女ゲーは詳しくないんです! 木乃 @kino0406
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