失敗は成功の母、とも言うけども・・・。

「・・・なんだよリエラ。」


 私は返事をせずに少し昔のミディの失敗の事を思い出していると、その様子を不審に思ったミディが足を止め私の方へ振り返る。


「んー?いいえ何でもないわよ。八百屋のおばさん家の軒先が焦げた事思い出しただけよ。」


「あー・・・。うん。失敗することも有るよ。猿も木から何とかとも言うし・・・。」


「そうねえ。まあ人に迷惑を掛けなければいいんじゃないかしら。失敗しても。」


「うぅ。手厳しい・・・。」


 失敗は成功の母とも言うし、私は全然失敗する事には何も問題ないとは思うのよ、ミディ。


 でも、さすがに実害が出るような失敗は論外よ。危うく町中炎上しちゃうかもしれなかったもの。


「おーい、何油売ってるんだよミディにリエラ。早く行くぞ。」


 森の入り口から奥へ少しばかり先行していたキャスカが、私達を催促するように声を掛けた。


「お、おう。キャスカ、今行く。」


 ミディは直ぐに返事をするとキャスカの方へ小走りで駆け寄っていった。


 私もそれに遅れまいと、重い荷物をガシャガシャと鳴らしながらキャスカの元へ走る。


 それにしても日帰りの予定で来たけども、さすがに重装備過ぎたかしら?


 まあサンプル収集程度であればそこまでの重さにならないと思うのだけど。

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