第400話 二枚目の鍵の在処 ②

 

「前回同様、この剣はドアの中に入れないとか言うんだろう?」

『そのとおりです』

「では、また時空を超えてどこかに行くのか?」

『そうです』

「どこに行くんだ?」

『それは、入ればわかります』


「危険なところじゃないだろうな?」

『もちろんです。先ほども言ったとおり、二枚目の鍵が置いてある場所へ通じています』

「四人が入るドアの一つが、だろう?」

『……そうですね』

「違うらしいな」間が気になるマーティ。

「ああ、一つじゃないらしい」嫌な雰囲気を感じるロイ。


『行くのを止めますか?』

「行かないとは言ってない」

『……そうですか。では、もう一度言います。剣を置いてください』


『ヤダッ! 私も一緒にいく!』

『あなたがなんと言おうと決まりなんです。さあ、剣を置いてください』再度言うので、剣のベルトを外しだす。


『ロイ!』

「戻ってくる」

『ヤダッ! 私も一緒にいく!』

「必ず戻ってくる」剣を壁に立て掛ける。


『あなたには、ラディウス・ソリッシュを守るという役目があるんですよ』

『そんなの知らないよ!』

『ラディウス・ソリッシュを守ることが、一緒にいるあなたの役目です』

『そんなこと勝手に決めないでよ!』

『最後まで行けなければ、あなたはずっと、そこから出られないんですよ』

『アッ!』


「シュール、大丈夫だよ。絶対こんな所でくたばったりしないから」

『ロイ……』

「そんなに時間は掛からない。待つのは少しだけだ」声を掛けるマーティ。

「わ、私だって、ぜ、絶対、も、戻ってくるわ!」天井から叫ぶバーネット。

「シュール、待ってて。必ず、戻って、くる」アニスも声を掛けるが、返事をしない。


「暇つぶしに、部屋の中にあるドアの数でも数えてな」

『でも……』

「ニゲラ。前にも言ったが、僕たちが戻ってくるまで、剣に触るな」

『そんな言い方をしなくてもわかってます』

「シュール、何かあったら、わかってるな?」

『特大!』


「それと、僕たちが入るドアに何かしようとした時もだ」

『わかった! 見張ってる!』

『ひどい言われようですね。私が何かするとでも思っているんですか?』

「さあ、どうかな」

『私は役目を果たしているだけです』

「……そうか」


『理解していただければ結構です。では皆さん、お気を付けて』声を掛けられると、それぞれドアを開けはじめる。


 壁に付いている石のドアを開けるマーティが「先に行くぞ」中に入ると、アニスが床にある木のドアを重そうに開け「行って、くる」階段を降りていき、バーネットが天井にあるステンレス製のドアを開けると「な、何よこれ! よ、よじ登れと、い、言うの?」文句を言いながら上がっていく。


 そして、半分に折れたドアを開け、みんなが行くのを見送るロイが「シュール。すぐ戻ってくるから、心配するな」

『ローイー……』

「行ってくるよ」

『うん。気を付けてね!』


 返事を聞くと、奥へ続く階段を降りていく。

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