第399話 二枚目の鏡の在処 ①

 

『皆さんの入るドアが見付かったようなので、この先のことをお話します』ニゲラは部屋の中央へ飛んでいき、床に降りると説明を始める。『皆さんが入るドアの一つに、二枚目の鍵があります』


「そうきたか」驚かないマーティ。

「部屋のどこにあるんだ?」ロイが聞くと『それは、中にいる者に聞いてください。ある特定の者が知ってます』

「中に人がいるのか? どのくらい広い部屋なんだ?」


「部屋だとは限らないぞ。これだけのドアの先に個別の部屋があるとは思えないからな。たぶん通路か何かがあって、別の場所に行くんじゃないか?」

「ああ、なるほど」


「そうなると、最初は人捜しか」考えるマーティが「どんな人物が知ってるんだ?」

『部屋によって知ってる者が違うので、説明できません』

「聞いて回れと」

『そうですね』


「時間が掛かりそうだな」予測するロイに『もちろんです。どんな事が待ち受けてるかわかりません。しかし、その難関を潜り抜けなければ、二枚目の鍵がある場所まで辿り着けません。そして無事、二枚目の鍵がある場所に着いたら、あなたたちが持ってきた物を使って、取り出してください』


「取り出す? どうやって取り出すんだ?」

『それは、鍵がある場所へ行けばわかります』

「俺が持ってきたブレスレットは、アニスたちに渡してしまったぞ」

『何を言うんですか。影の森の精霊から、新しいブレスレットを貰ったはずですよ。あなたの友人たちも』


「なんだ、知ってたのか」

『当たり前です。知らないとでも思ったんですか?』

「いや。試しに聞いてみただけだ」右腕のそでくると、同じ種類の金のブレスレットが填めてあった。


「それもソレルの作品なのか?」

「そうらしい。ミルが次のブレスレットだと言ってくれたんだ」

『マーティは戻ったとき、あの二人に会わなきゃいけなかったんだね』そうなのかと頷くシュール。


『ここで先に言っておきますが、ドアの中では、どんな事があっても、誰も助けに行きません』


「エーッ!」不満の声を出すバーネット。

「そんな!」悲鳴に近いアニス。

「まあ、そうだろうな」驚かないマーティ。

「自分の身は自分で守れか」難しい顔をするロイ。


「一人、行く……」不安そうに呟くアニスに『強制はしません。行く、行かないはそれぞれの判断に任せます。でも、あなたが入るドアの中に、二枚目の鍵があるかもしれませんよ』


 そう言われてジッとドアを見るので「無理しなくていい」声を掛けるマーティ。「もしアニスのところだったら、俺がいく」

「でも……」

「構わないだろう?」ニゲラに聞くと『無事に戻ってこられたら、構いませんよ』


「バーネット、行けるか?」ロイが確認すると「こ、ここまで、バ、バカにされて、ひ、引っ込むわけ、な、ないでしょう! い、行くわよ!」下を見ることができず、上を向いている。


「無理だったら僕が行くから」

「だ、大丈夫!」


 バーネットの返事を聞いて、ニゲラが『あなたはどうしますか? 行きますか? やめますか?』とアニスに確認すると、彼女はまたジッとドアを見つめ「……行く」

『アニス! ここで待ってたほうがいいよ!』シュールは止めるが「大丈夫……行く」顔を引き締める。


『では尋ね人、剣を置いてください』

『また! なんで一緒に行っちゃいけないの?』

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