第397話 ドアの部屋 ②

 

 最初に見付かったのはアニスのドアだった。


「これ」ドア中央の窪みに、持っている鏡を合わせる。

 そのドアは、床にある赤茶けた色の、木でできたドアだった。


『先に入りますか? それとも、皆さんのドアが見付かるまで待ちますか?』と聞かれ、ロイとマーティを交互に見ると「……待つ」

『では、そこで待っててください』

「開けるのが大変そうね」ドアを見るバーネット。

「重そう、見える。開け、られる?」心配そうにドアを見るアニス。


 次に見付かったのはロイのドア。


「これだな」

『ねえ、このドア開くの?』不思議そうにドアを見ているようなシュール。

 奥の壁に近いところにある、右側の壁と床にまたがっている黒いドア。中央部分で二つに折れている。


「開かなきゃ、ドアの意味がないだろう?」と言うが、ロイも開くのか疑問に思う。

『でも、ドアって普通、真ん中で折れてないでしょう?』

「普通はね。だけど、ここは普通じゃないから」


 次に見付かったのはマーティ。


「足場になるものはないか?」左奥の壁下から二メートルくらい上にある、ライトグレーの石でできたドアを見上げる。

『よじ登ってください。足を引っ掛けるくいが壁についてます』


「こんな所で、ボルダリングをさせられるとは思わなかった」嫌味を言って登りはじめると「本当にそのドアなのか?」ロイが確認する。


「ご丁寧に鎖の窪みがついてる。間違いないだろう」片手でくいつかまりながら鏡を取りだし「ったく、作った野郎をぶっ飛ばしたい気分だ」窪みに合わせるとピッタリ合うので「ビンゴ!」すると、ガタンガタンと音がして、杭が打ち込まれている壁の石が一つずつ迫りだし、階段が現れた。

 マーティは一番上の石段に乗ると「とんだ鏡を選んだものだ」ホッと息を吐いて階段に座りこむ。


 そして、最後のバーネットのドアは、どうやらうわさをしていた天井にあるらしい。


「この距離で、天井にあるドアの窪みを見ろというの? 私の目は、カメラのようにズーム機能が付いてないのよ!」部屋の中央に立って文句を言うと『心配しないでください。ちゃんと探せるようになってますから』


 ニゲラがとまっている石像の右腕に降りてきて、メインドアの横に付いているパネルのような色の違う小さな石の一つをくちばしで押すと、バーネットが立っているところの床が一メートル四方だけ、せり上がりだした。


「ここは絡繰り部屋か?」上にあがっていくバーネットを見るロイ。

『いろんな仕掛けがあるんだね』驚き疲れて感覚がマヒしてきたシュール。

「ちょっと! やめてよ!」悲痛な叫び声を上げるバーネットに『動かないでください! 落ちたら大ケガしますよ!』注意するニゲラ。

「こんな状態で動けますか!」しゃがみ込んで怒鳴り返す。

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