第396話 ドアの部屋 ①

 

 ロイがドアを開けると螺旋らせん階段はなく、広い部屋が現れた。


「階段はどこにいったんだ?」入り口のところでニゲラを見ると『ありません』

「ないから聞いてるんだろう」ムッとして言い返すと『戻りたいですか?』

「……進みますよ。進めばいいんでしょう!」中に入るとあとからニゲラも入り、ドア横に立っているやりを持った石像の肩にとまる。


「この部屋はどうなってるんだ?」ロイが中をグルッと見回すと「壁紙にしては悪趣味ね」次に入ってきたバーネットは呆れ「前に、絡繰からくりり部屋、見たこと、あるけど……」次のアニスが戸惑うと「この部屋を作った奴に会ってみたいな」最後に入るマーティは興味を持つ。


 その部屋は全面、数え切れないくらいのドアが付いていた。


「ヘェ、ドアの形がみんな違うよ」ロイが一つずつ確認していくと「壁に付いてるドアは理解できるが、床や天井に付けてどうする。開けられるのか?」設計者の意図を考えるマーティに「開けられるから付けたんでしょう?」バーネットがひねらず答えると「閉める、大変」閉じ方を考えるアニス。


『入ることになったら説明しますから、心配しないでください』

「天井に付いてるドアだけは、選びたくないわね」見上げるバーネットが嫌な顔をするので「それで、今度はドアを選べと言うのか?」ロイがニゲラに確認すると『いえ、選ぶ必要ありません。もう、どのドアに入るか決まってますから』


「決まってる? なぜ?」

「大方、この鏡が関係してるんだろう?」マーティが持っているチェーン付きの鏡を見せると『そうです。察しがいいですね』

「どう関係してるのか、説明してくれ」


『詳しく説明できませんが、皆さんが着けているブレスレットがそれぞれの鏡を選ばせたのです。そして、その鏡は、この中のどれかのドアにめ込むようになってます。そのドアが皆さんの入るドアです』


「ブレスレットが鏡を選ばせた?」ロイが左腕に着けているブレスレットを見ると『では、持ってる鏡が当てはまるドアを探してください』


「この中から探すの!」驚くバーネット。「鏡にスイッチが付いてて、押すとドアについてるベルが鳴るとか、ドアが光るとか、仕掛けが付いてないの?」

『ありません』即答するので、ガックリ肩を落とす。


「闇雲に探してれたら時間が掛かるから、端から順に見ていこう」ロイが案をだすと部屋の右隅へいき、一つずつドアを見ていく。


 ドアは中央に何かをめこめる窪みがあり、そこに持っている鏡がはまるか確認していく。

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