第395話 鏡の部屋 ②


『お二人とも、ブレスレットをめましたか?』ニゲラが確認してくるので「めたわよ」二人で左腕を見せると『では、鏡を選んでください』

「どれでもいいの?」

『はい。好きな物を選んでください』

「アニス、どれにする?」

「こんなに、ある、迷って、しまう」

 一斉に部屋の中に散らばる。


『ロイ、どれにするの?』見回しているようなシュール。

「どれにしようか」

『決まったらそれを持ってきてください』ニゲラが追加するので「持ってこいか。持ち運ぶとしたら、大きいものだと嵩張かさばるな」

『それに、凝った彫刻があると引っ掛けそうだよ』


 部屋の奥へいくと、大きな鏡の横に、隠れるように小さな鏡が置いてあった。


「まるで、誰かが隠したみたいだな」手を伸ばして鏡を取ると『ずいぶんと古ぼけた鏡だね』縁取りの細工部分が色褪いろあせている。

「年代物なんだろう」丹念に鏡を見るので『それにするの?』と聞くと少し考え「ああ。何となく気に入った」


『それにしても、置きっぱなしになってたわりに、ほこりが付いてないね』

「掃除してる人がいるんだろう」と言うと、シュールは自分が掃除することになったらと想像したらしい。『この部屋を掃除するのは大変だろうなァ。何日かかるんだろう……』とウンザリするので「一週間はかかりそうだな」ロイも苦笑する。

 

 その後、それぞれ選んだ鏡を持って戻ってくると「マーティ、ずいぶんと変わった鏡を選んだな」

「持ってこいと言われたから、持ち歩くだろうと思ってこれにした」

 彼が選んだ鏡にはチェーンが付いているので、首から下げるものだろう。

「壁に掛かってる鏡の縁に引っ掛かってたんだが、なんか目に付いた」


「それに引きかえ、アニスは大きな物を選んだね」両手で持っている鏡を見ると「私も、小さな物、思った、けど、呼ばれてる、気がした」

「そうなんだ」

「バーネットは、コンパクト、したの?」隣にきた彼女の鏡を見ると「そうなんだけど、これ、開かないのよ」


「壊れて、いる?」

「そうかもしれないわね」

「でも、開かない、使えない、他の、したら?」

「いいわ。戻るのが面倒だから。ロイはどんな物にしたの?」


「これ」掌大てのひらだいの鏡を見せると「まあ、かわいい。でも、そんなに小さかったら、実用性が無いわね」

「装飾品じゃないかな」

「かもしれないわね。マーティのもペンダントヘッドみたいだし」


『でも、みんな古ぼけた鏡だね』見回しているようなシュール。

「確かに、と言いたいけど、ここに置いてあるものは全部年代物だろう?」

『……そうでした』


「さて、次はどうするんだ?」ニゲラに聞くと『次の部屋へ行きます。ドアを開けてください』入ってきたドアを見る。

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