第388話 意外な依頼 ②

 

 アニスの姿が見えなくなると『次は第三の門のキーマンの方』

「私よ」見上げるバーネットに『あなたは正面の通路へ行ってください』

「こっちね。で、何を持ってきたらいいの?」

『持ってきてもらう物は、あなたの姉妹が額にめているサークレットです』

「ああ、あれ」

『全部持ってきてください』

「わかったわ」


「バーネット」ロイが声を掛けると「心配しないで。私はちゃんと戻ってくるわ」

『気を付けてね』声を掛けるシュールに「ええ。じゃ、行ってくるわ」金髪をなびかせながら通路を真っ直ぐ歩いていく。



『さて、残った尋ね人。まず、ラディウス・ソリッシュを床に置いてください』

「なぜ?」

『どうして一緒に行ったらいけないの!』抗議するシュールに『ここから戻るのは、尋ね人たちだけという決まりがあるからです』

『私だって尋ね人の一人だよ!』


『あなたは、ラディウス・ソリッシュを守るために剣と一緒にいる存在。尋ね人ではありません』

『それじゃ納得できない!』

「僕も、その説明では納得できないな」

『では、納得いく説明をしましょう。ラディウス・ソリッシュは、時空を越えることができないんです』


「なぜ?」

『特別だからです。と言っても、納得しないでしょうね』

「もちろん」

『その剣が、特殊な力を持ってることは知ってますね?』

「ああ」

『その力が、時空を超えるとき、空間をゆがめてしまうんです』


「だから?」

『空間がゆがんでしまうと、そのとき時空を渡ってる者が、その空間に閉じ込められてしまうんです』

「そうなると、どうなるんだ?」

『空間のゆがみに押し潰されてしまいます』


「……なるほど」ロイが驚かないので『まだ信じてもらえてないようですね』

「その説明が、本当だという確証がないからな」

『では、試してみたらいいでしょう。でも、空間が歪んでしまったら誰も助けにいけないので、その覚悟はしておいてください』と言われ、真相を探ろうとしばらくの間二ゲラを見るが、ベルトを外しはじめる。


『ロイ!』


「今の話が本当かわからないけど、回避できる危険は避けたほうがいい」

『それはそうだけど……』

「シュールはここで、みんなが戻ってくるのを待っててくれ」

『でも!』


「みんなは必ず戻ってくる。誰かが残ってたほうが安心するだろう?」

『……そうかもしれないけど』

「で、僕は何を持ってきたらいいんだ?」剣を左手に持つと『あなたのお父上専属の予言者が、両手に填めているシルバーバイオレットが付いた指輪です』

「なんだって!」

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