第384話 奇妙な森 ②

 

 薄暗い森の中を進んでいくと、マーティの後ろからアニスと一緒に歩くバーネットが「変わった植物ばかり生えてるのね。どれも見たことがないものばかりだわ」周りの草木に目をらす。


 脇に生えている、つるのように曲線をえがき、他の植物にからまっている植物に近寄ろうとすると「無闇に近寄らないでください!」後ろのイノンドが慌てて止める。「もしかしたら、食虫植物のような、恐ろしい植物かもしれないですよ!」

「エエッ! 本当!」慌てて戻ってくる。


「なぜそう思うんだ?」足を止めて振り返るマーティに「ここには、二千体くらいの遺体があってもおかしくないんですよ。なのに、今のところ、遺留品の欠片かけらすら見当たりません」

「遺体を処理するようなものが存在するんじゃないか、というんだな?」

「そうです」


「ヤダッ。もしかしたら、私たちも処理されちゃうかもしれないの?」アニスとくっつくバーネット。

「そうならないように、無闇やたらと周りのものに近づかないでください」


「そういえば、ここにはしゃべる銀の鳥がいるんだったな」先頭のロイが思い出すと『ミーリアみたいな鳥かな?』銀の鳥を想像するシュール。

(どうだろうな)

『会えるかな?』

(僕たちの存在に気付いたら、現れるんじゃないか?)


「とにかく、周りのものに気を付けながら進もう」ロイに声を掛けるマーティが振り向き「バーネット。余計なものに触るな!」改めて注意すると「黄金の王冠をあげると言われても触らないわよ!」


 さらに進むと、先頭のロイが止まった。

「どうしたの? 何か変なものでも見付けたの?」バーネットが恐る恐る聞くと「イヤ、聞こえないんだ」

「聞こえない? 何が聞こえないの?」キョロキョロと周りを見回すと「この獣道には小動物の足跡がたくさん付いてるのに、鳴き声どころか、気配すら感じないんだ」


「それは俺も気になってた。これだけ深い森なのに、一羽の鳥すら飛んでないのが気になる」見上げるので「そう言われてみれば、静かよね」辺りを見回すアニスとバーネット。


(シュール。何か感じるか?)ロイが小声で聞くと『まったく。なんにもいないよ』


「警戒してるんじゃないですか? 向こうにしてみれば、我々は得体の知れない侵入者ですからね」イノンドの言葉に「確かにそうだな」頷くマーティ。


「とにかく、先へ進もう」ロイが歩きだすと『止まりなさい!』突然、声を掛けられ、驚いて振り向くと、バーネットたちは言ってないと首を横に振る。


『私でもないよ』とシュールが言ったとき『ここへ何しに来たんですか?』再び声が聞こえるので「誰だ!」ロイが怒鳴ると「上だ!」マーティが前方の木の上を指さす。


 見上げると、獣道に張りだした枝に、銀色の大きな鳥がとまっていた。

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