第2話 スターズフェスティバル ②

  五日後。  

 ラウディアス星から石化現象の報告を受けていたファルネス系の主星、第五惑星クリルシャイムの中央政府局は緊急対策本部を設置する。


「ラウディアス星の全住民に対して星から脱出するよう通達をだし、避難してくる人達の受け入れ準備と、石化現象が他の星へ移らないよう星の隔離作業に入れ!」

「脱出用の宇宙船を手配して、コントロールセンターへ隔離指示を出します!」


 その対策本部では研究チームを発足し、調査チームが多数の犠牲と引きかえに集めた資料をもとに原因究明に取りかかったところ「人工的に造られたウイルスが原因だったのか?」

「はい。即効性を持つかなり危険なウイルスのようです」

「なんてことだ……」


 対策本部から知らせを受けた警察局はすぐに捜査を開始したが「犯人に関するデータが少なすぎる。これではどのような人物なのか的が絞れない」そのため、昼夜を問わず捜査会議が行われた。


 一方、石化現象の原因を突き止めた研究チームは、ワクチン製造に取りかかっていた。


 その後、調査チームの報告から「石化ウイルスはフェスティバル開始の合図となる花火にウイルス入りカプセルが仕込まれており、打ち上げと同時にカプセルが割れ、中のウイルスがばら撒かれたようです」

「では、打ち上げ花火に携わった制作会社をすぐに調査しろ!事務所の家宅捜査も同時に行え!」

 急ピッチで捜査が進められることになった。


 少しずつではあるが解決へ向けて進みはじめてきたころ、意外なところから、さらに追い打ちを掛けるような報告が届く。


 それは第七惑星バラルダと第十惑星オルメイアからの報告で「石化現象の発生を確認しました!」


 こうなると、各惑星に石化ウイルスを持った犯人がいて、全惑星を石化していくであろうことが予測された。


 そして、その予測が現実となるのに、そう時間はかからなかった。


翌日、石化現象発生の連絡が来ていない残りの七惑星から、発生確認の知らせが届いたのである。


最悪の事態になったことは各惑星の対策支部へ報告され「近隣の系星に受け入れ要請を出せ! できるかぎりの宇宙船を使い、一人でも多くの住民を脱出させることを最優先にしろ!」


 ワクチンが完成していない今、逃げることしかできなかった。


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