最強の女武者
激震
魔族の暴動が起こった日。
シュートラント大帝国には激震が走った。
皇帝の跡継ぎである太子が、ウー大陸にて命を落としたのである。
見たこともない死に様に、彼の側近を始め、兵士達は心臓を掴まれたかのような緊張と恐怖に固まってしまった。
戦闘となると見境がなくなる欠点を除けば、頭は切れて、腕は立ち、シュートラントの跡継ぎとして相応しい男であった。
彼に敗北の未来を見た者は、今に至るまで一人もいない。
それだけ圧倒的に強く、他を制していたのだ。
「なんだと!?」
宮殿の広間では、報告を聞いたシュートラントの皇帝が、寛いだ体勢から席を立ち、目を剥いて青ざめた。
「誰が、……誰が討ったのだ!」
「それが……、その……」
片膝を突いた騎士は、床を見つめて答えられなくなった。
「答えよ! 誰が我が帝国に牙を剥いた。よもや、魔族と言うわけではあるまいな!」
騎士の男は間を空け、吐息混じりに答えた。
「……女です。正体は分かりません」
兵士達の目撃情報を募っても、詳細が分からなかった。
女、という事しか分からず、紗枝が何者であるかなど、知るわけがなかった。
皇帝は力なく椅子に腰を下ろして、空間の何もない一点を見つめる。
「あぁ、我が息子が、……名も知らぬ女に殺されたというのか。こんなことが、許されていいのか」
皇帝は息子の実力を知っているが故に、血の気が引いた。
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