ブルビス戦
監視塔を目指す
人流に逆らい、黒女は街の隅へ馬を走らせていた。
前にはリースが乗り、都の凄惨な有様に肩を小さく震わせている。
「きゃっ!」
家屋を突き破って、兵士達が雪崩れ込んできた。
魔族は血走った眼をリースに向けた後、すぐに兵士の顔を力任せに殴りつける。
黒女は脇にずれて、障害物を避け、リースが落ちないよう肩に顔を埋めさせた。
「あの方は……大丈夫でしょうか……」
「ホゥ」
リースは不安でいっぱいだった。
「ブルビス殿下は、争いになると見境がなくなると聞きます。ひゃっ!」
走っている最中、地面が盛り上がって爆発を起こした。
地中からは死に物狂いで襲い掛かる魔族の姿があった。
破片が当たらないよう、黒女は片腕を縦のように平たく変形させ、リースの背中を覆う。
ここから外郭に上るため、端にある監視塔を目指さなければいけない。
塔に上れば、他の魔族が羽を広げて待っている。
リースは柔らかな感触に包まれ、僅かばかり心が落ち着いてくる。
そして、肩口に来た道を見ると、空は赤銅を噴水状に打ち上げたように、ドロドロとした赤い炎が広がっていた。
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