最強の刺客、出兵
処刑隊を返り討ちしてから、10日が過ぎた。
準備を終えた紗枝は、ボロ衣を着て、檻が設置された馬車に乗り込む。
必要な装備は、全て黒女が体の中に収納し、紗枝の体に張り付いた。
「
「ホゥ」
「人がいる場所では、静かにしてなさい」
王都への道のりが分かるパテーが一緒に行くこととなった。
砦の兵士が『罪人を捕えた』名目で、馬車を出し、隧道ではない道を行く。
道のりとしては、ウー大陸の東側から北上する道筋だ。
町から出る際、魔族達は総出で、紗枝を見送った。
「絶対に生きて帰ってこいよ!」
「死ぬんじゃねえぞ!」
深緑の森へ続く道に、紗枝を乗せた馬車が遠ざかっていく。
魔族達は一人の女武者に望みを託した。
自分達では勝てない相手を殺してもらうために。
祈りを捧げて、心から紗枝の討伐達成と帰還を望んだ。
人垣の前でベルブが背筋を伸ばし、一言に気持ちを込めた。
「姉上を、みんなを……お願いします。紗枝さん」
こうして、悪しき親玉に向けて、刺客が放たれた。
かつて、代官を私利私欲で殺した女武者は、この度死にかけの魔族のために、再び代官を殺す事となったのである。
檻の中で、紗枝は暢気にベルブと乳繰り合う事だけを妄想していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます