序章2 女騎士編

女騎士とは

 シュートラント大帝国では、変わった役職があった。

 『女騎士』というである。

 これは、女の身でありながら騎士、という意味ではない。

 皇后陛下に仕えた女の騎士、という意味である。


 *


 巨大な大陸の名前は、『ハーフン大陸』。

 人間の住む大陸である。

 そして、この大陸を全て支配しているのが、シュートラント大帝国。

 現在では、ウー大陸も支配し、世界征服を成し遂げた巨大な帝国だ。


 全てを支配すれば、全てが平和になり、笑顔に満ち溢れる。――訳がなかった。


 シュートラント大帝国では、毎日のように『思想の混乱』が起きていた。戦争が終わる前から、ずっと数多の主張が飛び交い、内側で争いが頻発している。


 紛争にこそ発展していないが、その争いは人間の醜さを余すことなく表したかのようであった。


 最たる例が、『男女』という性別一つに対する主張。


 大帝国には、『男の国体、皇帝』と『女の国体、皇后こうごう』がいる。

 この両者は、従える近衛兵が、男と女に分かれている。

 その下には、混合の兵隊達と、男女に分かれた兵士が大勢いる。


 兵が分かれてるように、国民も分かれており、分断が生じているのであった。


 思想の混乱の表れである。

 両陛下は分断した国民を束ねようと、非常に困惑していた。


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